蝉しぐれのあらすじ・作品解説
蝉しぐれは、NHKにて2003年8月22日から10月3日にかけて放送された日本のテレビドラマである。 原作は、1986年7月9日に山形新聞夕刊にて連載が開始され、1988年5月に文藝春秋より単行本が刊行された。2002年には光村図書発行の中学3年生用の国語教科書に採用された。 テレビドラマは、第30回放送文化基金賞番組部門(テレビドラマ番組分野)本賞(第1回放送回)/第44回モンテカルロ・テレビ祭フィクション部門最優秀作品賞等を受賞している。 物語は、海坂藩を舞台にしており、政変に巻き込まれたことによって、父を失った少年「牧文四郎(15歳)」が主人公である。 原作:藤沢周平、脚本:黒土三男、演出:佐藤幹夫・田中健二、音楽:小室等、主題歌:「遥かな愛…」普天間かおりが担当。 キャストに、牧文四郎:内野聖陽、牧文四郎(子役):森脇史登、ふく:水野真紀、ふく(子役):伊藤未希、牧助左衛門:勝野洋、牧登世:竹下景子らがキャスティングされている。
蝉しぐれの評価
蝉しぐれの感想
ドラマ版「蝉しぐれ」の愛と余韻と
子供の頃に見た景色というのは綺麗である上に、見た人というのは美しい。心から愛する人の記憶なら、いっそう胸に残る。文四郎の秘めた恋文四郎は、一見どこにでもいるような普通の青年で、剣の達人。海坂藩という架空の藩で、剣の修行に励み、やがて城下一の剣士にもなる。道場の師匠から、秘剣の伝授を受け、奥義伝承者にもなる凄腕。しかし、藩内の2大派閥の争いに巻き込まれ、父親は処罰され、反逆者の烙印を押されて全てを失ってしまう。文四郎はおよそ恋とは無縁の人間。昔の武士はそういういうものだし、もともと文四郎は剣士であるから色恋に浮かれるような人間でない。隣の家のふくをほのかに恋していたのだって、結婚相手としてゆくゆくはと考えていたためだと思う。義のために死した父親を尊敬し、彼も私情よりも義を優先する人間だった。それが、社会の落とし穴に陥り、父親を死罪にされ、世間の人の冷たい仕打ちに耐えねばならなかったとき、優...この感想を読む