切なさの中にある暖かさに触れてください
自分の考え方を変えてくれた作品
私がこの作品に出会ったのは、この作品の作者である種村有菜が好きだったという単純な理由でした。この作品が連載されていたのは、「りぼん」という雑誌であり、なんとなく見るという感じで最初は見ていました。しかしいつの間にか私にとって目が離せないお気に入りの作品になりました。私はこの作品に恋をした理由はおとぎ話などの独特の解釈があるところです。人魚姫をテーマに歌をつくるというお話で、主人公である満月が人魚姫になりきって歌を歌うというストーリーでした。王子様のこと愛しているが、自分が泡になってしまう、その葛藤する人魚姫の気持ちを考えたコマがあり、とても切なくなり、昔見ていた童話をまた見直してみたいと感じました。そしてああ、そんな感情が確かにあったのかもしれないと童話を違った見方でみることができました。また細かな内容だけではなくこの作品の中に描かれているネコやウサギ、イヌと言ったようなキャラクターが愛らしいのもこの作品のポイントです。一度見ると愛さずにはいられないキャラクターは度々作中に登場し、シリアスな部分でほっとする息抜きとなってくれています。
登場人物の様ざまな想いが交差する
この作品は様ざまな登場人物が登場します。漫画を読んでいてこの登場人物が好きなのに脇役だな、全然登場してくれないなという気持ちがある時があります。しかしこの作品は登場人物全ての気持ちを大切にしています。この子には昔こんなことがあって、だから今こういう気持ちになっているという切なさ、うれしさ、辛さを全て知っているから全てのキャラクターを愛してしまいます。そして登場人物の細々したストーリーが最後には1つの線になって繋がります。たとえば、満月の魂を回収にきた死神であるタクトは人間の時、満月と会っていたことがある。同じく死神であるメロコは人間の時に満月の祖母である文月の友人であった。様ざまな思いが交差しているのである。そのため全てのキャラクターに感情移入しやすい作品である。
切なさの表現がとても上手い作品
感情表現がとてもステキな作品です。私の気持ちにはだれも気付いちゃいけない、触れちゃダメよと満月は漫画で心の声として表現します。満月の好きな人である英知は実は飛行機事故で亡くなっていた、それでも彼を思い続ける彼女だからこそ、周りには知られたくない、自分自身も彼がいないという事実を知りたくないという気持ちが私にはとても切なく感じ、印象に残っています。彼がいないことは彼女にとって耐えられないものだったのだなと感じました。私はまたこんな恋する作品に巡り会えるのかなと感じるほど大好きな作品です。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)