育ってこそ人!
生きてる主人公も育つが死んでるキャラも育っちゃう!
大まかに分類するなら、主人公の自己成長ストーリーというカテゴリーになるのだと思います。でもこの作品の中では死者も成長し続けてるのがいいなぁ、と思います。実母からの虐待で心を閉ざしてなくなったクリが、妖怪アパートでの暮らしの中で心を開いていったのも、死後の成長ですよね。
まり子もまた、幽霊でありながら生前の浅はかさを償うべく、必死に生きている(?)ことが明かされています。この物語はフィクションですが、実際に、人間は己を成長させるために産まれてきて、死後もその修業は続くのだと聞いたことがあります。
妖怪の佐藤さんが、人間としての生活に憧れて会社員をしているのも、何だかいいですよね。限られた寿命の中で日々成長していく人間という生き物に憧れ、自分も人間のように日々成長する喜びを感じたいということなんだろうな、解釈しています。
長谷くんのような人になりたいです。
私は女ですが、できることなら長谷くんのような人になりたいです。高校生らしからぬ「デキる男」なのに、親友である夕士の素晴らしさを素直に認められる謙虚さが素晴らしくて、尊敬しています。小さい子供に慕われるのも、きっと人柄のよさを感じ取ってのことなのでしょう。
ほとんどパーフェクト人間な長谷くんも、物語が進むにつれて何か成長があるのかな?と思って読んでいました。
寛容さが他人を育てるんだな~、と理解した漫画でした
人と幽霊と妖怪の清澄を促進しているのは、何と言っても妖怪アパートに集まるキャラクターたちの寛容さだと思います。多分、人が育つには、前提として自分を受け入れてもらえる・信用してもらえることが必要なんですよね。よく、「子供を信じてあげなきゃ」と言いますが、それはそういうことなんだな、とこの漫画を読んでいて理解しました。
自分を振り返っても、伸びやすいのは周りを信頼して伸び伸びやれているとき=周りもこちらを受け入れてくれているときだったな、と思います。逆に、信用されていなかったり、失敗するたびに責められる環境だと、なかなか成長に繋がりにくいですね。
そんなことを、この漫画を読みながらふんわり考えていたら、ビジネス書の類に、部下の育て方について、「部下に仕事ができるようになってほしかったら大らかに接しなさい」ということが書いてあって、やっぱりそういうことなのか~、という感じでした。
もっとも、今、若い人だけでなく、中高年でもゆとり思考な人が多いので、どこまで寛容になっていいか見極めが難しいですが、夕士くんみたいに、真面目すぎてキリキリしちゃうような人には、周りが大らかでいることも必要だろうと思います。そういう意味では、自分と同類の人間とつるまずに、自分と違うタイプの人(+幽霊+妖怪)と頑張って関わろうとした夕士くんは偉いです。このタイプは、同類とつるむと互いに追い詰められちゃいますからね。
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