漫画の影響力ってすごいな!
またタイトルが4文字か・・・
ピンポン。そう、察しのいい皆様ならばどんなスポーツなのか分かりますよね。ええ、卓球の事です。この漫画のタイトルは「ピンポン」。だいたいひらがな・カタカナ4文字系のタイトルの漫画ってのは萌えに媚びるところがあるけどさ。この漫画は、そんな軟弱なジャンルには絶対に含まれないぜ。
誰でもやったことのあるスポーツを漫画にするってさぁ
卓球というスポーツは、ちゃんと義務教育を受けてきた(はずの)皆様は例外なく学校の授業で経験しているよね。そう、大きめのしゃもじを持ってテーブルの上でプラスチックの球を押し付けあうスポーツだ。どういうわけか、この競技の部活動をやっている人は地味な奴が多い印象を持つが、この漫画の登場人物も変人ばかりだ。いい意味で。
かっこいいんだよ。すごく。読んでいて爽快感すら覚える。おかしいな、部活動の見学の時に見た先輩たちの卓球はすごく地味だったのに。こんな白熱した試合を展開するスポーツだったのかと、カルチャーショックのような錯覚すらしたね。どうしよう、俺もう26歳だけれど卓球部に入りたくなっちゃったよ。
漫画の新たな表現を開拓しているんじゃないのか、この作者・・・
松本大洋という作者。作風からは万人ウケするような絵を描く人じゃないように感じるが、これが読んでみるとすごく引き付けられる。残念ながら僕は、この作者の他の作品は読んでいないので比較は出来ないが、「ピンポン」からはすごく自由度の高い作風を感じられた。一番読んでいて思ったのは、背景に定規を用いないことが斬新だった。だから読み手には少し不安定さというか、疲労感がある気がする。吹き出しの使い方も、新しい。いや、新しいって言ってももう20年前の作品なんだなこれ。まだスマホどころかケータイすらほとんど普及していない時代なのに、古臭さを感じさせないのも作者の力量が伝わってくる。
キャラクターの描写も必見!!
近頃の漫画にはやたらと「デッサンがなっていない」という評価を見受けられるが、この漫画はデッサンなんて気にしていたら楽しめないぜ。明らかに作画は(意図的だとは思うが)変なのに、完璧にキャラの表情をつかんでいるんだ。作画がおかしい。でもそれがかっこいい。こんな漫画他に存在するか?少なくとも今まで見てきた漫画で、そんな「作画が変だけれどかっこいい」なんて矛盾したような評価をされた作品を僕は知らない。本気で勝ちたいと思う表情、全力で相手と戦う表情、怪我を乗り越えて頑張る表情・・・。そう、これが卓球なんだ。
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