じわじわきます、真の戦争映画
タイトルの「フルメタル・ジャケット」は鉛の弾丸をニッケルなど別の金属で覆った弾丸のこと。人を殺したくない、戦争は怖い、という普通の認識の人間が、戦闘マシーンとして「装甲」されていく、といった意味を含んでいて、興味深い。 ブートキャンプでの訓練風景は「サー・ノー・サー!」のかけ声やハートメン軍曹のキャラ、出で立ちなどが、後のあらゆる分野において引用される、印象深いシーンだ。 映像、物語としては地味で、脚本としてもグッドセンスなわけではないがゆえ、評価の分かれるところだと思うが、そもそもこの映画に「ハリウッド調」を求めるのは無理な話。 後半、実戦場のシーンは音楽もほとんどなく、トラップの恐怖、ベトコンの恐怖に追い詰められていく隊員たちの姿が抑制的に捉えられ、はっきりいって、見てて相当怖いです。 アメリカの「戦争映画」というと英雄譚、奇妙に濃いヒューマニズム、正当化を平気でやってのける、などの悪態が多いですが、この映画は真の戦争映画といっていいと思います。
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