一緒に育った二人のなかなか進展しない恋愛
二人の出会いはひょんなことから
まずは2人の出会い方が斬新で面白いです。血の繋がらない兄妹(または姉弟)の恋愛を描いた漫画は数多くありますが、こんな設定の漫画は今までなかったのではないでしょうか?家族間での恋愛ものの漫画には抵抗を覚える人も多いのですが、知らずに付き合うと言うこの設定のおかげで、読者も割とすんなりとこの2人の恋愛を受け入れることができます。まずは湊が友達の制服を着て街を歩く場面ですが、こういう気持ちは誰もが持ったことがあるので、共感しやすいと思います。高校を卒業してしまうと制服が妙に恋しくなることがありますよね。しかも自分のきたことのない女子校の服なんて、現役時代でも着ることはないですから、湊がちょっと着たくなったことも十分理解できます。そして偶然にも弟徹に出くわしてしまうのですが、そのあり得ない嘘を信じてしまう徹が最初は理解できないものの、後から物語を読み進めるにつれ、その微妙な心理がわかってくるのです。
ミナに尽くす徹がいじらしい!
徹は基本来るものは拒まずのとてもクールな恋愛をしていたはずなのに、みなに出会ってからはとにかく尽くします。それがすごくいじらしいのですが、あの肉食系な感じにもドキドキします。彼女のために今までのセフレを全部切ったり、高いプレゼントを買ったり、携帯電話を用意したり…こんなに尽くしてくれる彼がいたら最高ですね!みなは罪悪感を感じながらも、徹とあれだけイチャイチャしちゃうということは、やっぱり心のどこかで徹のことが好きだったのでしょう。だからこそ徹が他の女性と関係を持った時にあれほどの大きな反応があったのだと思います。自分としては、このみなと徹の絡みの部分がこの漫画の一番面白いところだと思います。みなは恋愛経験がない割には徹と結構大胆なことしてますよね。割と小悪魔なタイプです。
ドキドキの二重生活
湊は自分がみなであることがバレないように細心の注意を払いますが、普通だったらバレてますよね…やっぱりこれは徹が鈍いと言うよりも、たとえそうであっても認めたくないという深層心理の働きでしょう。とにかく通るにはバレないのですが、鋭い烏丸君にはすぐにバレてしまいます。この烏丸君、湊にはもったいないくらいいい人です。本当は彼と湊がくっついちゃってもいいんじゃないかと思うくらいですが、それでは話が終わってしまいますから。でもこの烏丸君との関係が始まったことで、徹との関係もだんだん変わってきます。みなが徹に別れを告げるシーンで大粒の涙を流す徹。本当に純粋で、子供みたいな性格です。それほどみなのことが好きだったんですね。この後みなに会えないしばらくの間、徹はまるで廃人のようになって引きこもてしまいますが、そんな姿を見て湊も我慢できません。意外にあっさりと徹のところに戻ります。
ついに告白
湊はついに徹に自分がみなであることを告白します。色々悩んだ割にはかなりあっさりと受け入れられて、読者も拍子抜けな感じです。徹は基本的にあまり感情を出さないのか、表情も全然変わりません。普通ならかなりびっくりすると思いますけどね。もしかすると心のどこかで、そうかな、という気持ちがあったのかもしれません。ともかくそんなこんなで、二人はきちんと気持ちを確かめ合って、正式に交際を始めることになるのですが、それからの展開はハッキリ言って少しモタモタしている感じがします。もともとこの作品の面白かったのは、湊とみなの二重生活で、それがバレないように色々と画策するのを見て、読者もハラハラドキドキしていたのですが、それがなくなってからは、あまり見所がなくなったような気がします。湊と徹もすでに両思いですし、二人にこれといって大きな障害がないのもその理由の1つかもしれません。
カミングアウト
障害といえば、1つだけ障害がありました。それは家族へのカミングアウトです。小さい頃から仲の良い家族ですが、さすがに自分の息子と娘が、血は繋がっていないとはいえ、そういう関係になってしまったと知ったら、普通の親なら卒倒すると思います。世間に顔向けができないと思うのが普通の感覚だと思うのですが、ここもこの作者は非常にあっさりと描いています。両親は受け入れるどころか大喜び。しかも結婚しちゃえば、と話を進めます。ここにきてもう読者は取り残されてしまった感が半端ではありません。普通の少女漫画の醍醐味は二人が様々な困難を乗り越えて結ばれるまでを描くものなので、両思いの二人が、周囲からも祝福されてアレヨアレヨと言う間に結婚してしまうと、少し興ざめな感じがしてしまいます。でもそこはこの作者のすごいところで、1つだけ障害がありました。それは2人が結婚したのにもかかわらず、いつまでたっても関係が進展しないことです。ハッキリ言ってこれは大問題ですね。湊も自分に魅力がないのかと心配になりますが、友達の助言に従って正面からぶつかったところ、無事に徹と結ばれることができたのでした。もう何も障害がなくなった2人、これから作者がどのように2人の将来を描くのかまだまだ楽しみです。
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