感動だけではない、頑張ろうという気持ちが芽生える作品 - 十二番目の天使の感想

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十二番目の天使

3.753.75
文章力
3.75
ストーリー
3.75
キャラクター
4.25
設定
3.50
演出
4.25
感想数
2
読んだ人
3

感動だけではない、頑張ろうという気持ちが芽生える作品

4.54.5
文章力
4.5
ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
設定
4.5
演出
4.5

目次

ティモシーの目標は「ヒットを打つ」

主人公は、妻子をなくして無気力になった野球コーチでしたが、彼に大きな影響を与えた少年ティモシーがタイトルにある「12番目の天使」言われるのかがわかるまで少し時間がかかりました。ティモシーが所属する少年野球の子たちは、成長たくましくて、バットを振ることや走ることも自由にできるのに対して、体が弱くて病気なティモシーは「野球の打者としてヒットを打つ」を目標にしているところが、何故か胸が打たれました。きっと、彼の体が健康だったら、おそらくみんなと同じように試合にでて活躍したいと声に出して言っていたのではないかと思いました。彼が、そこまでの力が自分にないことを理解して、自分ができそうな限界を目標に頑張る姿は胸を打たれるものがありました。また、つらい状況でもあきらめずにトライするティモシーの姿に、「自分も頑張らなくてはいけない」気持ちにさせられました。

ティモシーが頑張るからティモシーの目標がみんなの目標に・・・

この作品を読むまで、「応援される人」は「何かに挑戦している人」と思っていました。もちろん、ティモシーも試合に出てヒットを打つことに挑戦していましたが、それだけでは応援してもらえないことに気が付きました。仲間の少年たちにとってはティモシーは「普通ならできるヒットを打つこと」もできないお荷物。読んでいて、ティモシーがあまりに健気で、「どうしてそんなことを思われてしまうのか。」と思ってしまいました。私だけではなく、主人公も馬鹿にしていた少年たちも、読み進めていくうちに変わっていくところはうれしく思いました。少年たちには「試合に勝つ」という目標のほかに「ティモシーが試合でヒットを打つ」ことも彼らの目標になった様子は感動的でした。特に、最後の打者をティモシーにと周りが応援してくれたところは「自分の子も目標を共にする仲間を作ってほしい」と心から思いました。

読者の気持ちを高まらせるティモシー

今まで何冊も本を読んできましたが、「十二番目の天使」だけ泣いてしまいました。また、読んでいる自分自身も「頑張らなくてはいけない」という気持ちを掻き立てられました。それは、作者のオグ・マンデイーノが自己啓発の雑誌編集者である傍らに書いていたからなのではないかと思います。

この本が自己啓発を促すポイントとして、個人的な意見ですが、3つあると考えています。一つは、とても分かりやすく且つ困難に見える目標を立てていることです。これによって、大体の話の道筋がわかります。二つ目は周囲の目の移り変わりです。他人の目はとても気になります。だからこそティモシーをお荷物だと思っていた周りの子供たちのティモシーに対する評価が上がっていく様をみて、自分が何か成し遂げたら周りの評価も上がるのでは、頑張ることによって、周りも変わるのではないかという希望が生まれます。三つ目は主人公が自分の限界を超えていそうな目標にも果敢にチャレンジする姿です。どんな人でも「自分には無理だろう」と思うところがある程度はあるかと思います。その「無理」を無理じゃないと思いながら挑戦する人を見ると、「自分にもできるのでは?」と心掻き立てられる部分があります。

また、お話の中の一連のティモシーの成功体験は、「頑張ろう」と思った時の一番の敵である「自分には無理だ」と限界を作ることを撃退してくれます。

読者の気持ちを高まらせるティモシーは、自己啓発を促すポイントを押さえているからこそ、最後は悲しい結末ですが、感動とともに、なぜか清々しくて「頑張ろう」と思える気持ちにさせるのではないでしょうか。

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他のレビュアーの感想・評価

不憫な子供がかわいそうなのではなく、比べてお前はどうなんだと問われている

実は著者は小説家でなく人生哲学書作家はじめて、この本を手にとったときは、純愛ブーム真っ只中で、恋愛ものに限らずお涙頂戴な本が、よくでていたと思う。そういう「泣ける」と謳う作品に、げえ、と思っていたはずが、そのラインナップに並んでいたこの本を、なんで読もうと思ったのかは、覚えていない。まあ結構、題名とか本の装丁とか気にいって、どんな内容なのかまったく知らないで読みはじめることもあるので、お涙頂戴にしては控えめなデザインに、惹かれただけなのかもしれない。にしても、今あらためて本を開いてみて、袖に書かれた紹介文の「涙をなくしては読めない物語・・・」の見出しには、やはり寒気がする。そんなに「これは泣けるぞ!」と全面にPRしたら、却って興ざめする人がいて、手に取ってもらうチャンスがなくなってしてしまうのではないかと、余計なお節介に思うほど、案外安っぽい物語ではないのだ。たしかに謳い文句の通り涙を誘...この感想を読む

3.03.0
  • イヌダイヌダ
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