ゲンジバンザイ!!
現実にいた歴史上の人物が異世界で国盗り合戦。
「漂流者」や「廃棄物」と呼ばれる、紫やEASYに呼び寄せられ、時代にかかわらず名を馳せた歴史上の英雄たちが異世界に召喚されていく設定はおもしろいですよね。異世界へ召喚される作品はごまんとありますが、これは他の作品と違います。
最初に思ったのは紫は何を基準に「漂流者」を選別したかなんですよね。EASYは「廃棄物」に選んだ人たちを調べたらわかる気もしましたが、「漂流者」は生死不明、または存在したかどうかも不明な人物が多い。それが基準なのかもしれませんが、そこに何か伏線があるような気がします。
「漂流者」。
主人公を島津っていえば義弘がよく出てくるのに、ここに豊久を持ってくるっていう平野先生のアイディアがすごい。歴史好きの人じゃないと知らない人物だと思いますし、私もこの漫画で初めて知りました。
豊久は自分を「功名餓鬼」と自嘲しながら、自分でも気づかないうちに王の器を手にしています。自分では気づいてないけどじじどん(ハンニバル)と与一と一緒にお散歩行って「自分たちはお前たちを傷つけないから安心しろ」って意思表示してるし、しょっちゅう異世界の民にハッパかけてるし。
与一にも3巻で追い討ちさせませんでしたね。昔、追い討ちとかやらされてた与一は、それを是と思っていなかった。それを見抜いた豊久はしなくていいと言い、与一の心を救いました。こんなこと言われたら絶対どんなことがあってもついていくんじゃないでしょうか。あのホッとした与一の表情にきゅんときた人!絶対いるはずだ!!私だ!!
信長が参謀。これは天下統一を目指した男が己を知り、豊久を王にすると決めたのは自分の息子が自分を守って死んだこともひとつの理由ですが、国を作り豊久を王にするため、彼の手を陰謀などで汚さないためでしょうね。豊久に叱られたとき嬉しそうだったから余計にそうなんだと思います。
他の「漂流者」達やオルミーヌもみんな魅力的に描かれていますが、これからどう彼らが動いてくのかが気になりますね。ちょっと人数多くて全員書けないのが残念。じじどん大好きです。
「廃棄物(エンズ)」達。
不憫な人多いです。ジャンヌやアナスタシア皇女はむごい死を迎えてますね。「廃棄物」にもなるわけです。
ジルドレはジャンヌ救出のために奔走した史実があり、だから作中でも一緒に行動してたんですね。愛だったのか、それとはまた違う感情だったのか。ただ一つ言えるのは、「廃棄物」となった彼女を守りたい、それだけだったんでしょうね。まあ、おまけまんがで黒王様がおっしゃるとおり「歩く青少年条例違反」って言うくらいとんでもないことしでかしてるからなったんじゃねーのって思っちゃいましたが。
土方歳三が「廃棄物」というのは意外でした。他の作品は新選組視点で描かれているので土方歳三は「廃棄物」というより「漂流者」側なんじゃないかと思ったけれど、よく考えれば新選組副長ですもんね。新選組の魂の無念さが彼を「廃棄物」にしてもおかしくはないでしょう。でも、豊久と殴り合ったとき「楽しかった」って言ってた彼と豊久は、敵対すれど心は同じ「武士」ですから、しがらみがなかったら案外仲良くしてたかもしれません。
怪僧ラスプーチンに関しては通常時は冷静そうですが、予定が狂うと取り乱すような男です。どっかの会社にいそうなリーマン的なものを感じますね。アナスタシア皇女によくくっついているのも気になります。皇女様綺麗だし17歳だし、男性経験ないだろうし。やっぱり生前アレだったからですかね……巨根で精力絶倫ってやつ……。皇女様逃げて。
明智光秀は仕方ないのかな。信長がさんざん虐めちゃったからっていうのもあるんでしょうけど、自分の人望のなさと信長のカリスマ性を比べて農民に殺されたときに絶望して「廃棄物」になったんでしょうか。
正直年下のヤツに変なアダ名で呼ばれたら俺でもブチ切れるわ
2巻帯の「ルークとヤンの猿でもわかる本能寺の理由」より
源義経は最初の登場の時はどっちつかずな態度でしたが、もう「廃棄物」って言っちゃってもいいようなポジションですよね。好きにさせてもらうと言いつつ、黒王側にいる彼こそがキーマンではないかと。でも武勲をあげまくったのに兄の頼朝に追われて死んだエピソードを考えると「廃棄物」でもおかしくはないような気もします。
そして黒王。
平野先生ですからね。もうラスボスだって何でもありでしょう。ヴァチカンだって怖くない。正体はおそらく「キリスト」なんじゃないかと思っています。
数々の奇跡で人を救っていったのに、自身の愛弟子に裏切られ十字架にかけられて死んでいったキリスト。聖書ではその愛弟子を許し、復活を遂げたとありますが、実はEASYに人ならざる者たちの世界を作らせるために呼び寄せられた……と。異世界で見た人々を見て「廃棄物」になり、黒王になったのではないかと思いました。掌に杭を打たれた痕もありましたしね。実際はどうなのか。
しかし自分の命を削るとはいえ、食料とかバンバン出せちゃったり負傷兵もガンガン治したり、チートすぎやしませんか。ラスボスだからいいのか。
最後に。
魅力的なキャラクター満載、戦略、謀略、策略にバトル、ギャグ要素までとてんこ盛りな作品ですが、キャラクターのセリフにとても重いものを感じます。そして気づいてください。いろんな時代の英雄たちがこんなにも集結しているということは、戦争はもう人が知恵をつけたときからやっているということを。
彼らが異世界でどんな戦いを繰り広げ、そこの人間たち、エルフやドワーフたちを導いていくのか、これからも目が離せない作品であると思っています。
10月からアニメも始まります。皆さん元気に応援していきましょう!
ゲンジバンザイ!!
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