貧困と犯罪 - キャプテン・フィリップスの感想

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貧困と犯罪

4.34.3
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.5
音楽
4.0
演出
4.0

目次

世界は彼らを海賊と呼ぶ

知識としてはソマリアの海賊のことは知っていましたが、こうやって映画で視覚的にみるとぐっとくるものがありますね。いわゆる大国と呼ばれる国々は彼らのことを海賊と呼ぶのですが、彼ら自身自分たちのことを海賊などと言わず漁師というしこれが仕事だともいいます。漁師なのになぜ魚を捕らない……それは彼らの分の魚を大きな船が獲っていってしまうから。彼ら漁師は船を襲うしか生活ができないのです。武装こそはしていますが彼らも命懸け。もちろんそれを擁護するわけではありません!良いことではないですしね。ナジェ以外は船長に危害を加えるどころか、安心させるような言動までとっていましたから恐怖ではあったとは思いますが最後ムセ以外が殺された時のリチャードの心境は複雑なものだったと思います。

負の連鎖

彼らは漁師ではあるが魚が捕れなく貧乏。貧困ゆえにこういう強奪行為を繰り返して行います。でも結局襲ってもそれをボスに礼金などといってとられてしまうため、暮らしは良くなることはありません。でもそういうところで育ってしたまった子供はそれがあたりまえになってしまうんですよね。映画の中でアメリカに行きたいと、それで車を買いたいって夢を語る子がとても純粋にみえて産まれた環境さえ違えばなって悲しく思いました。ソマリアだけではなくこれはいろんな貧困に悩んでいらっしゃる人たちに言えるんですが、彼らはそこから抜け出せる術を持っていないだけで根は良い人もたくさんいるんだと思うんですよ。そういうのが映画の物語のちょっとした台詞から伝わってきて切なかったです。

海の恐怖

海が怖いのはこういうときに逃げ場がないこと!飛行機もそうなんですが、簡単に逃げられない状況のときに襲ってくる恐怖はとんでもないものだと思っています。この映画は音の使い方が最小限に抑えられていて、静寂で自然の音だけが聞こえるという環境が怖さをうまく引き出していたと思います。そして何よりも海賊達を演じられた俳優さんたちのリアリティーある演技!一瞬映画だということを忘れてしまうほどの迫力でものすごく良かった。少し前に某お寿司屋さんがソマリアの海賊と言われている人たちとビジネスをはじめ、彼らが漁師として仕事ができるようになったお話が話題になりました。少しでもこういう海の恐怖をなくすためにも、とても素晴らしいビジネスだと思います。世界の貧困が少しでも減ればこのような犯罪は少なくなることを再認識させられた映画でした。

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