心温まるドラマ
父と子のきずな
母親が突然家を出てしまったその後からドラマが始まる。主人公銀行員の徹朗演じるのが草彅剛、娘りん役を演じたのが美山加恋である。徹朗は元々仕事一筋で家庭に全くの無関心であったが、母親が家を出た後、娘りんとの交流を経て、良い父親へと変化していく。この過程が心温まり、時には涙を誘う。その娘も親の変化や、両親が元に戻らないことを子供ながら、いや子供だからこそ敏感に察知しており、それでも甘えたくなってしまう幼さながらの「心」も持ち合わせているのが尚、人々の心に深く突き刺さったものだと考えられる。
親子を支える周りの協力
出て行った妻の母親(姑)や、りんの家庭教師、徹朗の職場の関係者、りんの学校の先生など、周りとの関わりもしっかりと地に足をつけて描かれている。特に家庭教師の助言や、包容力が人々の心を軟化させる重要な役割を担っている。家庭教師は常に娘りんの味方であり、彼女の気持ちを近くにいるからこそ察知し、時には代弁することもあった。徹朗が学校に働きかけたり、離婚時の裁判で親権を主張するなどドラマを展開する上での大きな決断の前には常に家庭教師の存在があったと言っても過言ではない。そして、家庭教師自身も、親子との交流で、気持ちに変化が現れる。このドラマは、誰もが変化し成長する、波及の大きな作品である。
りんの気持ちと娘としての成長
最初の方では、あくまでも控えめな大人しい印象を抱かせる存在だったが、徐々に子供らしさを徹朗の前で見せ始める。りん自身も学校でのイジメであったり、母親からの突然の連絡であったりなど、彼女なりの大きな問題が立ちはだかっていたが、どう動くか、どこで徹朗に想いをぶつけるかなど心を開いて親子としての交流と彼女自身の成長を視聴者側としては常に見守られるように、ストーリーが展開されていく。次第に視聴者側も、りんの近しい存在(親、親戚)として見守っているかのような錯覚が起きてしまいそうになる。
りんの存在は、周りにも大きな影響を与えていると考えられる。もちろん徹朗は、りんとの交流を第一に考えて、最終的には銀行を辞めて、レストランで働き始める。そして、出て行った母もりんとの再会によって、徹朗の父親としての自覚の芽生えに気がつくほどに。りん自身は、父と母が一緒に暮らすことを理想としていたが、壊れてしまったことをしっかり受け止められる、周りの大人よりも精神的に大人の女性へと成長している過程を見られるのが何よりの感動である。
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