子育て奮闘記の少女漫画。
勝平さんの声が徐々にハマる。
最初の頃は山口勝平さんの声と拓也のビジュアルがどうしても納得ができず、もう少し女性っぽい声の方が拓也にはあっているのになあと思っていました。しかし、実がいるため、あえて山口勝平さんの個性的な声で差別化を図ったのかなと理解し、また子どもの影響ではなかっぱ(がりぞーの声を担当されている)を観たことから、山口勝平さんのハイトーンへの違和感が薄れたせいもあるかもしれませんが、拓也とのビジュアルとのギャップが埋まったかなあと思います。藤井くんの声がもし拓也の声だったらと想像して、山口勝平さんよりも拓也らしいと思えたのですが、実との会話を想像すると、二人ともの声の印象が薄くなってしまうような気がします。特徴的で耳に残る声で実を叱り、実を褒め、その声に喜ぶ実の「にーちゃ」の可愛らしさがまた一層相乗的に魅力が増すんだなあと大人になってから思いました。パパの声がまた凛々しいから、山口勝平さんの声で若干の幼さを加えた拓也の声が死なないんだと思います。この作品は拓也の心の叫びを訴える部分が半分以上を占めていると思います。そのメッセージ性を秘めた拓也の言葉の一つ一つを山口勝平さんが伝えているんだなあと、耳に残る声を反芻しています。
実の乳児としての役割
素晴らしいほどにころころとしていて、おむつのせいでお尻がまん丸く、瞳はクリクリでいつもキラキラしています。乳児の可愛さを全部詰め込んだのが実で、また乳児の大変さを全部発揮させているのも実です。本当にコインの表と裏のような人物になっていて、機嫌が良かったと思ったらすぐにひっくり返って泣き叫びます。漫画では得られない声が本当の実のように聞こえ、そのキャラクターになりきる声優さんのすごさを改めて感じました。まだしっかりと言葉を喋れない乳児の独特な発語を勉強されたんでしょうか。多くのファンを引きつける実の威力を2倍3倍と増している気がします。実自身、ママを知りません。いえ、覚えていません。きっと肌で感じ、耳でママの声を聞いていたのでしょうが、物心つく前にママは亡くなってしまいます。そんなママを無意識に恋しいと感じる実が健気で、積み木でお友達を叩いてしまう気持ちもわかります。というか、その場面は先生がひたすら謝るべきことで、拓也が全面的に避難を受ける場にしてはならないはずです。ここはちょっと腹が立ちました。実も言葉が先に出ない、手が出てしまう年齢です。だからと言って暴力はいけませんから、実が悪いことは変わらないですが。でも、このシーンは切なかったです。訴える先にママがいるなら救われますが、実にはいません。その理由も理解できません。ただ漠然と自分にはママがいないという事実があるだけです。まだ乳児というのもポイントなのでしょう。これがもう少し大きかったら、見る側の心が耐えられません。
パパの言い分と悪い部分
パパは、第二子が生まれて、家族が増えたしさあこれからも頑張るぞと溌剌とした日々を過ごしていたと思います。その幸せの最中、奥さんは交通事故で亡くなります。この榎木家がきちんと安定した家庭だからこそ観ていらられる部分があります。もし、経済的に不安のある家庭で、パパが仕事を掛け持ちしなければいけないとなると、拓也の負担も大きくなりますし、生活するだけで精一杯で子育てという意味では介入出来なかったと思います。パパがしっかり働けて、夕飯を作れるだけの早い時間に帰宅できて、休日がしっかり確保されているホワイト企業に勤めているから成り立っているという部分も否定はできません。しかし、やはり男親と母親との違いは所々で見受けられます。今の時代、お兄ちゃんなんだからという言葉は悪い言葉として捉えられています。拓也はこの言葉を周囲の人から言われます。これを続けてしまうと、拓也自身の存在を認めることにはならず、実の兄というポジションを肯定させることになります。それを要所要所でパパは拓也に厳しく接します。それぞれ家庭の事情もありますし、いいですが、ちょっと実に意識を向けすぎているなあとイラっとしてしまう部分がありました。パパもパパで大変ですし、支えてもらいたいと思うこともあるかと思いますが、お兄ちゃんだからではなく、拓也をもう少し労って時々はわがままも聞いて欲しいなあと思いました。
オープニング曲とエンディング曲
いつ聞いても思わず口ずさんでしまうほど身に染みています。子どもの頃によく歌っていたのでしょうか。大人になってから聴いてもすぐに歌えるほど歌詞覚えていて、自分でも驚きました。オープニング曲は元気で明るい曲調で、サビの部分は子どもたちでも口ずさめるほど音として歌える歌詞になっています。エンディング曲は優しく見守るママのような曲で、拓也がアルバムを開いている絵が流されています。はちゃめちゃで大変だけど、心が穏やかになる瞬間もある子育てをよく表現できているように思います。
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