ラストがどうしても受け入れられない。 - ラスト・フレンズの感想

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ラスト・フレンズ

4.254.25
映像
3.63
脚本
4.00
キャスト
4.13
音楽
3.88
演出
3.88
感想数
4
観た人
13

ラストがどうしても受け入れられない。

4.54.5
映像
4.0
脚本
4.5
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.5

目次

問題がないことの方が珍しい

ルカはミチルが好きで、同性愛者です。ミチルは自己肯定感が低いです。ソウスケは虐待の連鎖。タケルは実姉による性的虐待による女性不信。エリは不倫しちゃうし、オグリンは自分に甘い。問題がない人はいないと思います。特に若いうちはいろんなことに悩みますし、喉に刺さった小骨のような小さな悩みで頭がいっぱいになります。とにかく悩みます。でもこのドラマの登場人物たちが抱えている問題は随分とヘビーです。リアルタイムで観ていましたが、当時学生だった私は一人暮らしの友人をうらやましく思っていました。時々お泊まりをさせてもらって、それこそワンルームに大人数で集まり、雑魚寝をしたのを覚えています。ドラマの彼らと同じではないですが、似たような環境がより一層登場人物たちに感情移入させ、また抱えている問題の深刻さを除けば、幼少期から少なからず自分が体験したことのある環境もあったため、放送日はテレビの前でスタンバイしていました。友人のために何ができるか、をそれぞれが考えて、一斉に全員が人に寄りかかって立っていられるようなそんな状態だと思います。誰か一人が欠ければ成り立たない、ある意味危うい交友関係で常にハラハラして観ていました。ハッピーエンドではない静かな悲しみと後味の悪さがまたたまらないドラマです。

真剣に向き合う

心底他人を思いやれる人が集まったシェアハウスだなあと思いました。卒業したらアパート一棟を友人たちで借りて暮らそう!と話したことがあります。それは夢のような生活で、楽しくて楽しくてたまらない毎日が送れるだろうなと私も嬉々としてその会話に参加していました。しかし、こうしてドラマを観てみると、学生ノリだけでは共同生活をしていくというのはとても浅はかな考えだなあと思いました。みんなといると楽しいです。実際にドラマでも歓迎会をしたり、夜みんなで語らったり、青春のいいところを切り取ったシーンもあります。しかし、それ以外ではミチルとソウスケの問題を中心に、それぞれがきちんと自分の問題に向き合うんですね。本当だったら知らんぷりして楽しいことだけ考えれば毎日笑って過ごせますし、問題から生じる関係の不具合も起きずに済みます。時間が経てば一緒にいれなくなるということは全員が理解していることです。だからこそ気持ちから逃げず、問題が解消するだろう方へそれぞれが進みます。当然その過程で多く傷ついていると思います。タケルがルカに告白することでタケルもルカも違う方向へ一度行ってしまうけれど、その後きちんと修正します。和解もします。お互いがお互いを認め合い、受け入れる関係へと発展します。タケルに至ってはゲイだと言われても笑い飛ばしますしね。見せかけの強さでも、他人を傷つけず巻き込まない彼らのやさしさの強さはどんなことが起こっても壊せないと思います。

死んだらいけない

ソウスケが自殺を図り、死にます。そしてミチルのお腹には新しい命が宿っています。これはちょっと学生の私にはあまりに残酷に写りました。私は暴力による虐待を受けたことはありません。殴られることが当たり前だから他人を傷つけても普通だと思ってしまうのか、他人を支配したい一心で暴力に任せて言いなりにするのか。はたまた他人へ暴力を振るうことで相手が自分を見捨てるかどうか試しているのか。もしかしたら全てなのかもしれませんし、私が全く見当違いのことを言っているのかもしれません。ソウスケは児童福祉課で働く公務員です。虐待を受けている子どもがいないか日々熱心に仕事をし、子どもを気遣っています。本当はとても心根のやさしい人なんだとわかります。ですが、その反動ではないですが、自分の環境ではどうしても理性が働きにくい。ミチルを殴り、言いなりにし、監禁し、自分の思い通りに過ごさせます。同棲前では残業をするミチルを遅くまで待ち、優しく声をかけます。一緒に住むことと離れていることと、彼の中での一線を越えることが同棲であり、もう自分のものだから自分の意思通りに動くものと彼女という存在から所有物へと変わったんですね。自分の過去の虐待から立ち直るということは容易ではないことはわかっています。私はラストでソウスケが死んだことがとても不快で、なんとかならなかったのかと今でも思います。彼だけ救えずに終わってしまったドラマだと思います。死んでほしくなかったです。

オグリンとエリ

楽しい二人です。なんだかんだでお互い好きで、うまく行ったりすれ違ったり。他のメンバーがとてつもなく葛藤している時もイチャイチャしている二人が登場すると小休止のようにホッとします。はっきり言ってこのドラマは結構なトラウマです。重くて苦しくて悲しみばかりが続くドラマです。でもそんな中でも二人の恋は悩みながら背徳感も抱きながら進んでいき、オグリンのダメっぷりが視聴者を一息つかせてくれたと思います。歪な中に少しでもクッション役がいると呼吸をすることを思い出させてくれる、重要な人物だなあと思いました。

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愛?

歪んだ愛恋愛すると、独占欲が出てくるもの。それは好きの証。でもそれは時として愛する故に相手を苦しめる過重な愛情になってしまう。妬きもちと束縛や心配の具合が難しい。自分の愛情を押しつけるのは真の愛情じゃないと思う。相手の幸せを思い引く1歩も最大の愛情なんじゃないかと・・・気付かされた作品でした。縛り付けて居なきゃ居られないのは、信頼と自身の余裕の無さ。同じ愛情なのに歪んでしまうと悲しい結果になるんだな、と改めて考える時をくれた作品でしたね。親しい仲にも礼儀あり最初は微笑ましい恋愛ドラマだったのに・・・見ていくうちに心中複雑になる。不思議たな感覚に陥って。こんなに愛される幸せさと、愛され方の矛盾に気付いちゃう。友達が心配する中で今の現状が以上だと、DVだと気付いて居ながらも・・・自を思う気持ちゆえの事だと思うと周りの注意を理解しながらも、不思議と離れられない慣れて行く怖さの麻痺。体験した事あ...この感想を読む

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4.04.0
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  • 141view
  • 512文字

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4.54.5
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  • 209view
  • 925文字

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