しみじみと泣ける感動作です! - グッドナイト・ムーンの感想

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しみじみと泣ける感動作です!

3.53.5
映像
3.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
4.0
演出
4.0

目次

意外と知られていない?実は泣ける名作

ジュリア・ロバーツといえば、やはり「プリティ・ウーマン」があまりにも有名かと思いますが、私は彼女の名作は本作だと思っています。彼女の作品にしては地味かもしれませんが、それだけにひとつひとつのシーンが光って印象的なのです。

彼女の年の離れた夫にエド・ハリス、そして夫の前妻が、スーザン・サランドンという最高のキャストです。ジュリアとスーザンは製作総指揮も務めていますので、いかに力の入った作品であったかというのもわかりますね。

原題は「Stepmom」で、義理の母、継母という意味で、ジュリアが演じるイザベルが継母になるお話ですので、内容を端的に表現していると思います。

前妻が素晴らしすぎるがゆえの葛藤

前妻のジャッキー(スーザン・サランドン)とルーク(エド・ハリス)の間には12歳の娘アンナと小学生の息子ベン、2人の子供がいます。実にロマンティックなプロポーズ(エンゲージリングに糸を通して渡すというもの)を受けて、イザベル(ジュリア・ロバーツ)は子供やルークと同居をし始めます。

しかし家事もソツなくこなし、完ぺきな母親だったジャッキーの影はぬぐえません。子供たちは何かというと本当の母を恋しがり、イザベルも奮闘するものの、キャリアウーマンの彼女は、料理があまり得意でないのも災いし、2人の子供はなかなか彼女になついてはくれません。

ジャッキー自身も「私が母親よ!」という感じで、ジャッキーに譲歩する様子もなく、ぎくしゃくした関係が続きます。またラブラブのルークとイザベルを見るとジェラシーを覚えるのも、無理からぬことかなと納得もできます。ルークはイザベルより20歳年上の弁護士という設定ですが、セクシーでステキです!若い女性が魅力的に感じるのもわかるな~と思いました。

困難を経て、家族がひとつに

その後、残念なことにジャッキーの病気、一度は摘出したがんが再発し、リンパまで転移しているという末期がんが判明します。そこでもジャッキーは実に立派で気丈にふるまうのですが、同時にイザベルのことを見直して、子供たちに彼女を託すべきと判断します。自分の余命を知ったジャッキーが、あえて明るく子供たちとベッドの上でポンポンと跳ねながらはしゃぐシーンがあったのですが、涙があふれて止まりませんでした。

このとき流れた音楽は「Ain't no mountain high enough」。日本でもおなじみで「天使にラブソングを」でも有名になったナンバーですが、本作を見て私はこの曲が大好きになりました。詩の解釈は個々人あるかもしれませんが、タイトルは直訳すれば「超えられないほど高い山はない」。つまり乗り越えられない試練はないという意味であり、ジャッキーが病に正面から向き合うという、強い意志も感じられる重要な場面なのです。すばらしい選曲だと思います。

病気のことをイザベルも子供たちも知り、ジャッキーのために何ができるかを考えるようになり、次第に心を通わせるようになる、これは皮肉な結果かもしれませんが、家族はひとつの辛い出来事によって、やっとひとつになることができたのです。イザベルに反目していたジャッキーはイザベルをひとりの人間として認め、受け入れるその段階も心温まり、感動できる部分です。

子供たちのかわいらしさが光る、ハロウィンの場面

子供たちともコミュニケーションができるようになってきたイザベル、そして子供たちは学校でハロウィンの出し物をするのですが、そこも2人の愛らしさがあますところなく発揮され、アメリカの映画らしい、ハートウォーミングな微笑ましいシーンでした。

忘れられない印象的なラストシーン

そして何といっても忘れられないのはラストシーンです。「終わり良ければ総て良し」という言葉もありますが、まさにそれを体現した名シーンではないでしょうか?末期がんと闘いつつ生きているジャッキーのため、プロのカメラマンである、イザベルはルークとジャッキー、子供たちの集合写真を撮影しようと提案します。

フレームに収まる4人、ですがジャッキーがイザベルに声をかけて、一緒に写真に入るようにうながします。ためらいがちにタイマーをセットして、一員に加わるイザベルの肩をジャッキーが抱き、そしてその手をしっかりとイザベルが握ります。

これで、本当にイザベルが妻として認められた、ジャッキーが子供や夫のことを託したという動かぬ証拠となるのです。イザベルもきっと一生この日のことを忘れなかったに違いありません。見ていた私は号泣し、エンドロールが流れる間も泣き続けました。

この映画のことは、封切り当初(1999)も残念ながら私の知る限りでは、あまり話題になった記憶がなく、感動した作品だったのでがっかりしましたが、女優の葉月里緒奈さんが「笑っていいとも」で「いい映画でした」といってくれたのを聞いて本当に嬉しくホッとしたのを覚えています。

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