心臓が息の根を止めるまで、真実を求めてひた走れ - ケイゾクの感想

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ドラマレビュー数 1,147件

ケイゾク

4.504.50
映像
4.50
脚本
4.13
キャスト
4.38
音楽
4.38
演出
4.50
感想数
4
観た人
9

心臓が息の根を止めるまで、真実を求めてひた走れ

5.05.0
映像
5.0
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

堤幸彦監督作品の中で一番衝撃的でした!!

「ケイゾク」を視聴した感想です。
ケイゾクは、池袋ウエストゲートパークやトリックシリーズでお馴染みの、堤幸彦監督が1999年に手掛けた作品です。
今から20年程前の作品なのに、今見ても全く古いと思わないですし、この作品の完成度を超えてくるドラマは、20年経った今でもなかなか無いだろうと思ってしまいます。
演出、キャスト、音楽、脚本、全てがすごいと思います。
一話一話の内容が濃いですし、ずっと緊張感があると思います。

同監督の「トリック」を初めて観たときにも感じたのですが、「初めて観る世界、どこにもない世界」を見せられている感動や興奮が、ケイゾクを観ていても感じられます。
こんなドラマは後にも先にもないでしょう。

現在、ケイゾクの後続の作品として、「スペック」、「シックス」をケイゾクと同じスタッフで制作していますが、どれもケイゾクを超えた完成度には至らないと思います。
それほどケイゾクは衝撃的な作品だと、私は思います。

物語は一話完結の推理物ですが、平行して真山の復讐劇のサブストーリーが展開していきます。
そして、最終的には真山と朝倉との因縁に、刑事二係も巻き込まれていくことになります。
推理物としても、先を読ませないトリックや、少しずつヒントを視聴者に与えながら進んでいくストーリーが面白く、目が離せません。
一方終盤の朝倉との対決では、警察内部どころか、二係の中にも敵が入り込み、誰が敵か味方か分からないままストーリーが進行していきます。
二係の中にも犠牲者が出るなど、衝撃の展開の連続で、息つく暇もなく画面に観入ってしまいます。
フラッシュバックのような映像の連続で、真山の心理風景を描写していくのも、痛々しくて良かったです。
深い憎しみや悲しみ、復讐への揺らぎ、現実と非現実、善悪の境が薄れていくような混乱が、混沌とした映像群を通して伝わってきます。
その渦中にあって、「真実を求める」という柴田の意志だけが、一筋の光のように感じられました。
第一話から最終回まで、全てが面白かったです。

最終回…全ての真実は柿ピーの容器が知っている



最終回の完成度がすごいですよね。
最初から最後まで、騙し騙されという感じなのですが、やっぱり最後に死んだふりをしていた真山が、朝倉を撃つシーンが一番良かったです。
真山はこれまで妹の復讐の為に、朝倉と一人で戦っていました。
真山は一話の時から既に、明確な殺意を持ったキャラクターとして描かれています。
刑事として朝倉を逮捕するのか、憎しみによって殺害するのかの狭間で、真山の意志はずっと揺れています。
しかし、最後に朝倉を撃った瞬間は、重傷を負った柴田を守るために引き金を引いており、人のために警察官として職務を全うする道を選んだ事になります。
それは朝倉に勝利したという事でもあると思うんですよね。
心が闇に負けなかったという事なので。
その終わり方がすごく良かったと思いました。
撃つ瞬間の渡部篤郎さんの表情も、すごく良かったと思います。
終盤は虚ろな表情が多かったのですが、完全に警察官として、正気に戻っていると分かる表情でした。

また、ケイゾクの「真実を求めてひた走る」というテーマも、最後まで柴田が全うしていて良かったと思います。
朝倉を追い詰めたのは、柴田の真実を求め続ける姿勢だったというのがいいですね。
柴田には朝倉の正体は終盤まで分っていませんが、朝倉が遠いところにいながら、少しずつ柴田に追い詰められていく演出も良かったと思います。

スペックやシックスは、ケイゾクの姉妹作品なのか?


スペックやシックスは、やはりケイゾクと関連付けてほしくないな、とファンとしては思ってしまいます。
ケイゾクは、ケイゾクという独自の世界観を確立しており、後付けで作品を作っても、追随できていない印象を持ちます。
監督や脚本家が公式に関連付けをしても、客観的に観れば、作品のレベルが違いすぎて一緒にはできないと思ってしまいます。

スペックはケイゾクの空気感を意識してはいますが、作品のテーマみたいなものを感じることができませんでした。
スペックホルダーと、何もない人間との対決なのかと思いきや、当麻も実はスペックホルダーですし…。
ですから、底の浅い事をやっているように見えてしまいました。

当麻、瀬文のキャラクターも、スペックの山田奈緒子やケイゾクの真山の、焼き直しのように既視感があり、好感が持てませんでした。
男女のバディにしたことも、ケイゾクやトリックで受けたので、そうしているように見えてしまいました。

もっと新しい物を見たかったです。
ケイゾクの後続作品を名乗るなら、ケイゾクが世に出たのと同じくらい、びっくりするものを見せて欲しかったです。


また、朝倉がスペックホルダーというのも嫌です。
朝倉は、普通の人間の中にひそむ異常者だからこそ恐ろしさがあると思います。
超能力設定があると、何だか白けてしまう感じがしました。


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堤幸彦監督が認められたTBSの代表的ドラマ番組

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