他人事とは思えなかった - 僕と彼女と彼女の生きる道の感想

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僕と彼女と彼女の生きる道

4.134.13
映像
3.88
脚本
4.25
キャスト
4.00
音楽
3.63
演出
4.13
感想数
4
観た人
7

他人事とは思えなかった

3.53.5
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
3.5
音楽
3.5
演出
4.0

目次

本当の親子のよう

主人公である小柳徹郎役の草彅剛さんと1人娘役の美山加恋ちゃんはまるで本物の親子のようでした。特に笑った時の目元なんてそっくりで、以前にテレビで見た密着取材でも草彅さんが加恋ちゃんを気遣っている様子が微笑ましかったです。草彅さんはSMAPとしても数多くの作品に出演されていて、演技力はよく知っていたのですが、こんな風に冷徹な夫を演じるのかと感心しました。当初の感じは本当に最低な夫でしたものね。そして、美山加恋ちゃんは「はいっ」という返事がとても可愛らしく、演技はまだそんなに上手という印象はありませんでしたが、逆にドラマをリアルにしてくれた気がします。両親の間で揺れ動く子供の気持ちがすごく伝わって来ました。徹郎の妻である可菜子役のりょうさんは、正直少し意外でした。あんまり耐える奥さんというイメージがなかったからです。どちらかというと、仕事が出来るキャリアウーマンという感じだったので、家事や育児に追われる奥さんという点では他の女優さんの方が良かった気がします。ただ、ゆら役の小雪さんはイメージピッタリでした。長い髪と知的な雰囲気が、いかにも「家庭教師」という感じでした。どうしてもドラマを見る時には変な先入観が出来てしまうのですが、脚本がリアルだったからかすんなりと受け入れられました。特に徹郎の上司役の小日向文世さんは会社の中には必ず1人はいるタイプですよね?

子供にだって意見を聞くべきです

ストーリーは、銀行印である徹郎の元から妻が突然居なくなる所から始まります。仕事の忙しさを理由に家庭の事は省みず、子供の事も奥さんに任せっきりだった徹郎は慌てます。家の中の事はしたこともないし、1人娘の凛とだってほとんど交流してこなかったんです。食事の世話だけで大騒ぎです。そんな父親の姿に凛もまた戸惑います。そりゃあそうです。今までろくに話した事のない父親といきなり2人っきりの生活が始まるんですよ?幼いながらも徹郎を気遣ったりして、おそらく心はヘトヘトだったでしょう。そして、そんな凛を心配している家庭教師のゆらによって、2人はやっと親子らしくなっていきます。公園で逆上がりの特訓をしたり、動物園でペンキ塗りたてのベンチに座ったり、次第に笑顔が増えていきました。おそらく世間にはこういう父親はたくさん居るのでしょう。かくいう私の父親もこうでした。徹郎とは違いますが、家庭を省みる事はありませんでした。それでも子供は父親が大好きなんです。怒られたくないからビクビクしているのではなく、嫌われたくないからビクビクしているのです。そして、そんな凛の気持ちは徹郎にも届きました。彼は凛の為に「良い父親」になろうとします。慣れない料理をしたり、凛の為に会社での立場よりも家庭を優先しました。そして、2人の努力の結果。徹郎と凛はやっと普通の親子に戻れたのです。可菜子が帰ってくるまでは。可菜子の帰宅で新たな問題が浮かび上がりました。そうです。親権の問題です。世間では母親が親権を持つ方が良いとされていますが、本当にそうなのでしょうか?調査員の方が話しを聞きに来ますが、どうして凛の言葉は聞いてあげないのでしょう。もし、凛の言葉を聞いていたら結果は変わっていたのかもしれません。いろいろな事情があったのかもしれませんが、やっぱり子供を置いて家を出るというのはどうなんでしょう?結局、徹郎は凛と離れる事になりました。でも、可菜子は知らなかったのです。今の徹郎はもう昔の徹郎ではないという事を。今の徹郎は、誰よりも家庭を、凛を大切にする良き父親なのです。それが証拠に可菜子の母親までもが徹郎の味方をしました。徹郎は凛と離れて初めて後悔した事でしょう。最初から家庭を大切にしていれば、凛と離れる事にはならなかったのです。本作のテーマが「絆」というだけあって様々な絆がありました。徹郎と凛だけではありません。徹郎と可菜子の関係。徹郎と父親の関係。そして、徹郎とゆらとの関係。それぞれの絆を結ぶ事で人は生きて行くのですから。

主題歌はあの人?

ドラマが始まってからずっと話題でしたよね。主題歌を歌っているのは誰かと。優しいメロディーに良く似合う、優しい歌声でした。タイトルは「WonderfulLife」でアーティスト名は「&G」という、聞いた事のない名前でした。名前でしたが、もうファンの方は分かってましたよね?そうです。SMAPの稲垣吾郎さんです。最初にその事に気が付いた時には思わずテレビ画面に向かって、母親と一緒に「えーっ」と叫んでしまいました。声だけでは全然気が付かず、新人さんだろうと思っていたんです。それがまさか稲垣さんとは。でも、彼が起用されたのはおそらく草彅さんと同じグループだからではないと思います。稲垣さんが持つ、どこか女性に近い優しい歌声がこの作品に合っていたからだと思います。

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心温まるドラマ

父と子のきずな母親が突然家を出てしまったその後からドラマが始まる。主人公銀行員の徹朗演じるのが草彅剛、娘りん役を演じたのが美山加恋である。徹朗は元々仕事一筋で家庭に全くの無関心であったが、母親が家を出た後、娘りんとの交流を経て、良い父親へと変化していく。この過程が心温まり、時には涙を誘う。その娘も親の変化や、両親が元に戻らないことを子供ながら、いや子供だからこそ敏感に察知しており、それでも甘えたくなってしまう幼さながらの「心」も持ち合わせているのが尚、人々の心に深く突き刺さったものだと考えられる。親子を支える周りの協力出て行った妻の母親(姑)や、りんの家庭教師、徹朗の職場の関係者、りんの学校の先生など、周りとの関わりもしっかりと地に足をつけて描かれている。特に家庭教師の助言や、包容力が人々の心を軟化させる重要な役割を担っている。家庭教師は常に娘りんの味方であり、彼女の気持ちを近くにいるか...この感想を読む

4.04.0
  • もあんもあん
  • 664view
  • 1025文字
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丁寧に描かれた物語

2004年フジテレビ系火曜22時枠「僕シリーズ三部作」の第二作目主演はスマップ草彅剛。初の父親役に挑んだ。娘役の美山加恋は今作で注目を集めた。家庭に無関心で仕事一筋で生きる小栁徹郎。ある日彼に愛想をつかした妻が、幼い娘を置いて家を出ていった。娘と二人残された徹郎は、自分の子どもをどう扱っていいかわからず戸惑う。そこに娘の凛の家庭教師である北島ゆらが現れるが…。繊細で丁寧な心理描写と静かな風景がマッチし、しっとりとした雰囲気を持ちながらもか、現実の厳しさをおろそかにせずに描いているドラマだといえる。見どころは主人公徹郎が、回を追うごとに気持ちが変化していくところだ。娘との関係が変わっていく様子はいとおしく、暖かい気持ちにさせられる。主人公徹郎役の草彅剛の感情表現が絶妙だ。娘をいとおしく思う気持ち、幼い娘にイライラする気持ち…すべてがリアルで説得力がある。娘役の美山加恋は、自然な演技がいい...この感想を読む

5.05.0
  • ayaaya
  • 98view
  • 515文字

親子の絆を考えさせられる作品

このドラマは離婚してくださいという衝撃の一言から始まる作品です。物語としては父親と娘とのやり取りの中から生まれる絆が描かれております。そんなやり取りを家庭教師が見守り、時にはより良い方向に導いていくというのが物語の流れです。作品の中では、家庭環境だけでなく、職場での人間関係、妻との間での娘とのやり取りを丁寧に描かれていて、コミュニケーションの大切さを表現されているのではないかと思います。主人公の取り巻く人間関係や環境により娘とのやり取りにも変化が表れます。物語の中では、この父親と娘とのやり取りにかなり重きが置かれ、濃厚に描かれており、思わず涙することもありました。この作品を通して、家族との何気ないやりとりの大切さを実感することができるのではないかと思いました。この家族との関係に周囲の人間達のアドバイスを経て、父親と娘の間の絆がより強くなっていくのが見れます。また、その他の登場人物の心情...この感想を読む

4.04.0
  • ヨクサルヨクサル
  • 94view
  • 666文字

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