サナギさん――言葉遊びが紡ぎ出す不思議な中学生の世界――
漫画家・施川ユウキの進化「サナギさん」の作者・施川ユウキは前作の「がんばれ酢めし疑獄!!」がデビュー作でした。酢めし疑獄では作者独自の世界に向ける視点と、豊かな言葉遊びによって、一部の漫画オタクからは存在を認められていました。しかし、あまりにも絵が下手過ぎてどう考えても一般受けするような漫画家になるとは考えられませんでした。(施川は後に「えっ!? 絵が下手なのに漫画家に?」というエッセイ漫画を発表しているほどです)私も今から初めて施川ユウキの作品を読む人に、酢めし疑獄を教えようとは思いません。施川はサナギさんで元々の持ち味を生かしながら、大きな方向転換を図ってきました。画力が無さ過ぎて背景やリアルな人物が書けないという欠点は直すことを諦めました。そのかわりに徹底的にデフォルメを入れて、簡単作画の中でもかわいらしくみえるように頑張ったのです。他の漫画家の例でいえば、西原理恵子の作画が思い...この感想を読む
4.54.5
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