しゃにむにGOの魅力について - しゃにむにGOの感想

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しゃにむにGO

4.254.25
画力
4.00
ストーリー
4.25
キャラクター
4.25
設定
3.50
演出
4.00
感想数
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しゃにむにGOの魅力について

4.54.5
画力
4.0
ストーリー
4.5
キャラクター
4.5
設定
3.0
演出
4.0

目次

対照的な天才2人の出会いと、もう一人の王者

スポーツ万能で、陸上界では中距離と短距離をこなせる天才として将来を有望視されていた伊出延久。
彼は底抜けの明るさと、お馬鹿なところが魅力の少年です。
そんな彼が、中学三年の時に偶然出会った一つ年上の高校生・尚田ひなこに一目惚れをし、彼女がやっているテニスへ興味を持つところから物語は始まります。
延久は周囲の期待など関係ないと言うようにあっさりと、彼女が通っている幕ノ鎌高校へ入学すると、同時にテニス部へと入部しました。

そして、そのテニス部に入部して出会ったのがライバルの一人、日仏ハーフの滝田留宇衣(るうい)。
彼はジュニア時代、佐世古駿と共に活躍してきた天才プレイヤーの一人でしたが、ある時から留宇衣は試合中、集中を切らしてしまうなど精神的な弱さの問題を抱え苦しみ、一度はテニスをやめるものの、どうしても諦めきれずテニス部へ入部し、延久と出会うことになったのです。

この二人は性格からプレースタイルから実に対照的で、初めこそ反発し合うものの、認め合い、お互いを高め合って行く実に王道ストーリではあります。

そして、この二人の前に立ちはだかるのは王者の佐世古駿。
駿は厳格な家に生まれ、そして、負けることが許されないと言われ続ける中、戦い続けていく孤独な人です。
ジュニア時代、留宇衣と共に活躍してきた駿は延久が一目ばれした尚田ひなこの従兄弟でもあり、天才の名を欲しいままにしているプレイヤーです。

この三者三様の天才を中心に描くテニス漫画がしゃにむにGOの軸になります。

それぞれの複雑な家庭環境の問題がクローズアップする

今回は一例として滝田留宇衣の問題に着目します。
彼の場合はまず両親の離婚があげられるでしょう。
もちろん、この世の中、離婚する両親は珍しくありません。
日本ですら2分に一組は離婚しているという話があるほどです。
だからといって当事者たちにとって気楽な話でもありません。

留宇衣の母親・マリー・ビノシュ。
彼女は元プロテニスプレイヤーでしたが、容姿に優れた……優れすぎてしまったがゆえに多くの誰もが彼女のプレイヤーとしての実力よりも『アイドル』的な存在とし、容姿を褒め称えていたそうです。
それがマリーの苦悩の始まりでした。
プレイヤーとしての評価よりも、容姿の評価がつきまとい、その不安、不快さ、嫌悪と絶望。
いつしかアルコール依存症になるほど、心を壊してしまい、夫である正嗣は、結果的に守ることも、支えることも、救うこともできずに、見ていることしかできなかったことを後悔しつつ、留宇衣を連れて離婚するしかできなかった。

この時の2人の複雑な葛藤は実に重いです。
どうしようもないくらいお互いを傷つけ、でも、憎んでいるわけではなく……ただ、壊れていくだけ。

そんな過去があるからこそ、父親である正嗣と留宇衣の関係はこじれてしまったのです。
母の記憶が無い留宇衣にとって、父親の存在は重く、そして、父親はマリーに対する後悔と葛藤故に、留宇衣のプレイヤーとしての精神的な弱さを見る度にマリーを重ねてしまったのでしょう。
『テニスをやめろ』と言ったのは留宇衣をマリーの二の舞いにしたくなかったから、でも、留宇衣から見れば、父に教わったテニスをやめろと言われたのは見捨てられたと同義語に等しく……反発していく。

本当はお互いに想い合っているのに、なかなかその真意が伝わらないその姿はもどかしく、思わず、父親に怒りを覚えたりと感情移入してしまいます。

しゃにむにGOの魅力

正直、花とゆめで連載と言うことで、テニス、スポーツ漫画的な話ではなく、少女漫画的な恋愛要素が中心かと思いきや、何故、花とゆめで連載しているのかと思うほど、スポーツ漫画らしい漫画です。
もちろん、恋愛要素はあります。

例えば、主人公の井手延久。
彼はひなこを好きになったから、ひなこに好かれたいから、テニスを始めたわけですから、そこが軸になっているのも事実です。
しかも、ひなこは従兄弟であり、ジュニア時代から留宇衣のライバルでもある佐世古駿と付き合いつつも、色々な事情で未練をお互いに残しながらも別れた過去があったりと、かなりディープな恋愛模様も描かれていたりもします。

それでも、この漫画の魅力は複雑に絡まった人間模様と、それぞれが抱える問題と、一歩一歩前に進んでいく力強い意志。
その絶妙な間がなんとも言えず、引きこまれていきます。

延久と留宇衣のコーチ、池田コーチが2人を表して言ったセリフが特に印象に残っています。
『楽しみながら成長する者』
『苦しみながら成長する者』
前者が延久、後者が留宇衣のことを言っていますが、これは二人のことだけではなく、この世の中、生きる上でよくあることことだなと思ったのです。

好きだから、楽しいからと会得するものが増えることがある。
でも、どんなに好きであっても、うまくいかなかったり、苦しんで、努力して、もがきながらも手にいれることができなかったりすることもある。
もし、仮に壁にぶちあった時、どうするのかが大事かということだとなのではないでしょうか?

そこで、諦めるのか?
それとも、さらなる努力を積み重ねるのか?
前の見えない状況で、努力を重ねることはとても辛く苦しいことであっても、立ち止まる歩き続けるのはとても勇気がいるものです。
ほんとうに難しいなと考えさせられます。


コミックは全32巻ありますが、もし、お時間があるのでしたら一気読みを推奨します。
基本スポーツ漫画ですから、当然、試合描写がありますので、試合そのものも駆け引きや、臨場感など味わうことができます。
また、キャラたちの成長や変化もよく分かると思うからです。
是非一度、読んでみてはいかがでしょうか?

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しゃにむにGOの主人公は、伊出延久です。陸上部のエースとして活躍していたのですが、幕ノ鎌高校のテニス部尚田ひなこにひとめぼれしてしまいます。そして、中学校で取り組んでいた陸上の道をすっぱりと諦め、同高校のテニス部へと入部します。滝田留宇衣はジュニアの頃から有名なテニスプレイヤーです。彼は、精神力がもろく高校でテニスをすることを断念して、幕ノ鎌高校へと進学しました。留宇衣と延久はダブルスを組むことになり、延久は腕を上げてゆくなかで、留宇衣の精神面を徐々に落ち着きを取り戻します。二人は全国大会に出場するまでになりました。一方で、ひなこには従妹がいます。佐世古駿は高校テニス界No.1の実力を誇るテニスプレイヤーでした。そして、彼もまたひなこを強く慕っていて、延久とひなことの恋路の障害物として立ちはだかります。また、留宇衣と駿とはジュニアの時代からライバル関係にあり、そこがこの漫画の密かな見どころで...この感想を読む

4.04.0
  • マンガウーマンマンガウーマン
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