実写にするとこんなにキモいか
黒歴史らしいよ
主役のマリオを演じたボブ・ホスキンスさんによると、彼にとっては黒歴史だとのこと。そりゃー…あんな格好で真面目にやろうったってなかなか難しいよね。よくやったなと思うよ。
舞台はアメリカのブルックリン。6500万年前に隕石が衝突してから、実は恐竜が生き延びてそのまま発達した世界ができあがっていたらしく、その恐竜王国へと旅に出ることになる、マリオ兄弟が主人公だ。配管工として働くマリオとルイージは、ライバル企業に仕事を取られて貧乏暮らし。それでも真面目に働いて、細々と生きていた。そんなとき、化石発掘チームのリーダーをしていたデイジーにルイージがほれ込み、彼女が連れ去られたことで、救出を試みるというものである。
ゲームの中のピーチ姫みたいに、ただクッパにさらわれてきゃーきゃー言ってるだけのお姫様ではない。デイジーは恐竜王国の姫であり、クッパの侵略から逃がすために母親が人間世界の孤児院に預けたのである。なぜデイジーをヒロインにしたかと言えば、たぶん“ピーチ”ってアメリカの俗語だとかなり…ダメな言葉になるからだよね、うん。そしてマリオの最愛の人はダニエラ。全然ピーチ姫っぽくないし、ちょい役だった。というか、マリオとルイージ以外は普通に1993年当時の流行りの服装。本当にかわいそうな気分になったよ…ファイアボールの出し方で、花食べて手から出すってこんなに怖いことだったんだね。そして、マリオカートを一般の車に対してやってはいけないね。
お気に入りはマリオの生き返り方
一番すごいのは、マリオが普通にジャンプ失敗して転落しゲームオーバーしたときの復活劇。実はマリオの死体が何体も積まれた広大な大地に落下していたとは…っていうか、あれを見ると、マリオは頻繁にあのポイントで同じように落下していることがわかるね。腐った死体に、落ち武者になったルイージのような生物、ボロボロでおどろおどろしいはてなボックスやコインなどなど。今まで普通に復活してゲーム再開できていたのは、復活したんじゃなくて新たなマリオがまたコース攻略を始めたってだけで、死んでいったマリオは骸になっていたのかもね。…怖すぎる。実写でマリオが生還できたのってあの雲がなかったら無理ゲーだったし、運がよかっただけ。死んだところから復活するマリオなんて聞いたことないよ!中間ポイントに戻ってから復活して!意味がわからないけど一番お気に入りだね。この謎の復活は。忠実に表現するだけじゃなく、アレンジもかなり入れている。
実写にして苦しかったのは、ヨッシーだね。あれ、完全に恐竜だよ…?ヨッシーって、そんな怖いやつじゃないんだよ。怖くて乗り捨てもできないわ。また、キノコの胞子いったいどうなってんの?フラワーとか割と普通に食べれるくらいのサイズなのに、キノコだけなぜあんなにもキモくさせる必要があったんだろうか。あれをどう食べろというの?わからない…でも食べるけどね、マリオとルイージがでかくなるために…確かに、ゲームの中でも、キノコを食べるんじゃなくて接触して巨大化するものだったからね。食べるフォルムにはしなかったのかもしれない。
ゲームのマリオを知っているからこそおもしろい
マリオのゲームを知らないってことはないだろうが、プレイしたことのない人がこの映画を観るにはかなりきついものがあるだろう。何しろ、意味不明だからだ。マリオとルイージが協力してデイジー姫をクッパから奪還しクッパを倒す目的はわかりやすいが、その途中で巻き起こるイベント、マリオワールドならではの行動がブルックリンとダイノハッタンでさえも浮いているから失笑だろう。マリオのゲームを楽しんだことがある人なら、その実写化の仕方にある意味ウケると思う。なんで世界が地下帝国なんだよ土管どうすんだよって思ったり、クリボーはフランケンシュタインみたいになってて雑魚キャラ感が消え失せているし。ノコノコはかわいさ残したのになんでクリボーのあつかいひどいのかなって笑っちゃったよ。常に瞬殺される雑魚キャラでありながら、その出現率は確かに驚異的。そしてゲームの中ではその絶妙なポジショニングによってゲームオーバーしてしまった人も少なくないはず。クリボーはある意味最強かもしれない…と感じている人も多いのではないだろうか。だからデカくしてあげたのかなーなんて考えてしまった。ノコノコやパタパタなどがいろいろいるのに結構な贔屓だ。
なんかこう…嫌なのが、マリオはしゃべらない寡黙さがよく、随所で言うあのセリフと効果音がウリであるのに、そこが反映されることなくマジでよくしゃべること。そんなの…マリオじゃない!!
姫も実写でグラマーだと困る
一番困るのが、ヒロイン含め登場する女たちがグラマーであること。かわいい系でまとめてくれればよかったのにさ。ボインボインで楽しそうなマリオとルイージの残念感・ヒーローじゃない感じが非常に残念だった。マリオとルイージの旅はそんなに下心にまみれているの…?!確かに、姫を救うためにクッパを倒そうとする物語だからね。色恋が最終目的になっていて、世界を救う的な話は二の次なのよ。愛する人を救えれば万事OKというわけだ。今回は、たまたま意中のデイジーが恐竜王国の王女だったというだけのこと。しかも、今作ではマリオではなくルイージの意中の相手を救うための旅。普段絶対脇役のルイージを敢えて引き立ててくれたのだろう。ルイージ好きは嬉しいが、大事なところは全部お兄ちゃんが解決してくれる。ルイージ、もっとがんばれ。マリオカートでイラついている場合じゃない。
また、ゲームの中では、どっちかというとクッパは何度でも姫を狙ってくるので、そんな惨殺はしない。しかしこの実写版マリオではクッパを完膚なきまでにぶっ倒す。それもまた嫌なポイント。最終的に水になってしまったクッパがなんだかとても寂しくてね…もう絶対復活しようがないよね…ていうか、クッパはもっと亀でイガイガしているのがいいのに。あのフォルムだからできる技があるのに…なんで人型なんだ。納得できない。
続編ではなく冒険が続くことを表現
ラストはデイジーをきっちり救ってクッパをぶっ倒してエンドだ。デイジーは恐竜王国の王女の血筋であったことがわかり、彼女はいったん王国再建のために残ることとなる。ルイージとは完全な遠距離恋愛となったのだ。その隙になぜか帰還後マリオがダニエラと結婚。触発されてしまったんだろうか。ルイージへのあてつけ…?
しかし、物語はまだ続くらしい。戦闘服を身にまとったデイジーが現れ、マリオとルイージに一緒に来てほしいとお願いする。これは…もしかしてクッパ復活…!少し楽しくさせて終わりを迎えてくれた。彼らの冒険は続く。続編が出るわけないけど、マリオとルイージは常にクッパたちと闘っていく運命なのだ。
しかし、ここでも納得いかないのが、デイジーに一緒に来てほしいと言われて、なんでまずルイージじゃなくてマリオが返事するの?そこ、逆だろう?この物語はルイージに多少花をもたせてくれるんだろう?マリオに始まり、マリオに終わる。それがスーパーマリオの世界だとわかっていても、実写映画の中でしかルイージはおそらく輝けなかったのに…もったいない。どちらかといえば、マリオとルイージ、2人で元気よく冒険に旅立つってことで締めてほしかったなー。
日本ではまっったく人気が出なかったらしいが、個人的にはそのシュールさに惹かれている部分がある。
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