まだまだ波乱のありそうな展開 - Honey Huntの感想

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Honey Hunt

3.673.67
画力
4.17
ストーリー
4.00
キャラクター
3.67
設定
4.00
演出
3.67
感想数
3
読んだ人
3

まだまだ波乱のありそうな展開

4.04.0
画力
4.0
ストーリー
4.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

ゆらの気持ち

親の七光りと言われないように、地味に地味に…そうやって自分を押さえつけて暮らしてきたゆら。音楽家の父、女優の母。父はいつもニューヨークにいて、母は同じ場所に住んでいてもほとんど帰ってこない。そんな環境の中でも、自分のことをただの「ゆら」として見てくれるシンちゃんがいるから…彼女なりにいつか親を捨ててやるって決めていた。

そんな彼女に突如として訪れる両親の離婚。しかもお父さんが外で不倫していたことがばれたらしい。というか、母親である白木紫も、父親である小野塚も、どちらも好き勝手の付き合いをしてきた関係。お互い離れて暮らしているんだし、無理なんだよね、しょせん。突如として離婚するといい、母はゆらに「どこへでも行けばいいわ」と言う。いったいなんだって娘にこれほどきつく当たるのか…。謎。しかも愛しのシンちゃんでさえ、母親に寝取られていた。別に付き合ってたわけじゃないけど、ゆらの気持ちを知っているのにこの仕打ち。いったいこの母親は何をしたいのか?!第一部では全然わからない。

ゆらは、両親を、特に母親を、どうにか負かしてやりたいと考えて、溝呂木の導きに従って女優としてのデビューを目指すことになるわけだが、それもまたすごいガッツだよね。ふつう、親と同じ道を歩みたくないとか、どうにか鼻の穴をあかしてやりたいと考えると、まったく関わりのない道を選択しそうなものだけど…あえて女優で勝とうとするのは、溝呂木の導きがあったにせよ、ゆらの意地と強さを感じるし、そういうところがきっと母親にそっくりなんだろうなと言う気もする。

3人の男たち

まずQ太ね。彼はもう、小野塚の息子になりたいってだけな気がしてならない。というか、最初からそのつもりでゆらに結婚してって言うくらい、小野塚を尊敬しまくっているわけだから…もしかしたらさ、小野塚の愛人かもしれないじゃん。もしくは彼の差し金で登場した、スパイのような存在とか。ゆらと本気で恋に落ちてくれているのか、6巻のニューヨークへの旅立ちを経てもなおまだ疑っている。確かにイケメンで、ゆらを支えてくれていることも確か。もしかしたら、スパイだったんだけど、本当にゆらを好きになっちゃったんだよ?っていう明るい終わりが待っているかもしれない。そちらを期待したいところではある。

だけどね、ハルカがもう…作者である相原さんが好きそうな、非常に不器用なヒーロー的ポジションなんだよ。ゆらのこと、絶対双子の兄貴・Q太よりも好きだって自信がある。どうか自分に振り向いてほしい。俺の気持ちに気づいてほしい。だけど自分から告白なんてできるかよ…そんなのカッコ悪すぎる…と考えている、非常に意地っ張りな男。こういう一見ダメそうな、若干エゴイスティックな男を作者の相原さんは好むからね…非常に脈アリな男なのだ。実際、Q太だけじゃなく、ハルカにもゆらは救われているし、助けられている。6巻過ぎてもまだ彼女は気づいていないけれど、もしかしたら…って可能性もなくはない。

一番ゆらにとっての恩人は溝呂木さんだろう。彼はゆらを芸能界に引き入れ、自信をくれた人。自分の才能に、輝きに、唯一気づいてくれた人だ。そしてそれは溝呂木さんのゆらに対する恋心でもあったりして…ゆらと言う人間を芸能界でお金を稼ぐ一流にしたい気持ちと、それだけではない気持ち。それを認めざるを得なくなっていく…っていうのは非常に心打たれるものがある。

本命どうする?

今のところ、最終巻だという6巻までは完全にQ太に軍配が上がっている。ゆらはあれだけ苦労して、女優の母親を打ち負かそうと決めた仕事も捨ててQ太とともにニューヨークへと旅立つことを決めてしまった。でも、どうやらここまでがこの物語の第一部らしく、続きを描くつもり…ではあるようだ。他の作品と同じで、どんどん新連載始めて同時進行してしまうため、いつまで待っても続編の開幕は…なさそうだけどね…。

気持ち的には、Q太がもし小野塚の名前がほしいだけ・もしくは逆に小野塚に復讐したいと考えているような輩だったとしても、ゆらを心から好きになって結ばれて欲しいという気はする。だけど、作者さんの傾向を考えたら、Q太の裏切りのあとに、救ってくれるのはハルカなんだろうな…とは思うんだよね。きっと最初から最後まで、ずっと好きでいてくれた人であり、支えてくれた人に違いない。ゆらにとって、女優を続けていく道を選ぶなら、ハルカとの未来がお似合いなんじゃないかな。意地っ張りで不器用で、だけどどうしようもなくゆらが好き。そんなハルカに春がやってくる可能性もゼロじゃない。

溝呂木さんは完全に当て馬の可能性大だけどね。彼はゆらをきっと一流にしてくれる。第2部以降でもしかしたら気持ちを伝えてしまうこともあるかもしれないけど、やっぱり身を引くんだろう。彼女の何に惹かれているか?白木紫の血筋?小野塚の血筋?ゆら自身が放つ魅力…?「ゆら」という商品価値のある人間への期待と恋をはき違えている。そういうことにしてなかったことにしてしまうかもね。それが、彼なりの決着の付け方になるかも。どうやったって、ゆらがQ太とハルカじゃない人を選ぶ気がしないもの。

まさかの親子愛の可能性も

もし、このドロドロした親子の間に愛を生じさせるとしたらどういう進行が考えられるか?それは、母親のゆらに対するあたりの強さはわざとで、自分たちから切り離してあげることで彼女を自由にしてあげようとした、女優である自分からのせめてもの愛だった…的な流れかなと思う。それがまさか溝呂木さんの策略で同じ舞台に立とうとしてくるなんて思っていなくて、考えていたシナリオとは全く別の方向へと事態は展開していくのであった…とか。

さっぱり登場してくれない父親である小野塚との話が、第2部からは始まるんだと思う。彼からみたゆら、妻だった白木紫への気持ち、どんな恋をしてゆらが生まれたのか、どんな間違いが起きてしまったのか?それを教えてくれることを願っている。

もしかしたら、どこかのタイミングで和解することもありそうだよね。そうじゃなきゃ、いつまで経っても親子としての絆や、ゆらのがんばりが認められることなく、恋に走って終わりなんていう、非常に残念なことになりかねない。彼女が輝ける道がきっとあるし、それをサポートしてくれるのが親であるように、願いたいものだ。

ただ、もしかして母親にゆらへの愛情があったとして、このやり方は非常に間違っているし、シンちゃんを寝取ったことももはや趣味なんじゃないかと思ってしまう。どっちにしろ、こんな母親は嫌だ。

第2部の幕開けはいつになるか

…待てど暮らせど続編はやってこないわけで。他にも相原さんの作品では待っているものが相当数あるため、いい加減待ちくたびれて他の漫画を読むほうが楽になってしまった。それに、この作品も含めて、だいたいがドロドロしたものがたまりにたまってぐっちゃぐちゃの恋模様を繰り広げるため、いつも若干胃もたれを起こしながら読んでいる。別に自分のことでもないのに、なんだか不健康になってしまった気分になるんだよね。それくらい影響力のある構成の物語が描けるだけでもすごいことではあるが、実に体に悪い漫画だよなー。

5時から9時まで」の場合じゃないよ、古い物語完結させてよ…と思いながらも、ついつい読み返してしまうくらいの魅力ある作品。できればQ太とゆらのハッピーエンドで、締めくくってもらえると嬉しい。音楽家の小野塚と女優の白木紫ではなく、音楽家のQ太と女優のゆらが結ばれることで、まったく違った世界が開かれる…それがゆらの母親に見返してやれること…とかね。

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他のレビュアーの感想・評価

韓国ドラマかよという母親と恋に惑う娘

才能を開花していく感じははっきりしてないびっくりするほど主人公をはじめで突き落としますよね。母親は外面だけ、父親は出てこないし、信頼していた人は母親と肉体関係あり。どんだけひどい…しかも、地獄に落ちればいいっていう発言から、なんで溝呂木さんは才能を見抜くわけ?全然雰囲気が伝わらない…肝が据わってるからってことなんですかね?お金の臭いどこにもしないけど…芸能事務所の人って直感で動いてるんでしょうか。ママに勝ちたいってだけで生きていける世界じゃない。多くのカメラを前にして、自分の言いたいことを正直に発言できるっていうところに価値があるのかな…惹きつける能力って表現しづらいですよね。あと作風的にあまり背景にふわーとかぶわーみたいな描写が少ないので、あれでばっちり出ているほうだったのかも…と推測はしてみました。溝呂木さんは本心が全く読めないまま進んでいくので、まだまだわかりません。溝呂木さん、...この感想を読む

3.03.0
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