幼少の傷が生んだもの
歪んだ愛情が生んだもの
成人してからの展開もすごいですがそれをするにいたる最初は彼らの親たちによって作られたと思います。妻がいながら他の女性を愛してしまった、不倫相手の女性が愛する男性の子供を欲しいと思うのも人間として子孫を残したいと思う観念から考えればなくもない心理ですが、それが病院から奥さんが生んだ赤ん坊を連れ去るという犯罪を生むことになるとは当初誰も想像していなかったでしょう。彼への愛情がいつしか歪んで彼の子供を妊娠して別れて己とという思い、結果彼女は事前に妊娠した振りがバレて逃げられて諦めきれず誘拐した子供が手元に残りました。本当に願っていたことなのかと聞きたくなるようなことです。病院側は責任を追及され、我が子が消えたという母親のショックは計り知れないと思います。歪んだ愛情がまず最初の悲劇を生んだ始まりでした。心の欲求は理性さえも破壊するのかと恐ろしく感じます。
育ちの違いと真実を知っての姉妹の心境
次の年に生まれたのが妹香世。建築家の父と大きな会社の一人娘だった母親、本来なら2人姉妹として暮らせるはずだったのに、奪った不倫相手の女性のことしてぼたんは母子家庭で生活を支えるために行った先で出会ったのが父親だった。そうとは知らず侍女として住み込みで暮らすことになった牡丹は子供の時に仲良かった友達で自分が傷つけて絶縁状態になってしまってた香世と再会し真実をお互いに知らないままに暮らす事になり心境はかなり複雑だったことでしょう。香世は何も知らず傷つけられた過去を恨んで意地悪を繰り返して牡丹は傷つきながらも耐え忍んでる姿に、子供ながらの傷は大きい程深く記憶にも心にも影響を与えてしまうものだなと感じます。香世が気の強い性格をしているのもありますが、姉妹だったらどう育てられていただろうと思います。牡丹の育ての親が真実を話してくれた日、後悔はいくらしてもあの日がなかったら?愛は形を変えるとこうも怖いものだと感じさせられます。父親は責任の一端はあるわけですから余計に己の不義に情けなかったろうと思います。
普通の姉妹ならありえない嫉妬
本当の姉妹だったら本当に優しい姉に気の強い妹は喧嘩しながらも仲良くできていたかもしれません。ですがいきなり姉妹でしたと言われてもその実感などあるわけもなくて、妹の香世には以前の虐めていた時の意識が残っているように感じられます。まさか好きな人が同じという偶然とはいえそれが再び姉妹の絆に歪みを生じました。ドラマとはいえこの姉妹の人生は自分以外の大事な人によって狂わされ傷つけられてきたものだと感じます。そして対抗心や嫉妬心そして支配欲、その中に恋愛が絡むとこうも人の愛情はそれに左右されてしまうものかと思います。自分の思う通りに事が進まないと嫌な妹にとっては姉の恋愛はもどかしかったりなんで?って納得いかない部分もあったのかもしれませんが一方的に約束を押し付けて自分は好きでもない人と一晩を共にするというのに、愛情の質に疑問を感じました。裕福な家庭で物には充実していたかもしれないけれど、触れ合い人からの愛情という物はどうだったのだろうか?一方の牡丹は子供の時の生活は大変であったかもしれないけども育ての親は愛情持って育ててくれたという事があります。愛情は形も質も人の人格に人生に大きく影響を与えてしまう。狂ってしまったものが傷つけたものは身内だったり自分であったり波乱に溢れて、この姉妹にとって「この時こうしていたら」「どれが本当の2人とも幸せの道」であったんだろうと考えさせられるシーンがいくつもあります。子供か?一緒に住み始めたときか?両親の事故の時か?牡丹のすべて許すような大きな慈愛とまさに薔薇のように鋭い棘を持つ香世は対照的でありながらも共に居続ける道を選びます。そこに一番驚きを感じました。
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