中学生が描いたとは思えないギャグ四コマ
登場人物の個性がしっかり描き分けられた四コマ
作者茶畑るり氏が14歳でデビューして連載していた作品である。連載当初はやや固い緊張したような線だった絵も、コミックスの3巻に入るころには作画が安定し、ポップな画風が安定している。
今どきよくありがちな学生生活を扱った少女雑誌の四コマ漫画だが、少女漫画にありがちな「髪形が違うだけでみんな同じ顔」という作画の特徴は、この作品においては無縁である。大きな目と口だけの特徴的な顔の書き方であるが、しっかりと登場人物の描き分けができており、各人物の性格が非常に個性的で、それが四コマ漫画の中でしっかりと確立し、ギャグを成り立たせている。そのためお気に入りのキャラクターが出てくるお決まりギャグなどが楽しめ、「ギャグがすべる寒さ」のようなものはこの作品からは感じられない。
制服のスカートが短くなっていく過渡期の作品
「へそで茶をわかす」が連載されていた平成4年から平成10年という期間は、全国でも女子の学生服のスカート丈に関する概念が一気に変わった時代である。平成4年の頃は、まだ「長い方がかっこいい」という時代であったため、主人公ぐりこのスカート丈は、スケ番かと思うほどのロング丈である。しかし、一方でその時期は全国的に制服スカート丈が短くなり出し、「膝上が既定の長さ」という風潮が出始めたころでもあるため、ぐりこの周りの友達は短いスカートにルーズソックスを穿いている生徒が多い。
そういった時代の変遷を感じるのもこの4コマの特徴である。しかし絵柄が非常にポップなせいか、主人公ぐりこのやや古めかしいロングスカートも、時代遅れを感じさせない可愛らしさがある。
お決まりギャグが楽しい
主人公ぐりこがスケ番スタイルのせいか、へそで茶をわかすが連載される少し前にブームだった、スケバン刑事を模した「鉄仮面ギャグ」という、ぐりこが鉄仮面を被ってたびたび現れるギャグが定番ギャグになっている。鉄仮面を被ったことによる生活の弊害が描かれているが、あまりにバカバカしすぎてスケバン刑事を知らない世代でも笑えるおもしろさがある。また、男番長鬼熊さんが恋するマサコちゃんに翻弄されたり、アイウエオ作文などのギャグは、吉田戦車氏の「伝染るんです」にあるような、各キャラが持っている「お約束」的手法がとられており、次はどんな手でくるのだろうか、というワクワク感が持てる、ストーリー性がある四コマになっている。10代の著者がいかにハイセンスの持ち主だったか、非常に才能を感じる作品である。
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