リアルな描写とあり得ない設定の微妙なバランス！ - クローバーの感想

メインキャラ、誰に感情移入して読んでもハッピーな気持ちに！!

この漫画の魅力では、主人公の鈴木沙耶、谷上一葉、松沢里李香の同期3人組のキャラが立っていることは、外せないですね。
ものの見事に3人、それぞれ別の性格をもったキャラで描かれています。
恋愛ご無沙汰の沙耶、不倫の一葉、惚れやすい里李香といった定番キャラで構成されています。
主人公は、恋愛に臆病になっているという、誰にでも親しみやすいキャラ。
やはり主人公は、読み手に好かれるキャラに描かれるのは恋愛漫画では必須ですね。
逆に、不倫や惚れやすいといったキャラですが、普段は敬遠されがちです。
しかし、この漫画では、それぞれのキャラの葛藤や悩みが丁寧に描かれています。
よって、読んでいてもさほど嫌悪感は抱かずにすみます。
というよりは、最後では3人全員の恋を応援していたという人が多いのではないでしょうか？
最終的には、3人共それぞれ幸せをつかむので、誰に感情移入してもハッピーエンド感が得られるので安心ですね。

リアルなOL生活を基本としつつ、「あり得ない設定」を上手に持ってくる！

この漫画の特徴は、"主人公たちのOL生活がリアルに描かれている"ことが挙げられています。
先に挙げた同期3人、いつも仲良しというわけではなく、恋愛に対する価値観の違いなどから、たびたび喧嘩になります。
喧嘩に至るところから、仲直りまでの流れもリアルに描かれていると思います。
また、異動や勤続年数が上がるにつれ、会社での自分の立場が変わっていくところ、そしてその変化に自分が追いついていけない部分など。
丁寧にかつリアルに描かれています。

しかし、リアルに描いているだけで人気が出たわけではないと思われます。
やはり少女漫画にある"胸キュンするあり得ない出来事"もちゃんと組み込まれているからではないでしょうか。
あり得ない設定、例えば、"同級生が人気絶頂の俳優で、さらに好きだと告白される"とか、"自分は社長の息子に、彼は社長の娘に気に入られる"など。
普通のOL生活では、いわゆる「あり得ない設定」かと思います。
でも、読み手が自然と受け入れられるので、こんなのあり得ないよと、鼻で笑うことがありません。
その理由は、やはりリアルなOL生活の上に描かれているからでしょう。

登場人物の洋服や、デート場所がオシャレ！

漫画に登場する女子は高校生、OLそして主婦と広い年齢層ですが、人物の服装が全て素敵です。
作者が、衣装参照として実際のブランド名を挙げているところからも、服装には気合が入っていることがうかがえます。
また、髪型も編みこみからお団子スタイルなど、本当に素敵に描かれています。
ま、、OLとしては少々TPOがなっていないかと思うところもありますが。
女子会やデートの場所となっている、焼肉屋やフレンチ店などの内装描写も素敵です。
流行の服を着て、おしゃれな場所でデートをしているストーリを読んでいるだけで、自身の女子力が上がる気がしませんか。
こういう所も、女子力を求める大人の女性たちに評価が得られている理由だと思います。

両想いからの話を飽きさせずに描いている！

恋愛漫画では、主人公が好きな人と付き合うことになるまでを描くことが多い中、この漫画は両想いになってから結婚までのストーリが本題になっています。
そう書くと、ライバルがでてきたり、初デートの様子、初めての夜までの話など、どこかで見たことあるストーリー。
そんなのであふれていて、両想いからはダラダラして胸キュンが少ないという事態に陥る漫画が多い中、この漫画は違うんですよね。、
定番の、先にも書いたライバルや初デートの様子は「恋愛奥手主人公×秘密の社内恋愛×無愛想彼氏」という相乗効果が起こり、たくさんの恋愛漫画を読んだ人でもマンネリ感は少ないかと思います。
ライバルは「複数の元彼女」に加えと「社長の娘」となっていて、恋愛漫画に多い"美人な性格ブス"、"天然のぶりっ子ちゃん"のライバルでは無いところが、斬新で読み手をハラハラさせます。
もちろん、恋愛に積極的な可愛い後輩のライバル柏崎るみといった定番ストーリーにより、彼氏である柘植暁の格好良さも出しています。

彼家族との関係と彼母の妊娠は好き嫌いが分かれるか？

また、恋愛漫画では"お付き合いや結婚のあいさつ"程度で終わるところが、「花嫁修業」という古風な行事で彼とのご家族との関係を丁寧に描いています。
彼のご両親はもちろん、お兄さんや弟についてもそれぞれの恋愛までもが描かれています。
お母様は"ただのおばちゃん"ではなく、可愛らしく天然なキャラです。
天然ということに加え、妊娠するということで好き嫌いが分かれそうですね。
恋愛漫画では、妊娠出産というリアルな部分は難しいと思っています。リアルな恋愛漫画といっても、やはり漫画には良い部分だけのリアルを求めたいので、"年齢制限がある妊娠出産"は、恋愛漫画では誰にでも楽しめるように描くのは難しいのかなと。

さて、ここまで色々と書いてきました。
最後に、沙耶たちが話していた会話「私たちの人生はパートナーとなる男性により決まる」というセリフ。
これは、妊娠出産でも仕事を継続していく女性が多いこの現代。
読者の方はどう思ったのかなと気になっています。