新風感じる少年漫画
ボールルームって何?から始まる
今までの少年漫画では、全くの異世界のストーリーか、高校の部活を描いたスポーツ漫画がほぼメジャーですし、いま人気の少年漫画もおもにその二つに分かれています。
しかし本作品については世間一般的には浸透していない「ダンス」。ましてはボールルームダンスという特殊なジャンルにおいて、あえて少年漫画として取り入れた挑戦は見事に読者の心をわしづかみにします。
よくあるスポーツ漫画の「ど素人の少年が成長していく」物語で、スポーツ漫画の鉄板な展開なのですが、まず、困難な点としては「ボールルームダンス」というジャンルがどういったものなのか。
主人公の目線を忠実に表現し、読者に「社交ダンス」との違いを認識してもらい、いかにハードは競争業界であるのかを伝えるにも、作者のお話や原画の構成がカギになってきます。
画力を☆5としているのは、実際に主人公が演技に入る時、レッスンを受けているときの大尉振る舞いや、伝えたい空気感がじわじわと感じられるように描かれているからです。
ニッチな競技を題材とした、メジャーの少年漫画という新たな風を吹かせた作品です。
細部にまでこだわった描写
ボールルームダンスにおいて、もちろんさまざまな技や、レッスンの風景があります。
例えば筋肉の使い方の説明も、キャラクターたちをただの「例」として描くだけでなく、感じ取っている表情も詳細に残さずペンを走らせているように感じます。
全体的に艶やかにキャラクターたちを表現しています。男性・女性関係なくセクシーで、競技者の立場や心情がリアルに伝わってくるため、読み手としては展開がリズムよく、深く、読み進みます。
監修も徹底している為、作者の妥協の無さがまたにじみ出るようです。
音の無い音楽を表現
一番この作品で困難な個所でもある、実際にあるはずの「音楽」表現です。
いつかアニメ化、もしくは実写化して欲しい作品でもあるのですが、理由としてはこの漫画自体がボリュームが多い読み応えのある漫画となっています。
恐らく「視覚から読み込むボールルームダンスの音楽」をいかにキャラクターたちの表情、肉体の描写、競技会の緊張感を伝える絵の構成でカバーしていることからわかります。
本来、競技ダンスを楽しむ醍醐味としては、演技しているときにかかっている「音楽」と踊り手の表現がマッチして、会場全体を飲み込むような踊りで魅了することが第一です。
漫画となると、その中の「聴覚」「肌感覚」「嗅覚」がありませんが、読んでいるうちに自然と、漫画の世界に飲み込まれていきます。
気分を変えたい時に読んで、スッキリしている作品です。
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