夜行観覧車の評価
夜行観覧車の感想
人間の「性(さが)」を軸に人間関係の縮図を描き切った逸品
テレビドラマならではの緻密な描写が秀逸人間心理やこの世の真理を問うようなドラマが好きで心の琴線に触れるような作品に出逢いたくて日々ドラマを 見ているようなものだけれど、 この作品はそんな私の願いを 予想を超えて強烈に満たしてくれた逸品だった。 人間の「負」の側面を描くドラマや作品は数々ある。松本清張作品のような人間の「業」を描いたもの、 園子温監督作品のような人間の「闇」を描いたもの、 湊かなえ作品はいわば、人間の「性(さが)」を描くのが特徴だと思うのだけど、 特にこの「夜行観覧車」においては・・・その「性(さが)」をテーマに人間関係の縮図をエグり出し、あぶり出し、 極限まで描き切っていた。その完璧さに、何度心ふるえ、感動したことだろう。恐れがベースで生きている人間の心の歪み、妬み、ひがみが どれだけ相手を、自分を、傷つけ命の尊厳を破壊していくのか、 どんなふうに絡み合って、破滅してい...この感想を読む
ドラマ「夜行観覧車」研究
絶対必要不可欠な脇役登場人物の中でもっとも濃いキャラだと言っても過言ではない小島さと子(夏木マリ)。もし引っ越してきた主人公真弓(鈴木京香)がすんなりひばりヶ丘の住人に受け入れられていたら、もしこの小島さと子との摩擦がなかったら、このドラマの薄気味悪さ、ドロドロ感は半減してしまうだろう。そんな強烈なキャラの裏付けとも言える、彼女が抱える家族関係は見る者を納得させるにふさわしい。愛人のもとに走る夫のことはおそらくもうあきらめており、残るは息子にすがるしかない、そんな寂しい状況を彼女は近隣奥様たちに隠しているつもりだ。奥様連中がそれを見て見ぬふりをするのは、表では従っているように見せて、裏では密かに彼女を見下したいからなのだろう。「母さんがいるとくつろげないんだ」という決定的な息子の拒絶をくらう場面は、それはそうだ、よく言った、と大きく頷いたが、あの「まーくん!」と息子を呼ぶ声と、誰もいな...この感想を読む
内に秘めた家庭事情
幸せそうな家庭にある見えない闇現代社会に限らず、家庭・夫婦には見えない闇が少なからずある。ご近所付き合い、女性の見栄、社会的地位、親には見えない子供の心情。様々な視点や観点から、現実を見ている。見ている側には客観的に双方の感情が見え隠れしているのに当事者達にはやはりわからないズレがあり、自身に置き換えて見るととても複雑な気持ちになる。現実を凝縮し、見ていてあるある的な共感を幅広く得られる作品である。そんな現実に立ち向かうか逃げるか、強く生きられるか。を、問われているような作品。環境の変化と対人関係夢のマイホーム。憧れの高級住宅街。全てが幸せへの一歩だと夢に描き。現実は格差・品質により様々な弊害が起こり。徐々に夢に描いていた生活とは遠のいて行く。絶対権力者からの嫌がらせにも母はうまくやろうと耐え。受験と言う名の戦いに娘は屈折し。大人げないプライドの戦いに家族が吸い込まれていく。一見幸せそ...この感想を読む