一発逆転で取り戻した人生
カジノには行った事ないけど楽しめる
この作品はカジノをテーマにしています。でも私はカジノには全く縁もなくて、ルールひとつ知りません。そんな初心者でも、カジノの面白さや怖さの分かる面白い作品だと思いました。
例えば、初めのジャックポットを当ててしまうシーンでは、大前剛はカジノルール初心者のため、日本のパチンコ式で席を立ってしまうことなどは「私でもするかも」と思うシーンだったり、知らない世界へ飛び込むのはちゃんとルールを知らないと怖い、と感じた瞬間でした。
そして、ジャックポットで大金を当てると殺されてしまう、それはフィクションだとしても、大金を当てると、その後の人生は「一発逆転」するんだろうなというのは、喜びも怖さも感じました。
ギャンブルで儲けてお仕舞いではない
帯に「クスブリ人生、一発逆転」とあり、読みたくて購入したのですが、「ギャンブル(カジノ)で当てて大金を手に出来る!」というラストで終わるのかと思ったら、当たりを出しても、関わった3人が権利を主張して「当てたのは誰か?大金を手にするのが誰か?」という展開になって、読み進めていくのが楽しかった1冊です。
また「誰が当たり」ということだけに焦点があたるのではなく、カジノで働く人やホテルを建てた人、賞金を出す人など、いろいろな人にスポットが当たり、ドタバタ劇が展開されていくので読みごたえがありました。
浅田次郎先生の随所にちりばめられた笑い
これも帯に書いてある通り、「浅田次郎のパワー全開!笑いと涙テンコ盛り」でした。
間違いなく笑いはたっぷりちりばめられていて、そして涙するところではちゃんと泣かせてくれる浅田次郎先生です。
特に、ペスカトーレファミリーには笑わされました。
歳とった殺し屋バンデット・ジョーがジョンに拳銃の使い方を教わるくだり等、随所に笑いがあってペスカトーレファミリーは私にとって笑いのツボでした。
昔は腕の良い殺し屋だろうが、ボスだろうが、歳を重ねたらおじいちゃんになるので、電話の声が聞こえなくて「ボリュームいっぱいにしてるが聞こえない」のあたりとか、ホントに細かい笑いがテンコ盛りで面白すぎでした。
ギャンブルで大当たりを出し、ラストには大金を手に出来ると分かっても放棄したことは立派!と感動しました。
ジョンの「魂を買い戻しに行く」というラストの一言は素敵だなぁと心に染みました。
それに、「東京には倅と嫁がいる・・・」も家族になったんだなぁ、と感じさせてくれる嬉しい一言でした。
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