たかがカードゲームと侮ることなかれ
後の作品にまで影響を及ぼした画期的な存在。それがブレイヴ!
タイトルにもなっているブレイヴとは、ご存じ他のスピリットと合体する特殊な存在であるが、これを使いこなすカードバトラーは新たに「ブレイヴ使い」と呼ばれるほど一目置かれる存在になっている。
本編で登場したブレイヴがXレアにも引けを取らないほど希少な感じもするが、果たしてブレイヴ使いだから持っているのか、それとも他のカードバトラーもブレイヴ自体は持っているのか……よく分からないところである。(クラッキーなどがダンのデッキに近い構成のデッキを使ったこともあるので、入手自体は難しくないのかもしれない)
ブレイヴにはシンボルが無いものも少なからずおり、「スピリットと合体してナンボ」という側面が強いことから、合体時効果を持つスピリットがいないデッキでは採用するメリットが少ない為に、ブレイヴ使いではないカードバトラーたちはデッキにブレイヴを入れていないだけとも考えられるが、なんにせよ、ブレイヴという存在が特別な立ち位置にいたことは間違いない。
中盤からブレイヴキラーことダークヴルム・ノヴァが登場したり、本来は1つしか合体できないのにブレイヴ2つと合体できる能力を持つダブルブレイヴスピリットが登場したことからも、ブレイヴの優位性・特殊性が際立っていることは疑いようが無いだろう。
後の作品でも「ソードブレイヴ」や「裏十二宮ブレイヴ」が登場してストーリーの中核を担うなど、スタッフからしても特別な存在かもしれない。
十二宮Xレアが、人間と魔族の共通点を浮き彫りにする
「世界のリセット」を止める為の力として登場した特別なカード、十二宮Xレア。12枚全て揃えることで星をも砕くほどの力を発揮して見せるのだが、カードとなっているだけあってバトルでも活躍。
中でも合体していない為にスピリット状態でフィールドにいるブレイヴを変質させてしまう「スコル・スピア」は、「スピリットと合体してナンボ」という考えを粉砕する異端児だといえよう。
ブレイヴとあわせてキーワード的な要素となった十二宮Xレアは、その性質などの関係上、苛烈な奪い合いが始まることとなる。特に本編で2番目に登場した「キャンサード」は、物語の進行と共に何度も持ち主が変わっており、魔族も人間も同じ暗黒面を持っているということを暗に証明することになった。
(「強大な力を前にすると、思惑の違いなどから奪い合いを始める」というある種の暗黒面を人間も魔族も持っている。キャンサードの持ち主の移り変わりは、それを証明しているといえる)
一方で、心ある者たちの輝かしい面を印象付けるのは、「サジット・アポロ・ドラゴン」であろう。
これはブレイヴとの合体で真価を発揮するスピリットであるだけでなく、2つのブレイヴと一緒に合体することで手が付けられなくなる。それは即ち、種族が違う者同士でも互いに力を合わせることで素晴らしい力になるということの現れ。団結による強さの証明。
ユースとルガインがそうしたように、人間と魔族はその枠を越えて手を取り合うことができる。
人間も魔族も心と知性を持っているから、奪い合いをすることもあるし、分かち合うこともできる。
十二宮Xレアという強大な力が表舞台に出たことで、この共通点が浮き彫りになったのだ。言葉を発することもなければ心理的な行動も見せないカードたちから学ぶことになるとは、思うまい…。
バトルスピリッツという名の対話
終盤、イザーズを倒した後のダンと異界王の対面シーンでは興味深いことが述べられている。
バトルスピリッツというゲームが、対話の手段としての側面を持っていることだ。
確かに、特に中盤以降は互いに思惑などを明かしたりする場面が増えており、対等に意見をぶつけ合える場が「バトルスピリッツをプレイする」という形で設けられていると考えることもできる。
特に今作では、魔族と人間が互いに余計な先入観などを持っている関係で通常の会談などは非常に難しくなっており、自分の意見を貫く為の力の証明を行う手段という意味でも、バトルスピリッツは非常に有効なコミュニケーションツールとなっている。
バトルを行えば、自然と本音を吐露したり、邪魔が入ることなくダイレクトに相手に語りかけたりできるからだ。しかも、バトルの決着がつくまでは逃げることはできないのだから、対話の手段としては最適かつ確実なものだといえよう。
なにせ異界王もまた、直接バトルしたダンだけが彼の本音を知るに至っているのだから。
バトルスピリッツに限った話ではないが、カードゲームという共通の話題を持つことで友達が増えたりするという経験は、多くのカードゲームプレイヤーが持っているのではないだろうか。
カードゲームはもはや、現実でも優秀なコミュニケーションツールとなっているのかもしれない。
本編終盤でのダンや異界王のセリフからは、他にも様々なことを考えることができそうである。
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