笑顔で毒を吐く主人公が面白い
主人公の魅力
いつもニコニコしている主人公つくねちゃんが、最大の魅力なのだと思います。
つくねちゃんには悪意が感じられることがありません。それは、いつもニコニコと笑顔でいることが、そのように感じさせるのです。人間の表情を「喜怒哀楽」という四字熟語で表現されますが、つくねちゃんが「怒」「哀」の表情を見せることがありません。とにかく、笑顔の印象が徹底されているのが、つくねちゃんというキャラクターなのだと思います。
そして、悪意のない笑顔から放たれる痛恨の言葉が笑えてしまいます。
実は、笑顔の印象の強いつくねちゃんですが、腹の中は真っ黒なのかもしれません。
それだけ酷い発言をしていますし、毒を吐くキャラクターだといえます。俳優の竹中直人さんの持ち芸で、笑顔で怒るものがあります。それと同じような印象をもつのが、つくねちゃんです。つくねちゃん、竹中直人さんの面白いところは、表情は笑顔でありながら、発言そのものは正反対のものであり、そのギャップが魅力的だということでしょう。
つくねちゃんの笑顔から垣間見える二面性も、つくねちゃんの魅力を増すことになっているように思います。
また、登場する魔法使いたちの中で、最も年齢設定が低く幼い印象なのも、つくねちゃんです。
ニコニコ笑顔から放たれる毒の印象で薄れがちですが、つくねちゃんは天才的な魔法使いであることも強調されているのだと思います。つくねちゃんは明らかに年齢が低いのに、アニメ本編では最強の存在です。
年齢が低い事実は、つくねちゃんの魔法使いとしての素質を強調させ、凄い存在であることを表しているのではないでしょうか。
色んなアニメ作品ネタが!?
色々なアニメネタが満載で、それで笑わせようとしている意図が感じられます。
「ドラえもん」のタイムスリップネタが、つくねちゃんでも使われていた場面は面白かったです。何事もなかったかのように、さり気なく他アニメネタをブッ込んでくるところも「魔女っ娘つくねちゃん」というアニメ作品の面白さだと考えられます。
ショートアニメという特性の中で、如何に観る側を笑わせようとする工夫が感じられます。
また、ショートアニメの作品にみられる傾向として、展開が早いことが挙げられます。その傾向に漏れず、「魔女っ娘つくねちゃん」にも同じことがいえます。
そして、展開が早い中で、急に他アニメネタを織り交ぜてくるので、短い時間を集中して画面に食い入るように観てしまいます。アニメ本編の中にいつの間にか没頭している自分が居るのです。こういった作品づくりは、制作スタッフの上手さを感じることができるところではないでしょうか。
他の魔女っ娘たちの存在
つくねちゃんが圧倒的な強さをみせる反面、その強さを強調させる存在になっています。
つくねちゃんが圧倒的な強さをみせる事実は、他の登場人物が「負け犬」キャラクターであることを決定付けます。徹底された無様な「負け犬」キャラクターには好感をもつことができます。こういったところは、有名アニメ作品であるタイムボカンシリーズにも同じことがいえるのではないでしょうか。
タイムボカンシリーズにおいて、魅力的な登場人物は主人公たちではありません。
実は、悪役トリオに焦点が当っており、アニメ本編においても強調された存在になっているのです。
人気投票によって、主人公たちの存在を追い抜き、悪役トリオの高い人気が証明されています。
そういった手法が、「魔女っ娘つくねちゃん」にも用いられており、主人公以外の登場人物に焦点が当っていることが印象的です。
そういった描き方から、他の登場人物が魅力的なものに映るのだと考えられます。また、似たような登場人物でありながら、明確な色分けがされていることで、違う個性が描かれていることも印象的です。
つくねちゃんと同じ魔法使いであり、ライバル的存在の女性キャラクターが二人居ます。
お嬢様であるシオレッタ・フラワーズと、悪役で犯罪行為に走るナブールの存在は、本来は印象が重なりがちだと思います。つくねちゃんのライバルという立ち位置は、印象を被らせてしまうのだと思います。
しかし、個性を区分けするために、キャラクターデザインの外見から明確に分けられていることが伺えます。赤色を基調としたつくねちゃん、黄色を基調としたシオレッタ、青色を基調としたナブールと、外見から文字通りに「色分け」されているのです。
これは、シオレッタとナブールが混同されないように意図的にされた工夫だと思います。
また、前述のように、お嬢様路線を突っ走るシオレッタに、悪役路線を突っ走るナブールでは、性格面でも明らかに違うものだと受け取れます。
ただ、この二人の共通点は、基本的にはつくねちゃんにコテンパンにされる展開しかありません。
ただ、あまりのコテンパンぶりに、観ていると同情に近い感情移入をしてしまいます。可哀相に思えてしまうということは、シオレッタにしても、ナブールにしても、自分自身が気に入っていることを客観的に捉える事実ではないでしょうか。
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