笑えるけれど熱い男の友情ドラマ
前半はじっくり後半はジェットコースター
1990年代に放送されたこのドラマは主人公の元医大生の一馬(木村拓哉)と借金の取立て屋の八郎(浜田雅功)が出会う初回から最終回までに6年くらいの月日が流れる、後半はいわばジェットコースタードラマのように展開するので、1話見逃すと「あれ、どうなったんだっけ?」と思うところがあるので、できれば続けて観るのが望ましいです。
主題歌は森君がいた頃のSMAP最後のシングル「俺たちに明日はある」ですが、オーブにングにかかるとテンションが上がります。
八郎が好きになった売れないバイオリニストの七重(石田ゆり子)と、一馬にだまされても結婚したいと言った大病院の院長の娘沙織(戸田菜穂)がヒロイン的な存在で、ドラマ中盤では八郎と七重がいい感じに付き合いだすのに、上司の犯罪の尻拭いで八郎が4年間刑務所に入っている間に、沙織と結婚して病院を継ごうとしていた一馬が七重を好きになっていたり、その七重には八郎との子どもが産まれていたり、3人目のヒロイン的なこころ(飯島直子)はずっと八郎に片思いしていたけれど言えないままだったり、毎回そのあたりモヤモヤ感が残ったまま、次回が気になる展開になっていきます。
キーマンはこの人
何故八郎が一馬の借金返済を手伝おうと思ったかというと、幼くして死んでしまった八郎の弟と一馬を重ね合わせたところがあって、つい手を差し伸べてしまうのだけれど、一馬は後半になるまで八郎の気持ちを知らないまま、くっついたり離れたり、一馬のピンチの場所に八郎がタイミングよく現れたり、そこはさすがドラマだなと思うところなのですが、その二人の友情を厚くするのに欠かせない人物が八郎のの上司である多田(内藤剛志)の存在です。
多田は、暴力事件の濡れ衣を着せられてプロボクサーの道を断たれた八郎を拾ってやったという自負から、八郎を可愛がるあまりに、仲良くなり始めた一馬に嫉妬、そうあれは嫉妬といってもいいくらい、八郎に飴と鞭を与え、挙げ句の果てには殺人事件の容疑者に二人をはめてしまうのですが、八郎は将来ある一馬にことを思って、自分1人で罪をかぶろうとする場面はグッときました。最終話まで多田の影がうろうろしていてほんとにもうモヤモヤしてしまうほどの存在感が、きっと八郎の人の良さを引き立てているのかなと、良くも悪くも内藤剛志はこのドラマのキーマンだったのではないかと思いました。
イケメン一馬とそうじゃない八郎
一馬は当然モテていて、医大生時代に彼女がいたのですが、その彼女は心ない一言を言ったために入水自殺をしていまい、それを機に女性とキスができなくなったり、医大を辞めるのですが、なんだかんだ男前なので、騙して女性からお金は借りられるあたりはさすがキムタクです。一方の八郎は男前ではないけれど、浜ちゃんだけに言い回しも面白く、関西弁でどつくところも迫力あって、一馬と一緒にいるだけで男前っぽく見えるところが不思議で、一馬がひねくれ者である分、八郎の男気のある態度や人の良さが滲み出て、だんだんかっこ良く見えてきます。
また、医大を辞めて借金生活を送る一馬(木村拓哉)のもとに借金の取りたてに来た八郎(浜田雅功)は、一馬の何かに惹かれてついかくまってしまうところから物語は始まりますが、八郎は元ボクサーなので、あのSMAPのキムタクが浜ちゃんに喧嘩では手も足も出ないところがまたポイントだと思います。
一見アイドルのドラマにも見えますが、人間くさい人と人とのガチのぶつかり合いがあり、二人の息がピタッと合った時についにやけてしまうほどのすっきり感がすごくあって、観た後はほんとうに気持ちがいいドラマだったなと思いました。
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