リアルさと緩さのバランスが好きです。 - ナニワ金融道の感想

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ナニワ金融道

4.004.00
画力
3.50
ストーリー
4.00
キャラクター
4.50
設定
4.25
演出
4.25
感想数
2
読んだ人
4

リアルさと緩さのバランスが好きです。

3.53.5
画力
2.0
ストーリー
3.0
キャラクター
4.0
設定
4.0
演出
4.0

目次

このぐらいの画力で丁度いい。

大阪・ミナミの「帝国金融」という消費者金融会社の物語で、
貸した金は何が何でも取り返す社風の帝国金融。
主人公の灰原達之を除いてみんなコテコテの関西弁の為
金を取立てる時の恐怖感が伝わってきます。
また、ガラの悪いヤクザが登場したり
知識の無い人を騙して儲けたりする人達もいて、
あの緩い画じゃなかったら読めない内容です。
勿論、借金に追いつめられていく人の生活を見ると
あまりにも不憫で読み進めるのがしんどい時もありましたが。
読者それぞれの想像力によって
夜逃げする人の悔しさ、絶望感の伝わり方が変わってくるのではないかと思いました。
1990年に連載された漫画ですが
現代のように綺麗でリアルな人間が描かれていたら
皆同じ感想を言うのではと思います。

主人公の安定感が良い

見た目は真面目な好青年なのに、ヤクザのようないかつい人達の元で
大阪一の金融屋になると決意する主人公。
根性あるなあと思います。
やはり最初は散々な境遇の客に同情し、
上司の非情な取立てに驚いていますが
心を鬼にして働き、成長する姿に応援したくなってきます。
だからといって急に変わる訳ではなく
上司に喝を入れられて、非情になるんだと決意する時や
完全に割り切れず情に流される時もあり、丁度いいバランスだと思います。
やはり主人公は優しく、客に手を差し伸べるところはかっこいいです。

昔の漫画ならではのネーミング

この漫画は画が緩いので読んでいられると述べましたが、
看板や人の名前などあちこちにあるネーミングのおかげで
作品の柔らかさが出ていると思います。

車のナンバープレートが893(ヤクザ)になっていたり
ずばり直球な猥雑な単語など、
ここでは記載できない言葉が沢山でてきて
まさに昔ならではだなと、くすっときます。
まさか猥雑な人・看板は実際には無いですが
当時の大阪・ミナミの雰囲気はこんな感じだったのかなと
想像が膨らみ、私は実際の大阪の街を知らないけど
なんだかリアルに感じられ、
この漫画のように無一文になって夜逃げする人が
本当にいたんだと想像し、昔の大阪の世界へ入り込んでしまいます。

その為、例えおかしな名前の人が登場しても
奈落の底まで転落していく人たちののセリフが心に訴えてくる物があります。

人を唆して身銭をけずらせ、極限まで金を吐き出させる詐欺師と
何の疑いもなく楽して儲けられると信じて騙される人が多く登場するこの作品、
勿論騙す人を見ているといい気分じゃないですが
騙される方がかなりお人好しで人を疑うことを知らない、
もしくは不振に思っても調べることをしない人達ばかりでやきもきしました。
詐欺師の魂胆も知っている私からすれば、まぬけじゃないかと思う程です。
そしてそんな人達が報われず、帝国金融はきっちり借金を回収し
金をむしり取った人達は笑っている。

リアルな世界だなあと感じさせられます。
悪を懲らしめろとまでは言わないが、夜逃げする人達を救って欲しいと願ってしまいました。

でもやはり作品の緩さがあるから、また読もうと思えるのです。

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