取り合われたい女の子の欲望をふんだんに
エロさ引き立つショートカットのもも
髪の長い女の人もいいけれど、ショートカットの女の子って…可愛くなきゃできないと思うんだよ。余計に美人で、余計にフェロモンを感じるよね。“地味で冴えない”の代名詞であるかのようなメガネ、そしておさげ髪。そのどちらも取り払って、美女へと変貌する山田もも。唯一の肉親・おばあちゃんのためにいい学校に入ってなんだってがんばってきた彼女は、おばあちゃんを失って満身創痍。そこに蘭丸の母親がやってきて、引き取ってくれるって言うじゃない。そこでは蘭丸と弟のサクラが暮らしていて、ももに住む場所・食事・学校生活の何もかもを保証してくれることとなる。こんな大逆転って…あり?
そこからはもう今までなぜ誰も気づかなかったのか、というくらい山田ももはモテまくり、ちやほやされまくり、蘭丸に愛されまくる。いや、カラダの関係はないけれど、もうお互いに最初からラブ全開って感じで、いじめ・嫌がらせもなんのその、ものともせずに自分たちのワールドに浸っているのである。
浸っているだけならまだかわいいものだったのだが、山田ももを狙って次々に現れる男たち。花の香りに魅せられているのか、ももの顔に惚れ込んでいるのか、もはや男たちにとってはどっちでもよくて、かわいこちゃんを自分のモノにしようとオオカミのように群がり隙あらば服を脱がすのである。男たちは基本面食いってことよ。見た目が素敵ならついついホイホイ寄っていく。それが人間の男…。
蘭丸しっかりしてくれよ
別にね、ピンチは蘭丸が救ってくれる。それだけでいいのよ。なのに、そのピンチはどう考えても山田ももが自分で招いてしまったものもたくさんあるわけ。いきなり自分がモテモテになって、周りのあつかいが180度ガラッと変貌したのだから、受け入れられなくて逃げるとか、うまく人づきあいが出来なくて悩むとかさ、そういうかわいらしいところを想像してしまうじゃない。それが、少し気を許したらもうOK。誘拐されるわ、閉じ込められるわ、密室で2人きりのシーンなんて幾度となくあった。決して最後まではいかないけれど、挿入してないだけでそれはもうまずいよね?という段階まで行為は進行してしまう。
蘭丸だってさすがに山田ももを振ってくれればいいのにさ…一度別れるような展開になった時も、山田ももは別の男のもとへと逃げ込むのである。いいよね代わりがいてさ。可哀そうな自分をいくらでも守ってくれる男がいるもんね。
数えてみたら、山田ももがたぶらかした男たちはもう2桁超えているのよ。矢野から始まり、入れ替わりをした花音、下心丸出しの梅吉、花神、花織、プラチナ、アラジン、蜂巣、水人、タクロー、黒羽、晴山、花形、ターザン、紅葉、水仙、若葉…17人もの超一流イケメンたちを次々に手ごまにとり、お預けさせて、最後は蘭丸のもとへと帰っていくももがもうーー憎たらしいのなんのって。好きで好かれたわけじゃないとか、言わせるか!どう考えても浮気レベルだからね!自分が花人なのを少しは自覚して行動してくれないかな!
さすがにね?もう少し性格が良くて、謙遜するような子だったら応援したよ?好かれちゃって大変ねって言ってあげられたはずなのにさ。いやいや、腐ってますから!
純系花人にわたしもなりたい
まぁ、山田ももがそういう人間であったことは仕方ない事だとして。純系花人には自分だってなってみたい。柔軟剤がなかろうが、花の香りをまき散らし、周りの人々をうっとりさせることができるってんならやってみたい。言葉がうまく出せなくても、香りと見た目で印象ばっちりなら、もういいじゃん。コミュニケーション成功じゃん。あとは商談もどうにかなるでしょ。
終盤に純系花人であったというももの母親、ななが登場するが、あの人が出てこようと、ももの奇行は止まらない。もう少し母親との時間、思い出について語ってくれてもいいじゃないか。すぐにエロ描写へ走りやがる。まったくどこにも感情移入できないんだがどうしてくれるんだ。山田ももがどこにいようと、必ず助けに来てくれる蘭丸。持て余したお金でどこへでもはせ参じる彼はもはやあっぱれ。苦労人である。
確かに現実世界においても、別にそんなかわいくないよね?って思う人がなんか惹きつける魅力を持っていることはある。目には見えないけれど、オーラみたいなものってあると思うんだよ。経験とか、考え方とかがにじみ出ている感じ。花人にはなれなくても、そういう自分の意識で作れる雰囲気・空気感はあると思うから、できるだけ振舞いには気を付けたいなと思ったね。まさか自分が花人のようにモッテモテになることなんて期待していないけれど、人として尊敬してもらえるような行動のできる人間にはなりたいよね。
女の子はメイクと髪型と服装
女の子って、今時のメイクならいかようにも変身できてしまう気がしている。髪型、服装、メイクにできるだけ時間とお金をかけることができたら、いいところまではかわいくなるんじゃないかな。素材が大事って言うけど、二重は作れる・大きな瞳はカラコンで作れる・唇だって分厚くできる…なんでもアリやなと。
メイク動画とか見て研究する時間があったら、男の子だって女の子だってやりたいと思うんだわ。あの変わりようはすごいって。自分に自信が持てるようになることと、服装や見た目が変わることのどっちが先かと言えば、どっちが先でも構わなくて、とにかくどっちか取り組んでみれば、自然と女らしく、自分らしく生きていく方向に進んでいく気がする。いつの時代も、女の子はみんなかわいくなりたいねん。そして男はかわいい子を連れて歩きたい。かわいい子っていうのは、がんばって自分をかわいくみせる努力をしている人のことやと思うんだ。あざとい嫌な女ってことじゃなくてね。自分かわいいでしょって自慢することではなくて、そのまんまで、できることを一生懸命やっているってことが伝わるほうが、好印象だと思う。
山田もものように花の香りがしなくたって、柔軟剤とシャンプーでがんばればいいじゃん。無理に香水使わなくたって、何気ない香りで惹きつけてやりゃーいいじゃないか。カワイイは作れるのだ!きっと。
でもこんな女にはなるな
とっかえひっかえ、いつでも蘭丸くんの後ろ盾があるから自由に浮気しまくることができるような女にだけはなりたくないし、そんな奴には引っかかりたくないね。友だちにもしたくない。山田ももにできた友達って、みんな彼女に惚れ込んでしまっていた、何かの間違いでいつでもすごいことが起こりそう…。簡単にキスさせるし、簡単に騙されて簡単にコロッとドキッとしてしまうなんて、ガードが緩すぎる!いつか刺される!
蘭丸くんも、しょせんは山田ももの香りに毒された人間。その呪縛から解き放たれることなんてないのだろう。山田ももがいくら他の男に犯されそうになったって、キスされたって、服を脱がされたって。何度でも蘭丸くんが助けに来てくれる。なのに、蘭丸くんがちょっと女の子とお話してたからってきーきー騒いで、私のもんだと騒ぎ立て、真実確かめることなく自分はどこかの家に逃げ込むのはいかがなものか。自分のふり見てから言って!と言いたい。
そんな感じで、まったく主人公には感情移入できず、残念だった。ちょっとエロいのがウリかなと思うし、そんな彼女を自分に置き換えて、妄想するのを楽しむのに使う漫画だと思う。
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