比較の連続-誰が悪者か? - 眠れる森の美女の感想

理解が深まる映画レビューサイト

映画レビュー数 5,784件

比較の連続-誰が悪者か?

4.04.0
映像
4.0
脚本
4.0
キャスト
4.0
音楽
3.5
演出
4.0

目次

オーロラの父とマレフィセントの関係

オーロラ姫の整った顔の美しさや金色に輝く長い髪も私は全てが憧れです。可愛い笑顔や、フィリップ王子と出会い恋に落ち一瞬にして初恋が始まり、やはり姫と王子が登場する作品には、沢山の夢が詰め込まれていると思います。日頃私のような一般人は王子と出会うことなどありませんし、むしろ出会い恋に落ちた相手を”私の王子様”と呼ぶくらいです。本物の王子ではありませんが、皆それぞれが恋をします。どんな恋なのかは何億通りもあることでしょう。

ただ、この作品の場合オーロラの身に危険が迫っていることを本人はこれっぽっちも知りません。ただ毎日を精一杯生きてきたオーロラの姿はまるで妖精のようにも見えてきました。キラキラ輝く表情はまるで怖いものなど何もないと言っているようでした。小さな小屋で三人のおばさんに育てられます。両親は亡くなったと言われて三人のおばさんと楽しく暮らしているオーロラは、何か普通の人にはない輝くものを持っているようにも見えました。いつもオーロラの側にはお城にいる両親の深い愛情が感じられました。そんな風に感じ取りながらこの作品を見ていました。しかし、この作品の後に完成している「マレフィセント」を見てしまうと、衝撃的なことが次々暴かれ興味が湧き出ていました。妖精の中でも強い力を持つマレフィセントがなぜオーロラに酷い魔法をかけたのかという事など私は考えたりしませんでした。それなりの理由があるからこそマレフィセントは残酷な魔法をかけたのです。きっと、「マレフィセント」を見ていない人にとっては彼女が犯した罪だけを責め続けるのでしょう。オーロラの父親がマレフィセントにどれだけ残酷な事をしたかなんて一切考えずに彼はただ悲劇を受けた1人に過ぎないという見方をするのです。

私はマレフィセントはこの作品の悪者だと最初から決めつけていました。孤独でいて暗い印象の中に目立つ赤い唇が、印象深くて忘れられません。その唇が色気があるとかではなく非常に恐ろしい血のように見えたのです。しかしそれは誤解でした。そうさせた大きな理由があったから彼女はあの様な姿に変わっていき生き生きとしていた表情も笑顔も少しずつ失っていったのです。

2作品に秘められた王様の本当の姿

オーロラを小屋で育てる事になった三人の妖精は、どんな気持ちでいたのでしょう。悲しい運命を持つまだ幼いオーロラを必死に育てていました。オーロラが16歳になる日まで自分の娘の様に育て毎日を過ごしていましたが、「マレフィセント」に登場してきた三人の妖精は全く役に立たず喧嘩ばかりです。またオーロラの父親が家来に対して本当は暴力的だったという点も「マレフィセント」を見たから知った事です。その様な違いがこの2作品にはあります。表現の仕方が両作品では違うのです。オーロラ中心に描かれてマレフィセントに全ての悪を押し付けている様なこの作品は嘘ばかりが描かれ、無理矢理マレフィセントを悪者に仕向けていると感じました。オーロラの父親こそが本当の悪の持ち主だと私は思うのです。自分の犯した罪を隠すためにマレフィセントを殺そうとしているのです。そんな事など知らずに騙されていました。不幸な親だと心から感じて同情していました。娘のために必死になりマレフィセントが放った魔法を何とかして解かなければという気持ちは、全て自分自身のためだったのです。そんな王様が許せませんでした。

どちらを好むかは見た人が決める事です。私はどちらの作品も大好きですが、マレフィセントの深い愛情には驚き感動しました。強い女性であると心の底から感激してしまいました。また逆に王様の愚かさに怒りさえ湧いてきました。彼がマレフィセントにした事は消して許されることはなく、命を落とした王様を見て正直に全て話して謝ればマレフィセントもあそこまで怒り狂わなかっただろうにと感じました。

大切な人を失う前に出来ること

私が幼い頃から知っていたストーリーは、かわいそうなオーロラ姫が呪いによって永遠の眠りについてしまうが最後はハッピーエンドで終わる幸せな話です。この作品そのものが私の心にはいつも存在していました。悲しい運命と戦うオーロラの両親とその家来たちは16年間その事だけを考えて生きてきたのです。それがどんなに辛いことか私が想像してもそれ以上の苦しみなのだと思います。例えば自分の娘が病気で眠りから覚めないという状況になってしまったら、私も娘のことばかり考えて頭がどうかしてしまうかもしれません。どうしたら目を覚ますのかを必死に考えてただ見守る事しかできない自分の無力さに潰れてしまいそうです。大切なひとを想う気持ちが強調されていて非常に分かりやすい作品なので私はこの作品も大好きです。幸せな気持ちにしてくれる作品であり、失いそうな大事な人はいないか、大切な人にきちんと気持ちを伝えられているのかを考えさせられたようにも感じました。

あなたも感想を書いてみませんか?
レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。
会員登録して感想を書く(無料)

他のレビュアーの感想・評価

感想をもっと見る(6件)

関連するタグ

眠れる森の美女を観た人はこんな映画も観ています

眠れる森の美女が好きな人におすすめの映画

ページの先頭へ