いろいろな要素が新しいタイプの作品 - 魔法少女リリカルなのはの感想

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魔法少女リリカルなのは

5.005.00
映像
4.75
ストーリー
5.00
キャラクター
5.00
声優
5.00
音楽
5.00
感想数
2
観た人
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いろいろな要素が新しいタイプの作品

5.05.0
映像
4.5
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

もともとエロゲーの脇役キャラが主人公に

以前からのなのはファンであれば常識であろうが、最近本作のシリーズを見始めた人に、主人公の高町なのははもともと「とらいあんぐるハート3」というエロゲー(正確には18禁恋愛シミュレーションゲーム)の脇役だったと言うと驚くかもしれない。スピンオフ自体それほど盛んに行われていたわけではない時代にエロゲーのそれも脇役キャラのスピンオフというのは非常に珍しいと言えよう。

スピンオフが完全独立

当時のスピンオフの代表格というと「魔法少女プリティサミー」であろうか。「天地無用!」の脇役から主人公になり、ゲーム、アニメなど様々な展開を見せたシリーズとして有名である。シリーズは長い間続き、「天地無用!」からは完全に独立した世界を作り上げるに至った。また、「砂沙美☆魔法少女クラブ」としてさらなるスピンオフにも発展した。本作「なのは」シリーズも同様の展開を見せている。アニメも4期にわたり放送されているし、さらなるスピンオフとしてゲームも展開されている。「プリティサミー」との違いはいまだに新しい展開を見ているということであろう。完全新作(TVアニメ版の2期と3期の間のストーリー)の劇場版やテレビアニメも計画されている(2016年夏現在)。スピンオフが完全独立した上に別のスピンオフ作品も呼び起こし、元のスピンオフ作品としてもまだまだ展開を見せ続ける息の長いシリーズになっている。

ほのぼの魔法少女ものと思わせておいて

「姫ちゃんのリボン」や「おジャ魔女どれみ」、「カードキャプターさくら」のように、当時はかわいいマスコットとともに魔法を使って日常を楽しく過ごしていく、あるいは魔法を使いながら目的を果たしていくという作品が多くみられたことから、本作も1話でフェレット(=ユーノ)が登場した時には、この作品もほのぼのものかな、と思った視聴者は多かったと推測する。しかしそれは間もなく大きく裏切られることになる。ストーリーが進むにつれてシリアス度が増してくる。バトルもだんだんと激しくなってくる。ジュエルシード獲得の状況が刻々と変わっていき、手に汗握る展開になっていく。時空管理局の立場や、フェイト側の立場、それぞれが分かるにつれて、込み入った話になってくる。そして極め付けはフェイトの正体、クローンである。フェイトの生みの親、ブレシアの悲しい過去の出来事が発端になっていることが分かると日常ものという雰囲気は全くなくなる。この「なのは」シリーズ以降、最初は日常系、ほのぼの系と見せかけておいて、だんだんと裏に隠されている真実を見せていくというパターンがよく見受けられるようになってくる。

バトルものの新たな形

本作のようなバトルものは、実際の能力がかなり劣っていても、感情の高ぶりによってそれを補い、強敵に勝つ、というパターンが多い。しかし、本作には当てはまらない。明らかな戦力差があれば、たとえ感情を高ぶらせたとしてもそれで逆転はできず、弱い方が負けるのである。真に強い者が勝つという、ある意味分かりやすい展開になっている。だから、一度負けた方は相手に勝つために強くなろうと願いながら一生懸命訓練して、実力をつけていくのである。それが実って相手を凌駕する力をつけた時、勝つことができるのである。本作ではバトルが相手との会話代わり、という位置づけになっている。自分の主張を聞いてもらうべくバトルに勝つということを目的にしている。ま、勝った場合でも、すでに自分の思いが相手に伝わっており、話す必要がなくなっている。バトルを通してそれが伝わっている、ということである。だから会話代わり、ということになるだろう。バトルの末、そうやって会話をした相手とは例外なくその後友情をはぐくんで親友になっている。このあたりはバトルものの王道ともいえる。そしてもう一つ本作に特徴的なのが、魔法を繰り出す媒体である魔法の杖がパートナーになっている、意思まで持っていて主人をサポートしているということである。これは次作のことではあるが、魔法の杖今のままの状態では主人を守れないと判断する自らパワーアップしてくれるように頼むことまでするのである。こういうパターンの作品は他にあまり例がなく、斬新であると言えよう。

魔法少女であることをきちんと告白する

魔法少女だとバレないように内緒にして活躍する、という作品も多い中、本作はバトルが激しくなってきて隠しきれなくなってきたこともあり、家族に、自分が魔法少女であること、どういうことをしようとしているのか、話してなどということをきちんと話している。そんな中、友達には心配をかけるからとぎりぎりまで告白しなかった。が、そのことで友達と気まずい関係になってしまう、という、これも魔法少女ものの王道の展開になっている。何とか友情の強さで仲直りするものの、バトルがさらに激しさを増す中でその友達まで事件に巻き込んでしまったことでばれてしまい、告白することになる。内緒にされていたことを怒るよりむしろ激しいバトルに赴くなのはを心配してくれる友達の優しさが印象的であった。このように、自分が魔法少女であることを話してもいいという状況の作品は比較的珍しいと言えよう。このような状況下で話すべきか話さずにおくべきか悩む主人公の姿もとても興味深いし、新しいタイプの要素とも言えるだろう。

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