じわじわきます、真の戦争映画 - フルメタル・ジャケットの感想

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映画レビュー数 5,784件

じわじわきます、真の戦争映画

4.54.5
映像
4.5
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

タイトルの「フルメタル・ジャケット」は鉛の弾丸をニッケルなど別の金属で覆った弾丸のこと。人を殺したくない、戦争は怖い、という普通の認識の人間が、戦闘マシーンとして「装甲」されていく、といった意味を含んでいて、興味深い。 ブートキャンプでの訓練風景は「サー・ノー・サー!」のかけ声やハートメン軍曹のキャラ、出で立ちなどが、後のあらゆる分野において引用される、印象深いシーンだ。 映像、物語としては地味で、脚本としてもグッドセンスなわけではないがゆえ、評価の分かれるところだと思うが、そもそもこの映画に「ハリウッド調」を求めるのは無理な話。 後半、実戦場のシーンは音楽もほとんどなく、トラップの恐怖、ベトコンの恐怖に追い詰められていく隊員たちの姿が抑制的に捉えられ、はっきりいって、見てて相当怖いです。 アメリカの「戦争映画」というと英雄譚、奇妙に濃いヒューマニズム、正当化を平気でやってのける、などの悪態が多いですが、この映画は真の戦争映画といっていいと思います。

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スタンリー・キューブリック監督が国家の病気としての軍隊を、シニカルに痛烈に批判した戦争映画の傑作 「フルメタル・ジャケット」

国家病理学というような学問は、まだ存在しないと思うが、あっていいし、あるべきではないか。そんなことをこのスタンリー・キューブリック監督がヴェトナム戦争を描いた「フルメタル・ジャケット」を観て感じた。なぜなら、この映画は国家の病気としての軍隊を描いた作品だったからだ。この映画は、ヴェトナム戦争の真っ最中の1967年におけるアメリカ海兵隊訓練基地での、一つの班の猛訓練と、翌1968年、ヴェトナム戦争の一つの山場となった、いわゆるテト(旧正月)攻勢に遭遇した彼らの戦闘ぶりとを描いているのだ。映画の前半部が訓練、そして後半部が戦闘なのだ。軍隊の猛訓練を描いた映画というのは、これまでにもたくさんあります。鬼軍曹が普通の青年たちである新兵を徹底的にしごいて、勇猛な兵士に鍛えあげるというのが、その基本パターンだと思う。その数多い軍隊訓練ものの中でもこの作品を際立たせているのは、ハートマン教官という鬼軍曹が四六...この感想を読む

5.05.0
  • dreamerdreamer
  • 273view
  • 3144文字
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そこそこ

面白いし美しい映画ですかね。前半部分は上官のデブ兵士に対するしごきがメインになるのですが、このしごきは見ていると辛くなりますね。「あーアメリカ軍もこんなしごき方をするんだ」と思い見てました。ただデブは主人公の助けをかりながらすこしずつ成長するのかと思いきやなんか狂ってしまいます。でもなんで狂ったのかという描写がないように思います。単純に訓練が嫌で、という理由なら主人公の助けの描写は不必要だし、自分が狙撃兵になれなかったからというのも兵士の配属が志願なのか強制なのかはっきりさせていないのでよくわかりませんね。後半は戦場のシーンがメインになるのですが、なにを描きたいのかわかりません。結局描き方はいつものアメリカ映画と同じように「アメリカの美化」に尽きると思います。最後に狙撃兵を倒したあと、たとえ敵でも情をもって接するという描き方が、途中にある農民たちをゲームでもしているかのように殺している...この感想を読む

4.04.0
  • clownclown
  • 130view
  • 512文字

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