命がけの作品だっただけに、内容の破たんが惜しい
出だしから内容が破たんしている
この作品は、元々高見広春氏原作のバトルロワイアルを映画実写化した作品の続編の位置づけであるが、高見氏が描きたい結末だったのか、高見氏だったらこういう続編を描いたかというとはなはだ疑問である。やはり、他の人の手に渡ってしまうと、作品が全く別物になってしまうこともあるという典型事例ではないだろうか。
そもそも出だしからして内容が破たんしてる。独裁的に殺人を強要する大人の法律から逃げ出した七原と典子が、なぜ罪のない人間を殺すテロリストになっているのか。これではBR法を強要している政府と同じかそれよりたちが悪い。この時点でこんな七原見たくないと思うファンも多いと察する。七原の設定だけでも無理があるのに、七原をやっつけるために組織されている中学生が、バディ制で戦闘をさせられ、片方が死ぬともう片方も死んでしまうというのも、単純に自分たちを不利にするだけで意図が分からない。そもそもテロリストに対抗しようとする気があるのかと思ってしまう。
同じ理解しがたい設定でも、独裁国家であるという得意な背景から、川田の存在を通じて理不尽に抗った原作や第一作目は理解はできる。しかし本作は、ただ意味なく人が死ぬ様子を描いているだけという感じで、感情移入しにくい構成となっている。
登場人物が全く印象に残らない
あれだけの大物俳優を起用しているのにもかかわらず、全く登場人物の印象が残らない理由として、川田や三村など、前作の主要キャラに匹敵する魅力的なキャラクターがいないことが挙げられる。主役級のキタノシオリですら結局何がしたかったかよくわからず、拓馬やなおに至っては影が薄すぎ、テロリストの首領である七原ですら脇役程度の扱いだ。しいて言うなら奇天烈だというだけでRIKIという竹内力さん演じる教師が目立っていたことくらいだろう。厳しい言い方であるが、モブキャラばかりで構成されているような作品である。
一作目は元々原作ありきだったため、事前に固定キャラのファンで映画を視聴した人もいただろうし、映画からファンになった人もいるくらい、生徒の個性が生きていた。この作品は個性がない上にとにかくやたら無意味に生徒が死んでしまうので、亡くなった生徒の名前などが表示されても全く心に響かない。演技力自体は優れた俳優を大量起用しているのにこれだけ没個性にできるのは、ある意味すごいと言える。
命がけの作品だっただけに、惜しい
深作欣二監督が撮影中に亡くなるなど、命がけの作品だっただけに、一作目を超えられなかったのは残念としか言いようがない。作り手が作りたかったものと、ファンが観たかった続きに大きなずれがあったという事だろう。むしろ新しい生徒は一切出さず、七原を中心に、三村の妹や叔父、息子や娘を無くした3年B組の生徒の遺族が、あらゆる手段を使って協力し、国家の転覆に成功する話の方がずっと爽快感があったかもしれない。脚本次第では一作目を凌駕できた可能性もあるだけに、非常に惜しいと感じる。
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