ギャグ要素をよくここまで表現したなと思う
のだめがはまり役!
なんといっても、この役に合いすぎていました。このドラマのあと、上野樹里さんを見るとのだめが思い出されてしまって、全然話が入ってこない!という事象が起こったほどでしたね。普段の性格ものだめに近いっていうから余計にそう見えてしまいました。とにかく常軌を逸しているその性格。変態と呼ばれる行動の数々、妄想癖…ドラマでどこまで表現できるのかなと思っていましたが、ぴったりと表現されていました。髪型も表情も、ドンピシャだったと思います。
のだめの将来の夢は幼稚園の先生で、常に楽しく弾こうとする。でも努力は苦手、初見も苦手、自由にただ思いのままにアレンジしてピアノを弾く。音楽のとらえ方って千差万別だと思うのですが、やっぱり音を楽しんでいるほうが、聴いているほうも楽しくなりますよね。だからのだめの演奏って千秋を惹きつけたんだと思うのです。千秋はいかに正確に、正しく、歴史に名だたる音楽家たちの伝えたかったものを伝えようとする人でした。楽譜の通り、背景情報も歴史の通り、一音も間違わず流れていく音楽は、きっと美しい。ただピアニストってそこに自己流の解釈とか、表現を加えたりするから「あの人の演奏って素敵よね」って差別化が図れるのであって、みんながそのまんまじゃダメなんですよね。音楽ってすごいもので、その人にしかない魅力とか、想いとか、言葉じゃ表現できないものを音で心に届けてくれるじゃないですか。技術がもうプラトーまで来てしまうと、どれだけ気持ち込められたかで決まってしまうものなのかもしれませんね。
才能に惚れるってこんな感じ?
天才的な才能を持っているのに努力が嫌いなのだめと、努力して努力して指揮者として開花していく千秋。正反対だけど、正反対だからこそ惹きつけあうような関係性でした。ただ、音楽の中ではパートナーとして成り立ちそうだけど、普通に恋人になるにはだいぶ無理がありますよね、この性格の違いは。才能に惚れこむドキドキと、恋愛のドキドキがかぶっちゃったのかなー…特に千秋。のだめは千秋のルックスだったり優しさだったり、いろんな部分を好きになっているけれど、千秋はのだめにピアノの才能がなかったら、こういうことになってないだろうし。音楽とは切っても切り離せない、それがあったからこの関係が成り立ったんだなって思います。お互いが成長するために、刺激しあって高めあっていく関係性。もしかしたら理想かもしれません。依存しあうのではなくて、辛いときに支えになりたいということ、当たり前のように理解してくれる人がそこにあるという安心感…なんか音楽の音色も絶対変わりそうです。恋をすると肌が美しくなるのと同じで、恋をすると音も生き生きとしてくるものなのでしょうね。
清良と峰は、才能って感じじゃなくて、人を好きになった感じだと思います。のだめと千秋を除けば、この二人はもうベストカップル!のだめがだいぶぶっ飛んでいるので、安心して様子を見ていれるカップルでした。愛の力で乗り越えていけ!
感覚派が知識を身につけたら最強
思うのですが、感覚で全部とらえる人って、たいてい理論がないですよね。だからいつも同じように再現ができない。いい日もあれば悪い日もある。だけど、仕事でもそうだけど、いつでも同じレベルのパフォーマンスが発揮できないと、信用できないから会社では使ってもらえないじゃないですか。だから、やっぱり知識って必要だなと思うのです。しかも、知識ばっかりで頭でっかちな人よりも、感覚的な表現豊かな人(俗にいう右脳を使える人)が知識と理論を身につけたら、最強だと思うんです。何でもできそうじゃないですか。クリエイティブで、問題対策が柔軟で、でもプロセスの理論立てもいい。こんな人いたらすごい。だけど、両方持ってるってそんな贅沢なことがないから、パートナーや仲間が必要なんですよね。できるところはプロとしてやり、できないところはできる人がやる。そうやって分業して成り立つのが仕事ってもんだなー…と音楽には関係のない考えもめぐります。
まあ感覚+知識+人脈まで持つ人になってみたいものです。どんな世界が見えるのかなー…
千秋ってそうとう不憫
飛行機恐怖症で海外へ留学できないって…そんな不憫な話ないじゃないですか。船舶恐怖症もありで…いかにも漫画っぽい。だけどリアルに飛行機恐怖症はありそうです。顔も完璧、成績完璧、技術完璧と言われてまさかの汚点が飛行機怖いだから、笑えます。
のだめを飼いならしていく様子も大変そうでした。ゴミ屋敷に住んでる女なんて好きになりようがなさそうなのに、好きになるって…何か1つでいいから、輝くものを持ちたいと思いました。そしたらのだめみたいなシンデレラストーリーが待ってるのかもしれない、って淡い期待を…持ってしまいます(笑)。
Sオケをまとめていく姿、かっこよし。これはいかにも、でした。まじめで努力家ゆえに許せない個性。シュトレーゼマンの意図を読み取るまでが大変でした。でも笑える。個性派ぞろいにした理由・意図を読み取って、個性を消すのでなく、個性を生かすということに気づいていく。Sオケ大成功で注目を浴び、Aオケのピアノもシュトレーゼマンとコンチェルトさせてもらって…成功の道を歩んでいきました。こういうのって、絶対先輩(シュトレーゼマンとかオクレール先生とか名だたる音楽家たち)は教えないんですよね。後輩の成長が怖かったり、恨めしかったりもしながら、自分で気づいて大きくなっていってほしいみたいな期待も持っていたり。全部を教えてしまうと、教えてもらったこと以上には成長できないように人間ってできてますよね。思考することが人間の価値なので、やはり考えて感じて、自分のモノにするのが正しいのでしょうね。そうやって発展していくんだなーと思いました。
のだめの苦悩
どうしてそこまで勉強しなくてはならないのか?自由にピアノを弾いているだけではだめなのか?それは過去にその才能からどんどん厳しいピアノの先生に教わるようになっていき、自由を失っていった過去があったから…だから、先生って難しいですよね。自分のものを押し付けることも、教えすぎないこともできないし、最大限生徒の可能性を広げることが仕事であるけれど、それは完全に1人1人が違うからオーダーメイドだし…才能を伸ばすって相当難しいと思います。子どものうちは、やっぱり心が大事だと思うし、感じることまで大人の都合を押し付けることはやめないといけないですね。
千秋のライジングスターオーケストラを聴き、自分もあの舞台に…と思えるようになったのだめ。コンクールで優勝して千秋先輩とヨーロッパへ行く。でも最終の舞台でボロボロに…実家へ帰る。悲しいですよね。初めてできた明確な努力の目標…それを失うって絶望です。そんなところでパリの音楽学校の先生がのだめの才能に目を付けた…!芸術的なセンスはわからないけれど、がんばっていること、感じていること、想っていることが誰かに通じることがある。がんばることをあきらめたくないなーと思わせてくれました。
あらゆるギャグが自然に
ゴミ屋敷最強です。黒木の一目惚れとか、峰と清良のやりとり、真澄と千秋、そしてのだめ…原作のぶっとんだ雰囲気をしっかりと表現しおもしろく仕上げてくれているのが、当時のドラマではのだめカンタービレくらいだったと思います。音楽に携わる人も、音楽を知らない人も、心が動く作品に仕上がってるので、楽しめる内容ですね。
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