漫画通りの再現率!
原作との温度差を感じました
視聴した感想としては、まず原作とドラマの作風の違いが気になりました。
ドラマは原作に対して、よりセクシャルな印象を受けました。
確かに原作のアラサーちゃんは、セックスやセフレなど、性に関する話題が多いし、セックスをしている描写も多くあります。
しかし、だからといってそれをウリにしているわけでもないし、見ていていやらしい感じがしないんですよね。
恐らく作者としては、セックスを語ることは、話題のスイーツや化粧品を語る程度の重さでしかなく、実際に女性同士のおしゃべりの中でもその程度のことなので、漫画を読んでいる読者も、そのように受け取るのだと思います。
その価値観が、いかにも女性的だと私も同性として思いますし、読者の共感を得ている部分だと感じます。
ですので、ことさらにセックスの部分を強調しているドラマ版とは、そのあたりに温度差を感じてしまいした。
正直、セックス描写は観ていてきついな、と思ってしまいました。
ただ、実写化にあたっては、こういう風になっても仕方ないのかなとも思いました。
壇蜜さんが、とにかくカワイイ
しかし、内容は面白く視聴できました。
深夜ドラマだと、キャストを揃えてもいまひとつ面白くない作品も多いです。
しかし、アラサーちゃんはセットも雑だし、ストーリーも無いようなものなのに、始めから終わりまでずっと観ていられる感じがしました。
やはり着眼点というか、ネタの部分が面白いので、下手に高尚なことをやられるより、興味を惹かれるのかな、と思いました。
キャラクターも身近にいるような人物達で、この人がどんな人か注釈が入らなくても、なんとなく想像がつくような親しみやすさがあります。
そして、各々がお互いにお互いをどう思っているのかも分かるので、ストーリーがあまりなくても、観ているだけで面白く感じます。
キャストも原作にみんな近い感じで、良かったと思います。
特に主人公のアラサーちゃんを演じる壇蜜さんは、作者の峰なゆかさんがモデルにしたとあって、ぴったりだったと思います。
しかし、普段のタレントとしての壇蜜さんは、妖艶で余裕の微笑を浮かべて佇んでいるようなイメージで、アラサーちゃんのキャラクターとは真逆なんですよね。
アラサーちゃんは、美人なのに色々考え過ぎてしまい、おいしいところをゆるふわちゃんに持っていかれてしまうような、ちょっと損な役回りのキャラクターです。
でも、壇蜜さんはそのあたりをイメージ通りに演じていたと思います。
いつもと違う、庶民的な壇蜜さんはとてもかわいかったです。
オラオラくんも、プロフィール写真からしてチャラい感じがして良かったです。
アラサーちゃんに「こんな風にもう二人で会ったりしないんだからね」と言われて、「ふーん…」と返す件があるのですが、この「ふーん…」が絶妙でした。
オラオラくんはモテるし、肉体関係のある女性が周りに沢山いるのですが、本気で好きなのはアラサーちゃんだけです。
それが伝わってくるシーンでした。
対して文系くんは、少しカッコ良すぎたかな?
もっとモヤシっぽいというか、モテない系の男性を、作者は意識していそうです。
モテない系がカワイイ!みたいな願望が、アラサーちゃんにはある気がします。
ヤリリンちゃんは色んな意味で体を張っていて、偉いなと思いました。
あと地味に大衆くんのTシャツの文字が毎回違うのも芸が細かくて、面白かったです。
もっと深掘りしてほしかったキャラクター
ゆるふわちゃんはもう少し可愛らしくても良かったかなと思います。
演じたみひろさんは、喋り方もバカっぽく工夫していて良かったと思いますが、本来のゆるふわちゃんのあざとさとは、「男は気づかないが、女性は確実に気づくぶりっこ」なので、ただのおバカキャラみたいになってしまったのが残念でした。ここは演出の解釈の問題で、演者は悪くないと思います。
ゆるふわちゃんは、同性からすると、登場人物の誰よりも闇の深いキャラクターです。
文系くんのような、サブカル男子に好かれそうな趣味や服のセンスの持ち主という「ゆるふわ」なモテ女子ですが、一方でSNSかまってちゃんで、オラオラくんにセフレにされている、34歳というイタさもあります。
ゆるふわちゃんは、アラサーちゃんとはまた違う意味で、女性の共感を得ているキャラクターなので、もう少し掘り下げても良かったと思いました。
解釈の問題といえば、非モテちゃん。
ただのブスいじりみたいになって悲しかったです。
原作では、非モテちゃんがモテないのは、容姿よりも卑屈な性格や、周りの意見を受け入れられない頑固さが原因なのでは?というように描かれています。
実際にそういう人はいるし、そこは「ブスだからモテない」という結論よりも、読者は納得できると思います。
そしてそんな非モテちゃんに、周りがイライラしたり、時に当たり障りなく接したりする様子が、いかにも女友達の関係という感じがして、見ていて共感してしまいます。
この辺りももっと再現してほしかったです。
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