マクロスの後番組だが超時空シリーズの人気を持続できず失速 - 超時空世紀オーガスの感想

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マクロスの後番組だが超時空シリーズの人気を持続できず失速

1.51.5
映像
3.5
ストーリー
1.5
キャラクター
2.5
声優
3.0
音楽
4.5

目次

大ヒットしたマクロスの後作品、振るわなかったのは何故?

本作は1983年に放送開始して35話放送されている。

超時空シリーズの2作目、1作目は1大コンテンツとなり今でも大人気のスーパーヒット作のマクロス!

後番組として「超時空」というタイトル、「ガウォーク」という画期的メカ形態、「キャラのノリの軽さ」を引き継いだものの、2匹目のドジョウは得られずあえなく打ち切りとなった。本作は何故振るわなかったか、多数の意見があるが今回再見したので自分なりに考えてみたい。 

メカがイマイチ・・・いやイマサンくらい?

本作放送当時はロボットアニメのメインスポンサーは玩具会社と相場が決まっており、オーガスも例外ではなかった。前作マクロスのバルキリーが大売れした経緯もあり、スポンサーの期待は大きかっただろうと予測する。

しかし始まってみると玩具は非劇的に売れなかったようである。

主役機オーガスのデザインはダンバインと同じ宮武一貴氏。宮武氏はスタジオぬえに所属する日本のSFシーンを支えてきた重鎮だが、それはヒットを約束するものではなかった。

実際今見てもこの顔はないな・・・と思う。

全体のフォルムはそこそこにカッコいいのだが、顔はかなり微妙だ。

微妙、というところが問題なのだと思う。後にカッコイイ系ではないのに人気を博するエヴァほど怪獣然としたものではないし、無論従来主役機のような鋭角のキリリとしたものでもない。

その徹しきれなさの割りに、前作からガウォーク体形を残すという守りが入ってしまったのもマイナス要素だろう。

根本的にマクロスが凄かったのは現実社会に存在するかのような戦闘機がかっこいい人型に、しかも完全変形する、というところだ。その副産物としてのガウォーク形態も斬新な姿とかつて見たことのない戦闘シーンに当時のアニメファンは狂喜した。

しかし、オーガスは違う。いかに画期的なものでも2度見れば視聴者は「またか」と思うし、その上明らかにバルキリーのようにかっこよくない。玄人向けと言えなくもないが、それにしたってやっぱり顔が微妙だ。同じ宮武氏のダンバインも販売は苦戦しメーカーからは酷評されたようだが、動物的なコンセプトが成功してマニアには今でも人気が高い。オーガスには残念ながらそれもない。結局「中途半端」の一言に尽きる、と言えるだろう。

もう一点言及しておきたいのは、姿だけでなく戦闘シーンのつまらなさだ。

画像の質はマクロスより数倍良いのに、オーガスは戦闘シーンがありきたりで面白味が無い。マクロスは画質は荒れていたがバルキリーの完全変形、マックスの踊り撃ち、巨大戦艦が人型に変形すること、そしてその必殺技(?)ダイダロスアタックなど、玩具を買いたくなる要素がてんこ盛りだった。

オーガスはそのような戦闘の斬新さは放棄してしまっており、むしろマクロス以前の古臭いロボットアニメに退化している、とも言える。

 

10年以上後にエヴァンゲリオンはあの顔、あのフォルムで玩具(?)も大きく売れる。これはオーガスの存在が時代に対して早すぎたというのだろうか?

残念ながら私は違うと言い切る。エヴァはあの特異な主役メカそのものが作品の世界観に大きく関与していたからあれで良かったのだ。しかしオーガスは異世界モノというコンセプトのみであのような形になったにすぎない。たらればの話だがエヴァ以降ならもう少しは売れたかもしれない。とはいえ、あの形態を生かすような見せ方が無ければ「少しはマシ」という程度が限界だっただろう。

 

前述したようにダンバインも玩具が売れずスポンサーから大不評、という似たような流れがあった。スポンサーは商品の宣伝を託しているのにアニメ制作会社はそれを売ろうとしない。これはどういう事だろう。良い解釈をすれば、経済至上主義の現代とは違い、「子供が見るものだから」という緩さがあったのかもしれない。ある意味今は金になるものは全て回収しようという浅ましい時代であるが、時はバブル時代、まあいいや、がまかり通る暖かい時期だったのかもしない。(メインスポンサータカトクトイスは本作で大きくダメージを受け、そののち倒産した、という話もあるので『まあいいや』では済まされなかったかもしれないが、その考察はまた別の機会としよう) 

キャラは立っていた、とは言えオンリーワンとは言い難い・・・

第一話冒頭から主人公のベッドシーンで始まるというインパクトは大きい。その後も主人公桂木桂は軽さをウリにして最終回まで軽妙な会話を交わし続けるが、それにしては最終シーンはいきなりSF性を全面に出してしまい、わかりにくいストーリー展開になってしまった。正直なところ最終話に余韻や清涼感などは微塵もなく、何じゃこりゃと思った人が大半だろう。

1話こそ異世界に紛れ込んでどうなるんだ?という引きに成功しているが、以降は異世界感とキャラの軽さは連動せず、美樹本氏のキャラ人気のみで、ある程度のファンはついたが、むしろそこ以外見るものが無かった、と言ってもいいかもしれない。

実際に当時同時期に放送されていたダンバイン、オーガス、ボトムズ、バイファムはメカとキャラがそれぞれにアニメ誌の表紙を飾っていたように思うが本作は圧倒的に美樹本氏のキャライラストが多かった。ではキャラがそれほどに秀逸だったのか、と言うとそれも難しい。ボトムズのキリコなどは今でも人気があるが、もう一度見たいキャラとしてオーガスのキャラを上げる人がいるだろうか。桂木桂やミムジィは言わずもがなで、当時絶大な人気を誇ったモームでさえ覚えている人がどの程度いるだろう。

非常に酷な言いかたになるが、当時のアニメバブルの乗っかった中途半端な作品、という形容こそが最もふさわしいかもしれない。

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