ホラー映画の最高傑作。 - オーメンの感想

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ホラー映画の最高傑作。

5.05.0
映像
4.5
脚本
5.0
キャスト
5.0
音楽
5.0
演出
5.0

目次

謎ときが凄くて深い。

私は小さい時からホラー映画が大好きで、これまで数々のホラー映画を見てきましたが、未だオーメンは生涯のお気に入りホラー映画のベスト3に入ります。何故か?一言でホラーと言っても、ただあまり深いバックグラウンドは無くエグイだけの殺戮ものだったり、エグイ部分をただ見せる事ばかりに終始していたり、ビックリ驚かせる仕掛けに重きをおいている作品などは、一度見れば、あまり再度見返したいとは思わないのですが、脚本がしっかりしていて、軸にちゃんとしたストーリー性があり、謎解きをしていく楽しみがあったり、役者陣の演技がしっかりしている作品などは何度見ても、面白い。そんなホラー映画の一つがこのオーメンです。そもそも、驚きがグレゴリー・ペック主演という事です。ホラー映画とは全くイメージの違う大物俳優を持ってきた事で、すでに映画の格がぐんと上がってますし(出演承諾した理由は何だったのか聞いてみたい・・・。)、シナリオ、映像がそれに決して引けを取ってないクオリティでもあり、私が思うだけでなく、今もホラー映画屈指の傑作である事は間違いありません。

怖いんだけど、名シーン満載。

とにかく、この映画は謎解きが面白い作品です。そして、一つ一つの謎が解けていく時、ダミアン出生の真実を暴く人、知る人達が次々に謎の死を遂げていくシーンの壮絶さが凄く、怖くて、エグイのですが、非常に印象深い。父親にダミアンが悪魔の子である事を諭そうとした牧師は折れて屋根から落ちてきた避雷針にくし刺しにされ、ダミアンについて調べていたジャーナリストは坂道を転げ落ちて来たトラックにつんでいたガラスで首を切断される・・・なと衝撃的なシーンは多々ありますが、それ以上に、私が一番衝撃的だったのは、ダミアンが出生したローマの病院に出生の謎を解くために出向いた父親がダミアンが退院した後に、病院が丸焼けになり、唯一当時を知る生き残った職員はイタリアの修道院で生活していると知り会いに行くシーン。ここで特筆すべきは舞台がヨーロッパであるという点です。イタリアにしろ、イギリスにしろ、昔からの街並みが残っているヨーロッパでのシーンはそれだけでゴシック的な空気が漂っていて、見事な雰囲気を作り上げているのです。イタリアというとラテンの明るい雰囲気があるものの、そこはやはりヨーロッパ、そしてカソリック教会の総本山のある国だけに、シーンの一つ一つが重い。その職員が大やけどを負いながら残りの人生を過ごしていた修道院がこれまた素晴らしいロケーションにあり、何とも言えない雰囲気を醸し出していました。とても印象に残っているシーンです。そして、そこでもはや言葉を発する事もできない不自由な体になっていた元職員から、ロバート・ソーン(グレゴリー・ペック)は自分の本当の子供と、そして、ダミアンの母親が何であったのか?を知るのです。子供の時に初めてこの映画を見た時、「ジャッカルって何!?この犬みたいな動物から子供が産まれるの!?」ともう、想像が天空を超えて宇宙までいきそうな位の好奇心を掻き立てられました。凄すぎるストーリーです。

神様は悪魔より弱いのか?

この映画が、ホラー映画とはいえ、単なるファンタジーになりえてない最大の点はダミアンが権力者になっていく段階の布石が沢山ある事だと思います。ダミアンの父親はアメリカ人外交官のエリート。彼がダミアンが5歳の時に在英になり、大栄転をします。ゆくゆくダミアンが継ぐ権力が大きくなる為の布石なんですね。そういった所も上手くできてるな・・・と思い、唸ってしまうのです。このお父さんが手にする権力をいずれは全部自分のものにして、アメリカ、しいては世界を牛耳っていく・・・という布石がこの第一作で見事に描かれています。実際に、アメリカ大統領とか、権力者の中には、悪魔の生まれ変わりがいたりして・・・と思ってしまいような、現実的な面があります。ここが他のホラー映画とは一味も二味も違った点だと思います。そして、最も現実的な部分。それは、お父さんがダミアンがジャッカルから生まれた子で、悪魔の生まれ変わりで、なおかつ自分の子供はすり替わる為に生まれてすぐ頭を割られて殺されたにも関わらず、ダミアンを殺せなくて、警官に射殺されてしまうところです。いくら現実がどうであれ、5年間自分の子供として慈しんできた子供を殺す事はできない父親の心情が、その表情から、その辛さがにじみ出ていた。それを踏まえての、ラストシーンのダミアンの笑顔がさらに絶大なインパクトを生み出したのだとも思います。私が今も昔もこの映画を見て思う事はこの点です。神様というものは悪魔の前では本当に無力なのだろうか?という事。私が知る限り、悪魔が勝って終わるホラー映画というのは少ないのです。大抵は悪魔払いができる牧師さんの勝利・・・となる場合が多いのですが、この映画はあくまで、神様は無力に描かれている。この映画を見るたびに、教会に行く機会がある度に、私はこの映画を思い出して、今も1人考えにふけります。

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6月6日の6時に生まれ、額に666のアザがある悪魔の子、ダミアン。ある夫婦が死産したことで孤児である男の子を引き取り、その子にダミアンと名付ける。夫婦は公私ともにとても充実した生活を送っていたのだが、ある日、ダミアンの乳母が異常な自殺を図る。それ以降、ダミアンの周りでは奇妙な事件が立て続けに起こり、不思議に思った父親は調査を開始。そしてその原因がダミアンにあることにたどり着く…666は新約聖書のヨハネの黙示録において“獣の数字”とされているので、時々ホラーなどでも「666」っていうのを見かけてはいたんですが、このオーメンで何か違った怖さを感じました。もしかしたらこの奇妙な出来事は偶然が重なったものかもしれないけれど、それを調べていくうちに「666」が出てきて、全てがダミアンに結びついているというのも新しいホラーといった感じがしました。ホラー映画いろいろありますが、これが精神的に怖かったです。この感想を読む

4.54.5
  • もりぴよもりぴよ
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  • 401文字

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