色褪せないドラマ
キムタク絶頂期の一歩前
忘れもしない私が12歳の頃の憧れて焦がれて毎週見ていたドラマ。ちょうど、キムタクの人気が爆発一歩前あたりの作品だったような印象。
だから、残念な瞬間の演技がたくさんある。でも、周りの出演者さん達に恵まれていたのと、山口さんのあの爽やかな演技に助けられて、またその残念な瞬間の演技ですらも、セナという主人公の一部となって、輝いた作品であると思う。
タイトルの通り、ロングバケーション
夢を見て追い求めて走り続けて女の花道、結婚という形で有終の美を飾るはずだった山口演じるミナミが、結婚式をドタキャンされ当時ルームシェアしていた、木村演じるセナに乗り込んでいく、という物語。
女も30を過ぎれば、色々と使う用途もシフトチェンジされていく世の中は、何年たっても変わらないもんなのだなと、改めて感じさせられる瞬間でもある物語だ。
ミナミのキャラクターは特別突出しているわけでもなく、大袈裟に描かれているわけでもなく、見ている人が、いるよねこんな子、あるあるこんな時、と親近感の湧くキャラクターだと思う。
一方のセナは、ちょっと非現実、でもアルアル設定。
ピアニスト目指すも、落ちぶれたピアノ講師。実際私の知り合いの知り合いにも居ましたね。同じ設定の男性。
プロになってピアノで食べていけるようになるなんて、ホントにダイヤモンドの鉱山見つけるよりも困難かもと、感じます。
何度も誇示しているわけではないのですが、この設定に木村さんの演技や残念な瞬間が組み込まれ、セナになっています。
セナを見ていつも感じることは、とにかく男ってのは格好つけたい生き物なんやな、ということ。それも好きな人限定で。時代が変わってもそういう本質は変わらないもんですね。
恋愛の8割はタイミング
恋愛ドラマで起こることは、現実にも起こりうるものです。ええ、嘘でもなんでもございません。ドラマティックに劇的に、濃縮されているだけなのと、イケメン美女が出てくることを除いて全て現実的だなと思います。
セナとミナミだって、同じ部屋に住みだした瞬間から、もう音をたてて始まっていますから。でも20年前って、今ほど男女の年齢差の逆転バージョン(男が5歳前後下のバージョンのこと)が、現実的ではないような印象です。だから、余計に素敵なカップルでしたね!
松たか子演じる後輩ちゃんは、最初から天使の顔した根性悪そうな自覚無しキャラ、でも居ますよね現実にも。そんな子は勝ち組とかってグループに居てる割合が高いですね。
好きで好きすぎて踏み込めない、もうあとひと押しのところを、トンビに油揚げさらわれてましたね。イケメンは不器用、それもよくそこらへんにある現実ですね。
やっぱり恋愛の8割はタイミング。それを素敵に表現すると運命の赤い糸ってことですね。
巻き戻して何度も見た名シーン
私が今でもロングバケーションを見たときに何回も繰り返して見たくなるシーンは、赤い車でセナを乗せて振られたセナをまた迎えに行くミナミのシーンです。
あの時にはもう本心はセナを好きで、でも気づかせたくない知られたくない気持ちが表情に溢れでていて、あのときのミナミが切なすぎて好きです。振られたセナは、それどころじゃないプライドズタボロ状態ですがそんな姿って男性にしたら裸見られるよりも恥ずかしいもんなんじゃないのでしょうか。20年前の私はそんな感想はまるでカケラも思わなかったのですが、時が経つとまたみる視点も変わって、イメージも変わる不思議な感覚が味わえますよ。
あと、花火の中キスをしてそのまま関係を持つのに、関係を持つ前よりもギクシャクしてしまう2人が逆にリアルだなぁって思います。世間一般的には、関係を持ったあとはもうそりゃあ1ヶ月ぐらいはイチャイチャしてる自覚無いままにイチャつく生き物と化すのに。このドラマは気まずくなるんですよね。今の世にいう、草食動物系なセナさんが原因ですね。ヘタレやから気まずくなるんや!リードせんかい!って関西女子バリのノリでイラーッてしますが、またそれも現実味があって感情移入している証拠です。
衣装や髪型、景色
何年たっても、古く感じない不思議なドラマです。よく見ると衣装が昔の流行だったりメイクが昔風だったり、違和感も多少はあるのだけれど、でも誰が見てもどの年齢層が見てもみんなが、ミナミとセナを応援したくなるドラマだなって思います。色褪せないドラマって、大袈裟かもしれませんが今の世に何本存在しているのか?感じ方は百人百通り、絶対はないです。ただ何万人分の1の、ここに、何十回もこのドラマを飽きもせずに繰り返し見ている人間が存在しています。
本も詩も、ドラマも俳優さんも、忘れられてしまったときがそのものの寿命だと思います。誰かの心の隅のほうにでも少しでも存在できるということの価値がどれほどのものだか、私は素晴らしいことだと思います。
陳腐でよくある王道ラブストーリーだっていう人もいるでしょう。実際、その通りでしょう、ええ!
でもいいじゃないですか、王道ラブストーリー!
上等だろ!王道ラブストーリー!
いつの世の女も、やっぱり王道ラブストーリーに憧れてるんだよ!
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