演技とストーリーを比べて
ストーリーと曲
主役の曲と言ってもいいぐらいなのはベートヴェンの交響曲だ。この曲はアニメでも使われていて、クラッシクのかたいイメージとは違い、とても明るい感じを出している。特に出だしの音、優しく入り、徐々に盛り上げていくところがこの映画の構成にもあっている。また、映画の最初のところに使われることにより、ストーリーを意識させているのだと思う
ブラームスの曲は、はじめから壮大でヴァイオリンに適していると思う。アニメ、マンガで数あるクラシック曲の中でチョイスしたのも理解できる。見ていても聴いていても、テンションが高くなる曲で、スピードも速い。さらにヴァイオリンの音の強弱がしっかりなされているため、聴きやすい。普段クラシックを全く聴かない人でも楽しめるだろう。また、映画の始終楽しい雰囲気がこの曲を通してさらに強調されているように感じる。ヴァイオリンはすばらしいの一言だった。「壮大な」曲だけあって、とても心地よく、クラシックの眠いイメージを変えてくれる演奏だった。
ラヴェルの曲についても、映画のストーリーに見事にマッチしていると思う。この曲は実際のコンクールでも使われている曲である。しかしながら演奏では会場は小さいさいため、響きがないように感じた。映画の中では解説もついていてこの曲の成り立ちとストーリーがついていて分かりやすいのだが、やはり「壮大さ」で言えば他のクラシックと比べて小さい感じだ。ただ、リズミカルでかつ、ジャズの要素を取り上げているので、聴いていてあきない。最初から、ピアノが速いペースで演奏されるので聴いていて楽しい、かつ最後の終わりでしっかりと音が切れて、誰でも終わりが分かる。
ショパンの曲は映画でおそらく一番暗い曲だといえる。たしかに壮大ではあるが、途中から音が小さくテンポも遅くなり、低い音が強調されていることからも暗いというイメージにあっている。おそらく、ショパンが作ったストーリーを現しているのだと思う。しかしながら、私もピアノの経験はあるが、ショパンの曲はとんでもないほど難しい。両手の指を常に意識しながら、リズム強弱も考えらければいけないので、かなり難しいといわれている。映画のなかではさすがといっていいほど上手に弾かれていて壮大であり、弾かれている場所も大きく、一つのコンサートとしてすばらしいもの、一貫性のあるものとして出来上がっている。
チアキとメグミの演技について
この二人の演技はとても見ていて愉快で、心地よいものだと思う。発言も現実で使っていそうで、想像通りという感じだ。また、実際にピアノをやっていそうで、音楽の演奏者としてもあっている。映画でのキャラクターと演技者の性格が合っているので、映画の一つ一つのシーンの区切りがしっかりと現れている。
また、対話と表情がしっかりとマッチしていて、バックで流れている音楽もキャラクターの心情と同じような曲が使われているのでストーリーが理解しやすい。例えば最初のシーンの盛り上がるシーンではクラシックでもベートーヴェンの明るい曲を使っていることからも明らかである。これは非常に私は映画を作るうえで重要な要素だと思っている。いかに、演技がうまくてもその会場、背景が対話と違っていて、かつ音楽も演技者の心情と異なっていると、とても不自然である。それはキャラクターが実際に何を考えているのか分からなくなるからだ。明るい表情で、明らかに喜んでいる気持ちなのに、バックが暗い曲だと、実際はキャラクターがどっちなのか解釈できなくなる。
二人の演技がうまいだけでなく、音響から会場の設営までしっかりとされていることから、映画のおもしろさが伝わる要素をしっかりと抑えていることが分かる。
マイナスポイントをあげるなら
映画はたしかに理解がしやすく、音楽構成もしっかりとしていて、その演奏も申し分がない。しかしながら、この映画のキャストがもう一つイメージと合っていないことは事実である。たしかに主人公の二人はキャラクターとマッチしていて演技もおもしろい。だが他のキャラクターがイメージ、性格とどう考えてもマッチしていない。特にシュトレーゼマン、全くマンガ、アニメともマッチしていないと私は考える。音楽家は演奏に関しては空気が変わったように真剣で、おちゃらけたのようにはしない。また、外国人を使っていないことからも演技と使われているセリフもどこか不自然である。そこは気をつけなければいけないところだと思う。さらに、ターニャもマッチしていない。音楽にはひたむきに取り組む作品本来のキャラクターと演技がかけ離れている。キャストの本来の性格とセリフを考えるべきだと思う。そこがマッチしていないとシーンが成り立たないと私は考える。また、バックの音楽はいいので、映画独自のセリフを入れてもいいのではないかと思う。そうすることで映画独自のおもしろさがだせる。
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