可愛さと恐ろしさが同居している - 最終兵器彼女の感想

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最終兵器彼女

4.174.17
映像
4.00
ストーリー
4.17
キャラクター
3.83
声優
4.00
音楽
4.00
感想数
3
観た人
3

可愛さと恐ろしさが同居している

5.05.0
映像
5.0
ストーリー
5.0
キャラクター
5.0
声優
5.0
音楽
5.0

目次

印象的な方言

まずアニメ本編の中でも、方言の存在が耳に残っています。主人公であるシュウジの「アホ」、ヒロインであるチセの「ごめんね」のイントネーションは特徴的だと思います。

キャラクターの個性として、アニメの中で方言が用いられることは多かったように思います。しかし、キャラクターの感情表現に用いられたのは珍しいことだと思います。このような方言の使い方をしたアニメ作品で思い浮かぶのは、「六三四の剣」くらいしかありません。 

人それぞれ受け止め方は違うのでしょうが、私にとっては耳触りが良く、とても良い印象を残す要素だと捉えています。人によっては、標準語の方が良かったと思っている方もいるのかもしれません。

標準語の方が一般向けなので、ファンとして囲い込める人数は伸びたように思います。しかし、方言を用いることで、ファンの気持ちをグッと惹き付けるものになったのは間違いないでしょう。

これは、アニメ作品を質と量に分解したうえで、質をとる選択をしたのに違いないでしょう。

この決断は、結果として「最終兵器彼女」というアニメ作品の魅力を増す結果となり、色褪せることのないものになっていると思います。

シュウジの外面と内面

「最終兵器彼女」主人公のシュウジにおいて、外面と内面を分かりやすく表現しているのが、一人称を使い分けていることだと思います。

「俺」の場合、普通の男性の一人称なのではないでしょうか。しかし、「僕」と併用していることの意味は大きいと思われます。「俺」の方が「僕」より荒っぽい表現でしょう。つまり、シュウジは背伸びして、荒っぽいキャラクターを演じていると考えられます。それは、普段は荒っぽい言葉遣いをしているシュウジの内面は、本来は違うことを意味していると推察されます。

シュウジの本来の姿は、「僕」という一人称からイメージされるような真面目なキャラクター性なのであろうと思われます。

アニメ本編を見ていても、確かに真面目タイプには分類できるキャラクター性だとは思います。しかし、年上の先輩と浮気していたのはいただけないように思います。しかし、高校生のリアルな感情、行動と受け止めることもできます。

確かに真面目なだけではリアリティーに欠けるものがありますので、幻滅はしましたが、仕方ない場面だったように思います。

チサの魅力について

ヒロインであるチサの最大の魅力は、二面性の部分ではないでしょうか。

性格面では、ノロくておっとりしており、ドジッ子の代表格といったキャラクター性です。また、身体も小さく、華奢なイメージが強いのではないでしょうか。

しかし、作品タイトル通りに「最終兵器」であり、最強の戦闘力を兼ね備えています。チサの外見からは信じられないことだと思います。また、それだけではなく、兵器として時折見せる冷酷さも印象に強く残るもので、チサの大きな魅力として考えて良いものではないでしょうか。

本来は普通の女の子でいたかったのでしょう。そして、悲劇のヒロインとして描かれていたことで、観る側は同情してしまうような作り込みになっていました。

こういう描き方だったから、観る側をアニメ本編に惹き付けられたのと思います。制作スタッフの意図に乗せられたことが悔しいですね(笑

バッドエンド!?

最後はハッピーエンドとはいえない終り方だったのではないてしょうか。シュウジが一人だけ生き残り、全てを抱えて、人生を全うしなければなりません。

相当に厳しい試練を残されたのだと思います。自分に置き換えると、きっと途中で気が狂ってしまうでしょう。

それだけに、二人で過ごした数週間という時間が輝いていたのだと思います。しかし、良い終り方、締め括り方をしないのは、この時点で示唆していたのでしょう。

少し見返すには、切な過ぎる内容で観られないと思います。できれば、ハッピーエンドではなくても、救われる余地が欲しかったように感じます。

最後にチサが死んでしまうのは、やはり悲し過ぎる物語です。

ただ、戦争マンガやアニメにおいては、悲しい結末で終わる作品が多いです。夏休み時期に再放送されることの多い「ほたるの墓」などは代表例として挙げられるのではないでしょうか。

そう考えると、この「最終兵器彼女」の締め括り方にも納得させられるものがあります。

そして、この終り方は、制作スタッフからの強いメッセージだったように思えます。特に、戦争の愚かさと、無視される個人の権利というものが描かれていました。

戦争とはこういうものだ、という制作スタッフの強い想いのようなものを強く感じられます。

チサの存在が可愛らしいので、観ていて、辛いものでした。シュウジと結ばれることができず、心の何処かでは、状況がひっくり返ってハッピーエンドで終わって欲しいと願っていました。

また、悲しい結末だったことで、「最終兵器彼女」というアニメ作品の印象が強くなったことも否めません。

できれば、この話の続編を観てみたいですね(笑

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原作とうまく折り合った作品ではないか元々は原作が好きだったからこのアニメを見た。実写化はもちろん、アニメ化となるとあまり諸手をあげて歓声を上げるわけにはいかないくらい懐疑的だったため、だめだったらすぐ見るのをやめようとまで思っていた。数々裏切られた実写化やアニメ化のせいでそういう警戒心が備わっていたけれど、この作品に関しては余計な心配だったみたいだ。あの作品は高橋しんの柔らかく優しげなタッチの絵と裏腹に、ちせの体から突き出た金属質が冷え冷えと鋭く、どれほどの力がでるのか恐ろしくなるくらいのパワーを感じた。おどおどとして弱きなちせの表情があるから余計、その無機質な冷酷性を感じとることができた。自分の気持ちと関係なく自ら武器として成長を止められないちせのジレンマ、なのに武器として人々を助けたいと思う気持ちが切なく、ただの女子高校生が背負ったものとしては重すぎる展開になっていた。絵ではそうい...この感想を読む

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  • hikaru05hikaru05
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