メンタルが試合に大きな影響を及ぼすことを痛感する作品 - キャプテン翼 「最強の敵!オランダユース」の感想

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キャプテン翼 「最強の敵!オランダユース」

4.254.25
映像
4.25
ストーリー
3.75
キャラクター
4.75
声優
4.25
音楽
3.75
感想数
2
観た人
2

メンタルが試合に大きな影響を及ぼすことを痛感する作品

4.04.0
映像
4.0
ストーリー
3.5
キャラクター
5.0
声優
4.0
音楽
3.5

目次

Jリーグの設立がもたらしたアニメ化

キャプテン翼は第一作目以降、色々な制作会社でリメイクされている珍しい作品だが、この作品も一作目を担当した土田プロが倒産後、1994年の2作目の製作とほぼ同時期に、J.C.STAFFという別会社が制作した作品である。1986年で人気絶頂の中、アニメ版は終結してしまったが、1994年の復活については、背景にJリーグの設立があることは否めない。再びサッカーブームが日本に到来した象徴とも言える。プロリーグ設立に多大な貢献をしたと思われるキャプテン翼が、今度はリーグの設立のおかげでアニメがリメイクされるという面白い逆転現象が起きている。

作画についてはむしろ、一作目より原作に忠実になっている。しかも、嬉しい忠実さがあった。

それはどういうことかというと、実はこのワールドユース特別編の原作が連載していた当時、リアルタイムで読んでいた世代は「おや?」と思ったものだ。キャラクターの描写が幼くなってしまっていたのだ。高校生であるはずのキャプテン翼のキャラが、小学生編に逆戻りしたようになっており、多くのファンがそれを気にしていた。理由として、当時高橋氏が年齢層が低い連載を何本か書かれていたため、一時的に作風が幼い絵柄になってしまっていたのだろう。それを、このアニメ版ではちゃんと高校生らしい等身で描いてくれており、その点は非常に良かったように思う。

原作は相手のゴールキーパーが、まるで魁!男塾序盤の三号生、大豪院邪鬼のような巨漢になっており、もはやギャグマンガと化していたが、そういったこともアニメでは是正されていた。

ストーリーは星3.5その訳は・・・

48分という短い尺にしては、チームメイトの葛藤やオランダユースとの試合は良く描けていると思う。しかし、やはり尺が短すぎたのか、チームが弱音を吐いた時、なぜ逆境に強い松山がチームを盛り立てないのか?中学時代にはユースで一時期キャプテンをしていた松山が、アニメでは一瞬しか出てこない脇役になってしまっているのが気になる。

日向だけが相変わらずで良く描かれていたが、森崎・反町など、過去の全日本でメンバー登録されていた選手が全く描かれていなかった点も雑さを感じ、岬の影が若干薄かったのも残念である。

また、翼が来たためにチームが息を吹き返したのはいいのだが、プロになったメンバーに頼ることに拒否感を持っていた日向の心情が描き切れていなかったり、せっかく来た翼が長旅疲れでへばり気味なのも気になった。

若林も観客に徹してしまい、相手チームの秘密兵器らしい選手も、ワールドユース本編への伏線的存在でこの作品では観客に徹していた。ブライアン・クライフォートというその選手の凄さがわかるのが、なんと2015年。ワールドユース本編が打ち切りの危機に遭い、ブライアンのシーンは大幅カットされてしまったのだ。キャプテン翼ライジングサンの連載が始まるまで、危うく永遠の秘密兵器になりかかるところであった。本当に引っ張りすぎである。

技術よりメンタルの問題では?

オランダユースに一回戦、二回戦とも野球の様なスコアでぼろ負けしてしまうが、本当にその理由はオランダが強くて、翼と若林がいなかったからなのだろうか?サッカーは11人でやるものであり、二人が加入してもチーム力がなければ勝てないのではないか。事実、何か開き直った後の三回戦目は、翼や若林抜きでも序盤いい試合運びをしており、大敗する気配はない。ヨーロッパ遠征時とそうチーム構成も変わってないことから、チーム力自体は最初からあったのではと思う。

ただ、翼という存在が、実力面だけではなくチームを盛り上げるムードメーカーになっているという点は大きいかもしれない。

翼をあてにすることを良く思っていなかった日向でさえ、試合中にキャプテンを岬から翼に変えることをあっさり了承しているあたりや、背番号の10番が欠番になっていたあり、10番はキャプテンである翼の象徴と、無意識に全日本メンバーが思っていたのだろう。

キャプテン翼という漫画なので、翼がやっぱりキャプテンじゃなきゃ、という展開自体は、本来あるべき姿なのかもしれないが、さすがに南米から練習試合・親善試合クラスの試合に飛んできてしまい、ダブルスコアで大勝してしまうサプライズ展開なのは、後にも先にもこの話だけではないだろうか。

試合中の動作がやや緩慢

アニメーションとして気になったのが、試合中の選手の動きがやや緩慢でスピード感が感じられなかった点である。実際、オランダユースがかつて若林が修哲小時代に使った「とりかご」や、武蔵小の十八番のオフサイドトラップを使ったあたりは緩慢に動いていたようだが、土田プロが担当していた劇場版に比較すると、いまいちスピード感が感じられない。

オランダユースに至っては出場選手に特に目玉になる選手もおらず、なぜ全日本が苦戦しているのかよくわからなかった。劇場版にありがちな凄い必殺技が出ることもなかったので、ややアニメという動く媒体としては、物足りなさがある作品である。

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育ったジュニアユースのメンバーたちまず、この作品で一番の売りは、ジュニアユースで優勝したメンバーたちが、そのままオランダユースの代表に牙を向くところだと思います。この作品中で、一番のポイントである、小学生時代から見守り続けている片桐さんが、日本のサッカー協会に駆け寄り、無理やりジュニアユースのメンバー(翼含め主要メンバー)をそのままW杯優勝まで育てるために、選手の入れ替えをせず、現Jリーガーなども一切入れず、勝負するところだと思います。見てる側からするとジュニアユース以降沈黙があった漫画だったので、尚更そこは、重要なポイントでした。漫画では、いろんな作品で短編で描かれてはいました。しかし、しっかりエンディングまではなかったので。(なぜ、エンディングまで作らなかったのか、この映画を見て理解しましたね。)これは、かなり大事なポイント(オランダ戦はかなり大事)でした。(漫画でも途中までしか描か...この感想を読む

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