娘と私の物語 - オシャレ魔女 ラブ and ベリー しあわせのまほうの感想

夢を見つけ出した娘

娘がこの作品を夢中になって見ていました。私はその真剣さに惹かれて隣にそっと座り込み一緒に見ていました。女の子なら誰でもオシャレをしてみたいという願望は持っていると思いますが、うちの娘は同じ同級生とはかけ離れているようにいつも感じていました。オシャレをする事が大好きだった娘は、まるでモデルが着るようなファッションを毎日していました。流行りなどを雑誌で見つけ出し自分も可愛いと共感できたファッションに出会うと彼女は不思議なくらい真剣さを周囲に振りまいていました。そんな時は話しかけても全く動じずにテレビ画面をじっと見つめていました。当然、私が隣に来た事には気付いているのにまるで私の存在は消されてしまったような気持ちになりました。そんな時はいつも寂しい気持ちになります。娘がこのまま成長して私の存在を嫌がり始めたり、反抗期になったら口さえ聞かなくなるのだろうかと、いつもそんな事ばかり考えていたのです。

娘は１冊のノートを大切に持っていました。そこにはオシャレになるために必要な事が沢山書かれています。読んだ事はありませんが娘は楽しそうに毎日学校から帰ってきて宿題を終わらせるとこのノートに向かって文字を書き続けるのでした。時々イラスト付きで書いてあるのを見かけたりすると、彼女の将来の夢はもしかしてデザイナー？モデル？雑誌編集者？などと私の頭の中は娘の将来の姿でいっぱいになるのでした。そんな時、この作品のゲーム機がデパートなどに置かれているのを知り、私は娘を連れて行こうと思いました。しかし彼女はゲームはしたくないというのです。やはりこの子は、ファッションに興味があってこの作品の主人公の女の子が好きだとかそういう考えではないのだと、私はその時に確信しました

娘の夢を奪った私

これ程にまで夢中になれることを見つけ出した彼女は、学校に着ていくファッションにも変化が現れました。彼女が言うには学校はスニーカーでないといけないからスニーカーに合うファッションをしたいと言ってきたのです。驚きました。自分が小学生の頃はこんなこと一度も考えていなかったと思います。休み時間にブランコをしよう！とかその程度の考えでした。まして、娘はまだ小学二年生です。高学年ならともかく、なぜファッションに興味を持ち始めたのでしょうか。それは未だに謎です。女の子が憧れるプリキュアには何の興味も示さずに小学生用のファッション雑誌を見たり私の着ている服をチェックしたり、そんな娘でした。そんな彼女を変えてしまう出来事が起きました。体操着で通学する小学校への転校でした。彼女は本当に嫌がっていました。あのノートも捨てて引っ越し先の家ではまるで別人の様になりました。どうしようも出来ない私は娘への罪悪感でいっぱいでした。娘は私のファッションチェックもしてくれなくなりました。

初めての夢の終わり

そんな時、毎月買っていたファッション雑誌を見ながらモデル募集の記事を見つけた私は娘にそれを伝えました。これに応募して少しでも彼女の夢をまた思い出して欲しかったのです。しかし彼女は興味を示しませんでした。私は娘の夢を奪ってしまったんだと涙を流しました。でも、本当に辛いのは娘のはずです。母である以上、大切な彼女を見守って行こうと決めました。また真剣になれるものが見付かると信じて毎日を過ごしていました。

成長していく娘の未来

人は誰でも夢を描きます。それは頭の中で思い描いてみたり実際に努力をして夢に近づいて行こうとする力のある限り、その人の夢は続きます。娘は今小学六年生になりました。あの時の事はお互い口にはしません。でも最近また私のファッションチェックをしてくれます。子供は親が思う以上に真っ直ぐと成長しています。私はこの作品を思い出す度に胸が苦しくなります。未だに娘の夢を奪ってしまったと自分を責めたりもします。でも彼女は彼女なりに時間をかけて理解して最近またファッション雑誌を買うようになりました。私の嬉しい気持ちに彼女は気付いていると思いますが、お互い何も言いません。雑誌を見ながら今度の休みにはこの服を着たいねと友人のように話をしてくる娘が私は大好きです。高学年になって少し大人になったのかなと私は娘の成長を心の中で喜んでいます。ファッションは、私達親子にとって元気である限り永遠の話題であり、そんな関係が宝物です。たまには喧嘩もします。でも次の日には２人ともいつもの仲良し親子に戻り、お互いのファッションについて意見を出し合います。彼女がこの先どんな経験をしてどんな夢に出会うのかはまだ分かりませんが私は一生彼女を見守り続けます。母の愛は深くと広くて温かいのです。娘を見守りながら毎日を送っています。きっと娘が大人になって娘は何歳になっても娘なんだと、私は思います。

あなたは、どんな大人になるのかな？ママは楽しみです。