スゴイ作品
汚れか穢れか
真っ向から衝撃を受けた作品でした。同性愛がまだ今日まで支持されていないときに売られていたと思うと。このような絵柄はあまり読まないことも多いのですが、思ったよりこの作者さんは絵が綺麗、というか美麗だったため、惹かれてしまいました。別作品も早く読みたいです。クローンというものにもスポットがあてられ、というかポイントの一つですね。このネタはよく見かけないこともないのですが、こちらでは使われ方が基調、作品の土台となっていますので、クローンネタが好きな人は純粋に面白く読めると思います。話が変わって、汚れを知らないというイメージを美しい人には抱くことが多いわけですが、そこまで汚れを知らないわけでもないんですよね、穢れとも言えるようなものに触れている面もあります(例えば主人公と育てのおばさんとか)。むしろ可愛かったり、美しいと、人の好奇を直に受けますから、間接的に色々な人の心に触れさせられて、腹黒くなってしまうことも少なくないでしょう。それがクローンであるならなおさらのこと、自分は自分のために生きているのではない、そんな嫌な事が分かれば荒んでもおかしくない。他人に優しい人は自分にも優しいと言うでしょう?自分に優しく生きれないのに、どうして他人に優しくできましょう。
キャラ
私が好きな、二人のキャラについて少しだけ話したいと思います。まず信夫、拷問で顔がもっと不細工になりました。いいキャラしてますよね、彼。なんだか結婚してもいいんじゃないかってくらいですが、漫画の人だからこんなこと言えるんです。そして碧、碧の「ちゃんと愛されて許されて信じられて、『鬼』が『人間』に戻れたら、少しずつ少しずつもどれたら…」(輝夜姫14巻より)という言葉に涙しました。それしか方法がないのだということに、絶望のようなものも同時に覚え、胸が苦しくなったものでした。嫌な人に会ったときなど、この言葉が思い出され、自分の心の素直さが足りないことに嫌悪することも。それでも、碧というキャラには感服しております。尊敬に値するでしょう。
腐向けと言わないで
今から伸びるのではないでしょうか。いえ伸びると信じて、今ならBLが盛り上がっておりますから。しかし昨今の腐女子たちは、少々同性愛に対する愛着がズレているように思います。あれはただ流行りに流されている、好みも偏っているのに、皆して同じ作品のものばかり支持している。そういう意味では、あの方たちは輝夜姫には目もくれないでしょうね、とたびたびひねくれている次第でありまして。あのような方たち、BLに興味を持っていますのは、大変嬉しいことなのですが、もう少し慎重にというか、丁寧にというか、流行りに流されるままはしゃいでいるのは、私正直見苦しいものがあります。作品が売れることは素直に喜ぶことなのですが、腐向けだ腐向けだと軽々しく騒がれても、素直にはなれないところです。輝夜姫という作品は、作品です。確かに腐要素があります。しかし、それがメインではありません。クローン、社会問題、自らの出生、そして何よりもジャンルはSFです。BLではありません。私が主張するならば、そこを強く言います。
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