トンデモ演出の根底にあるアイドルへのこだわり
目次
応援上映の盛り上がり!新たなる映画の楽しみ方を提供
キンプリはプリティーリズムからのスピンオフ作品ながら、今やワイドショーに取り上げられるほどの人気作品へと一気に駆け上った。Twitterなどで話題になり始めた頃、「応援上映楽しい!」「応援上映また行ってくる!」といったものがよく見掛けられ、私も「応援上映とはなんぞや?」と、キンプリの前知識ほぼゼロの状態で、地元の映画館の応援上映に駆け込んだ。
地方の映画館のため上映規模や参加人数や少な目だったが、応援上映に臨む女性達の熱気は凄いもので、人数の少なさ以上の盛り上がりを見せた。どこでどうやって練習したのか、スポンサーや制作会社の名前が出るところから一体となる映画館にまず面を食らった。映画に限らず、何かを見ている時に同じタイミングでたまたま笑うという現象はよくあることだが、一糸乱れぬコールの数々はプロとしか言いようのないものであった。息の合ったコールや、タイミングに合わせてサイリウムを振るな彼女たちを見ている内に「何故私はサイリウムを持っていない…?」と思ってしまうほど、私も応援上映にのめり込んでしまった。挙句、練習をして、更に別の未視聴友人を巻き込んで二度目の応援上映に臨んでしまうのである。
勿論応援させるだけの内容を、この作品は大いに持っている。次にその点について述べていく。
ケツからハチミツ!巨大剣vsシックスパック!ツッコミが止まらない!
前述の通り、私はキンプリについて前知識はゼロの状態で視聴した。だが友人から「EZ DO DANCE」という言葉が繰り返されているのがとにかく気になった。trf全盛期によく聞いていた曲だ。それに一体何が起こったのかが気になったのも、応援上映以外に映画館に足を運んだ理由である。
そして始まった「EZ DO DANCE」によるダンスバトルは私の予想をはるかに超えたものであった。何故龍が出てくる?何故巨大剣が出てくる?何故シックスパックが甲鉄になって剣を受ける!?ツッコミはじめたらキリがない。なのに熱いダンスバトルにどんどん引き込まれてしまう。その様に、私のカラオケの十八番である楽曲が新たな形で生まれ変わったと感じた。これで違う世代の子とカラオケに行ってもこれ歌っても大丈夫!という妙な自信にも繋がったのである。
カヅキとアレクサンダーのダンスバトルと同時進行しているシンとコウジの側でも、噂に聞いていた「ケツからハチミツ」が発生。笑っていいのか驚いていいのか感動していいのか分からず、双方の同時進行中、色んな意味で泣いている自分がいた。
このトンデモ部分が多くの女性をキンプリを身に映画館に足を運ばせた理由の一つであるが、しかしそれだけではないのも凄いところである。きちんと泣かせどころ(笑いすぎてではなく)も用意されているという周到さに驚くばかりだった。
コウジとの別れにガチ泣き。そして生まれる新たな希望
キンプリ中でも最大の泣きどころといえば、コウジとの別れのシーンである。汽車に乗って去っていくコウジ、それを追いかけるヒロ。二人のこれまで絆はダイジェストとして作中に盛り込まれているため、プリティーリズム未見でも充分伝わるものであった。そのため、このシーンは作中屈指の泣きどころであった。どこから汽車が出てきたかなど、この際気にならない。彼らの別れにツッコミどころなどなく、ただただ純粋に泣くばかりだった。
そしてコウジが去った後にシンが戸惑いの中でステージに立ち、ヒロ・カヅキと三人で歌い始めるのだが、はじめこそ戸惑っていたシンが観客や仲間のために愛を伝えるシーンは、コウジというエーデルローズの核の一つを失いながらも、新たに生まれた希望を感じさせる良い場面だった。無限ハグもツッコミどころではあるが、それ以上に前向きにアイドルになろうとするシンの懸命さに心を打たれた。
応援上映や度肝を抜く演出が取り上げられがちなキンプリであるが、アイドル達の成長をしっかりと描いた作品であることは間違いないのである。
これでキンプリは終わりじゃない!続編への布石がたっぷりすぎた
キンプリははじめは企画を通すのすら大変だったという話をインタビューなどで聞いているが、作中のラストの方では続編を匂わす演出が多々あったため、続編ありきで制作は進んでいたと思われる。つまりこの一作ではストーリーが若干消化不良のまま終わってしまう、これが楽しかったキンプリの中では少々勿体無かった点と言えるだろう。無事続編も制作されたため、それを見ればある程度この不満は解消されるだろうが、出来れば一作で綺麗に終わるように一旦話を収めて欲しかったのが正直なところだ。
だがそんな不満点すら些細なもの、続編を楽しみに出来るほどキンプリはよく出来たアイドルアニメである。女性もの男性ものそれぞれアイドルアニメは乱立気味で食傷気味のところもあったのだが、キンプリは様々な点で一石を投じた名作と言えるだろう。
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