ミニチュアに迷い込んだような物語
造りこまれた世界観
この作品は登場人物の洋服から背景や風景までもの凄く描写が緻密です。描き込む余白が全くないほどにみっちりと描かれています。
この緻密な描写によって、異世界の小人の少女たちのお話がすごく身近な物に感じられます。世界のどこかには本当にこんな素敵な国が存在していて、その国の片隅で本当にこの小さな2人が楽しく生活しているような気がしてきます。ミコチが作る美味しそうなお菓子や料理の匂いが漂っているような錯覚を起こします。
2人の住居も家具から棚に置かれた食材やビンの一本一本まで緻密に描かれていて、ハクメイとミコチからお家に招かれたような気分です。
可愛い小人の日常
物語は2人の小人・ハクメイとミコチの日常生活が描かれています。2人は時に喧嘩をしたり、笑い合ったりと協力しながら毎日暮らしています。2人の家も可愛いし、2人の衣装も可愛いし、街の風景も可愛いとどこを切り取っても可愛い尽くしです。
しかし、可愛いだけではありません。
2人はそれぞれの特技を生かし、働きながら生活しています。その様子は真剣で可愛いなんて思ってしまうのが申し訳なくなる程です。
2人だけでなくこの作品に登場する住民たちはそれぞれ色々な職について働いています。皆、楽しそうに生き生きと働いているのが印象的です。
日々生活していくには人は働かねばなりません。皆当たり前に働いていますが、毎日楽しく働いているという人は中々いません。しかし、この世界の人たちは皆笑顔で働いています。
決して楽な仕事をしている人ばかりじゃなくて、ハクメイのように体力的にキツい職についている人もいるのに不満を抱かず笑顔で仕事に励んでいる。見習わないといけないと思いました。
さまざまな種族の共存
作中にはハクメイとミコチのような小人だけでなく、様々な種族のキャラクターが登場します。
イタチの大工イワシさん・トビネズミのミミ・アナグマのスズミなど多種多様です。
この世界では種族なんて関係なく、身体が大きい者から小さい者まで何の隔たりもなく共存しています。蜂蜜館での出来事のような小さな事件はあるものの、種族間の差別なども全くなく仲違いすることなく平和に暮らしています。
こういう世界だからこそ、ストレスも少なくて皆どんな仕事でも笑顔でこなしているのかなーという気もします。
私達の世界も人種や宗教・肌の色などに惑わされることのなく、このハクメイとミコチの世界のようになれば無意味な争いもなくなり世界中の人たちが幸せになるのにと願わずにいられません。
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