ネガティブ卑屈キャラの主人公が新鮮 - きょうは会社休みます。の感想

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きょうは会社休みます。

4.334.33
映像
4.33
脚本
4.33
キャスト
4.17
音楽
4.33
演出
4.33
感想数
3
観た人
10

ネガティブ卑屈キャラの主人公が新鮮

3.03.0
映像
3.0
脚本
3.0
キャスト
2.5
音楽
3.0
演出
3.0

目次

綾瀬はるかの「恋に不器用な女性」の演じ分け

主演の綾瀬はるかは、「ホタルノヒカリ」などでも
そういうキャラクターの主人公を演じているが、
同じ「恋に不器用な女性」でも、
ホタルノヒカリの「雨宮蛍」とは全然タイプの違う女性で、
その演じ分けがとても印象的だった。


この作品の主人公「青石 花笑(はなえ)」も「雨宮蛍」も、
恋に不器用な女性像としてよくある「妄想系の頭でっかち」というのも、
OLで仕事は真面目で有能、というのも同じだけど、
花笑の特徴は、ジメッとした暗さとマイナス思考で少々卑屈。

おおざっぱで楽天的なラテン系なホタルとは全然違うキャラクターで、
そのあたりの雰囲気や個性の違いがとてもよく表現されていて、
さすが役者だなあ、と思った。

マイナス思考で卑屈なタイプの「鼻笑い」とか
下から見上げるようないじけた声のトーンとか
ちょっとしたしぐさや動作なんだけど、これがすごく効いていたように思う。

卑屈キャラの主人公が新鮮

主人公・花笑は、
頭でっかちで理屈と批判ばかりこねくりまわすくせに
傷つきたくないからなかなか自分から行動は起こさずあきらめて
しまいには

「あなたにわかるわけないでしょ」
「どうせわたしなんか」

とすねていじける・・・。

結構リアルな卑屈キャラ。


正直私は個人的にこういうタイプが少々ニガテで・・・
見てて結構イラつく場面もあったけど
こういう卑屈タイプが主人公のドラマって、
わりとめずらしいような気がした。

これもコミック原作ならではのような気がする。


当時リアルタイムで見てたけれど、
これ、綾瀬はるか主演じゃなかったら、見なかったかもしれない。
ストーリー自体も、結構淡々としていて平凡で、
とりたててドラマ性があるかというとそうでもない。


視聴率はなかなか良かったようだけど、
綾瀬はるかと、当時人気急上昇の「福士蒼汰」の恋愛モノ、というのが
そのゆえんかなあ・・・などと個人的には思ったりしたけど、
恋に奥手なタイプの人たちからしたら花笑のようなタイプや心情には
共感するところ多いのかな。


あとは、細かいことながら
恋愛にまつわるいろんな葛藤が少しずつバランス良く盛り込まれていたので
その辺は多くの視聴者の共感は得やすかったかもしれない。


ただ、私の個人的趣味や趣向が共感しずらいということも
多分にあるかもしれないが、
なんだろう、今一つキャラクターにも作品にも
魅力を感じ切れなかった。

自分とは違うタイプのキャラクターや世界観のものでも
たいてい十分に面白く観れるのだけど
なぜかこの作品は、印象がぼんやりしてた。

そこが逆に新鮮で、結局最終話まで観てしまったのだけど。

年下の恋人ゆえの葛藤

花笑の恋人、「田之倉 悠斗」は大学生。
花笑は33歳。いわゆる「年の差カップル」だ。


恋愛経験ゼロの花笑にとって初めての彼氏が
10歳以上も年下の大学生、というのは確かに、

「おおっと、いきなりそこ!?」とは思うよね。

「あんたにしちゃ相当難易度高いね」
と親友に言われるのも無理はない。


男女の性質の違いとかがからむと、
年の差や職業といった形式など、両者気にしないタイプならいいけど、
どちらかがそういうことを重んじるタイプだと
通常の交際以上に、やっぱり支障は出てくるものだ。


33歳ともなれば結婚を意識する年。
かたや大学生、これから社会へ出て人生設計が始まるところ。

人生の歩みのペースが大きく違うと
物理的に一緒にいるのは難しい。

その距離をどれだけ縮められるか、尊重し合えるかで
関係が続くのか終わるのかが決まると思うんだけど・・・


花笑は、断腸の思いで、一旦田野倉と別れることを選択した。
彼の将来の芽を摘んでしまうわけにはいかない、と。
彼を愛してるがゆえに。

その選択は、花笑の誠実な性格に加えて、
年の甲もあったのかもしれない。


若さゆえに、「愛している」という想いだけで突っ走りやすい、
そんな田野倉を、大人の情愛で突き放す。

そしてそんな花笑の切ない思いを陰ながらフォローする脇役たち。


人に恵まれているね。花笑。

家族にも職場の仲間たちにも友人にも、
十分すぎるくらい愛されているのに
そういう周囲の恩恵にほとんど気づかず
狭い視野で他人や自分や世間を批判ばかりしてる花笑には
やっぱりどうしてもなかなか共感はできなかったんだけど(笑)


それでも、いろいろ葛藤する自分の気持ちを見つめ、
他人にどう言われようと自分の気持ちを大切にし、
最後は、留学から帰国した田野倉ともう一度やり直すことに。

このラストは良かった。
同じ人同士でも、何度でも関係性は結び直せる。
そういう希望と可能性を示してくれたと思う。

最後まで不鮮明だった相手役「田野倉」のキャラクター

この作品がぼんやりとした印象に感じてしまった原因のひとつが
相手役の「田野倉」のキャラクターが
最後まで今一つ不鮮明で実感がなかったことかもしれない。

これは、キャラ設定によるものなのか
演者「福士蒼汰」の演技によるものなのか。


「田野倉」の個性が、いまひとつリアルに体感として
伝わってこないのだ。


イケメンでいくらでもモテそうで
恋愛に疎いわけでもない大学生が
ネガティブで卑屈な花笑に真剣に惹かれる、
その根拠が、イマイチ表現不足だったというか、
演じ切れてなかった、というか。

回を重ねればリアルになっていくのかと思ったが
そういうわけでもなく。

本来のキャラクターとしては多分、
すごく情熱的に花笑のことを愛してしまい、
自分よりも相手のことを優先して無理をしてしまう、
そういう一途な青年なんだろうと思うんだけど、
その熱さや一途さが、まったく感じられず。


そう、喜怒哀楽の感情が、福士クンの端正な顔立ちゆえなのか、
いまひとつ伝わってこない、という印象。
能面のような、つるっ とした表情が張り付いているだけ、
というような・・・。
ちょっと辛口すぎるかな。

まだ俳優歴も浅かったようなのでそのせいもあったのかも。


私はこのドラマ以外、福士クンの出演作品を見たことがないので
別の作品を見たら印象も違うかもしれない。


いずれにしても、やっぱりドラマは
キャラクターの個性がどれだけ生き生きとしているか、
ということで印象も面白みも変わってくるものだと
改めて実感させられた作品だった。

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他のレビュアーの感想・評価

現実では絶対あり得ない

配役がばっちりなんていうかキャスティングがうまかったと思います。綾瀬はるかさんがやる花笑役はピッタリな気がしました。何ていうか幸薄い感じがよく出ていたというか、恋愛に対して強いあこがれを持っているのにいまいち行動に移せない臆病なところとかがすごくよく伝わって来て、私も似たところがあるので共感できた部分も多かったです。一度も誰とも付き合わないまま33歳までってなかなかすごいと思います。でもそれだけ運命だと思える人に出会わなかったってことですね。でも田之倉と出会ったことによって大きく変わったと思います。そして田之倉役の福士蒼汰さんもほんとよかった。温和な優しい田之倉の雰囲気がそのまま出ていたので、まさに漫画の中からそのまま出てきたかのような錯覚を起こすくらいのキャスティングでしたね。途中から出てくる朝尾役の玉木さんも大人な感じがすごくよく合っていたと思います。というか配役がどれもばっちりだっ...この感想を読む

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