わけわかんないがずっとインパクトが続く
車中の肉感的な美女がストーリーの雰囲気を煽る
理由はわからないのですが(笑)、車中で運転手に殺されかけていた後部座席の肉感的な美女が出てきて、物語の始まりの緊迫感を煽ります。さあ、何が始まるんだ?とドキドキさせるには十分です。凄惨な殺人か、血が飛び散ったりするのか、というような雰囲気。
すると、車が事故にあい、その女は記憶喪失に。たどり着いた家が、女優志願の女性の家。ナオミ・ワッツですね。ナオミの協力で二人は女性の記憶をさぐっていくとともに、愛し合うようになります。レズシーンもしっかり出てきます。
記憶喪失の女が持っていた鍵で青い奇妙な箱を開けようと(どこで手に入れたのか、私が見逃したのかとずっと気になっています。今でも)して、不思議な世界へ入っていきます。理由のわからない世界です。そのあとは過去と未来、現実と夢、いろんなものが錯綜する世界を描いていきます。
デビット・リンチの個性が満載
デビット・リンチのいつもの世界観です。怖さ、気味悪さ、行きそうで行かない、やりそうでやらない、中途半端感、沈黙の音、支離滅裂などなど、彼の持つ個性が満載です。
ずっと引き込まれました。なんといっても魅力的な二人の女優の功績がいつもリンチ監督に華を添えている(肉感的と華奢、美人とかわいい女、デカパイとペチャパイというコントラスト)し、映画をメジャーなものに引き上げている気がします。そうなるのかなあとは潜在的に思いながら見ていたら、やっぱりレズの関係になった二人の展開もよかったです。
辻褄とか、「つまり、どういうこと?」というような部分を無視して(無視しないとやってけません)、小道具や人物を微妙に交錯させ、不思議でミステリアスな世界を展開しますので、その不思議感にどっぷり浸かるというのがこの監督の作品の楽しみ方です。私はすでにそれを会得しています。
それから映像と音楽もいいですね。要はコントラストなんでしょうね。映像では明と暗。音楽でもテンポに注意しての選曲、どういう場面でどんな流し方をするか。特に劇場で歌われるロイ・オービソンの「クライング」はすごくよかった。なぜかこれを聞いて泣く、女優陣というのも意味深だった(意味がわからないわけですが(笑))とにかく女優陣がよく泣く。
相互のシーンで疑問点を補完
二時間二十分という時間があっという間に過ぎました。それにしてもまともな感覚でいうと「あれはいったい何だったのか?」という点が多いのですが、それを直接的な回答ではなく(回答などない)それを別の場面で別の意味(役割)で見せることで、相互に寄り立たせているというのが正直なところでしょう。
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