決してありふれていない賭けマンガ
勝利に必要なのは賭けごとの強さだけではない
賭け事勝負をする上で、勝つ為にはもちろん並外れた洞察力、
一瞬の判断力、そして時には運も必要である。
しかし、そこだけでは数ある他の賭けマンガと同じになってしまう。
このマンガの特徴は、賭けに勝つだけではなく、自分の身は自分で守らなければ、
勝ってもその場から立ち去る事が出来ない『暴力』の要素が盛り込まれている事だと考える。
勝負中の身の保障は賭郎の立会人がしてくれるが、一度その場から離れると、
誰も自分の身を守ってくれない為、身を守る術を持たないといけない点が、他のマンガにはない特徴。
キャラクターの個性の強さ
斑目獏を筆頭に、登場人物全員の個性がとても強いのも大きな魅力の一つ。
主要人物の個性が強い事はよくあるが、賭郎の立会人それぞれに強烈な個性と、
裏にある物語まできっちりと考え込まれている。
登場人物それぞれに個性がある為、読む人によって好きな登場人物や、
逆に嫌いな登場人物が異なるのではないかと思う。
ストーリーの特性上、登場人物の多くが死んでしまうが、
読み手によって、死亡した人物に対しての感情が違う為、
その人によっての楽しみ方、感情の変化も楽しめるのではないか、と思う。
現実的ではない、が、ただのファンタジーではない
マンガによくある共通点ではあるが、内容や設定に、ファンタジー色は強い。
だが、設定の時代が現代である為、マンガを読み進める上での感情移入は非常にしやすい。
あえて、この作品の欠点を2点、挙げるならば、
1点目は説明が多く、内容を熟読しなければ、理解できない事が多い点だと考える。
毎回変わるルールの特性上、仕方のない事なのかもしれないが、
完全にルールを把握したうえで読み進めていかなければ、話についていけなくなる。
内容として非常に考え込まれた設定であるが故、その点が魅力であり、
裏を返せば、この作品の欠点でもあるといえると思う。
もう1点が、一つのストーリー、賭郎勝負の決着まで、非常に長い時間を要する事である。
登場人物それぞれの視点、思考が丁寧に描写され、細部にまでこだわったストーリーが展開されるが、
それ故に、一つの決着までに他のマンガに類を見ない収録話数が必要になる。
作品の最初から読み進めているファンには何の苦痛も感じないかとは思うが、
新たにこの作品に興味を持って取り組もうかな、と考える人に対しては、
少しだけハードルが高いのではないか、と考える。
- あなたも感想を書いてみませんか?
- レビューンは、作品についての理解を深めることをコンセプトとしたレビューサイトです。
コンテンツをもっと楽しむための考察レビューを書けるレビュアーを大歓迎しています。 - 会員登録して感想を書く(無料)