物語の着地が全く見えない!
アニメ本編時間は短い
全2話のOVA作品ですので、全編で約60分の短い作品です。そして、アニメ全編で物語は完結しておらず、投げっぱなしの締め括り方です。「起承転結」でいえば、「起」に該当する部分しか描かれていないことから、制作目的が明らかなアニメ作品だと思います。
よく、企業のテレビCMで「続きはWEBで」という表現を目にすることが多いです。テレビCMは15秒~30秒で構成されていますので、商品の魅力や説明を伝えきることができないのでしょう。テレビCMでは投げ掛けだけをしておいて、WEBサイトに誘導することで、詳細な説明をする手法が定着してきているように思います。
それと同じ手法が、この「Holy Knight」でも採用されているのではないでしょうか。アニメ本編における物語の展開はゆっくりしており、第1話を見終えた時点で、着地が全く予測できません。第2話を観始めて、物語展開の早さはスピードアップしていることは感じます。しかし、第2話を見終えた時、物語本筋の触りの部分しかアニメされていないことに気付きます。
物語本筋が始まって、アニメ本編が終わりますので、意外な終り方であることは間違いありません。
そして、原作がモバイルWEBサイトでのマンガであることを知って、初めてアニメ制作された意図に気付くことができました。
「続きはWEBで」と明確にメッセージこそ出ませんが、WEBマンガや小説を読んでほしくて制作されたアニメであることは間違いないと思います。主人公やヒロインの背景が明らかになり、そのまま終わってしまうアニメ本編では消化不良に陥ります。意図的に、消化不良にさせて他の媒体に誘導することが目的なので、消化不良にさせることも狙い通りなのでしょう。
ヒロインの目的が恐ろしい
ヒロイン、リリスの目的が恐怖以外のなにものでもありません。主人公、心太との子供を設け、心太と子供を殺してしまい、その血を浴びることが最終目的のようです。
すなわち、主人公の心太とリリスが結ばれることは、死亡フラグを意味するようです。そして、幼馴染である千鶴も二人に関わってくるのは間違いないでしょう。投げかけが強烈なので、やはり先の展開が気になってしまいます。それは、アニメが制作された目的を考えれば、作り方が上手だと評価すべきことなのでしょう。そして、原作とアニメでは物語展開が変更されているようで、千鶴はファーストキスを奪われたのがアニメの展開でしたが、原作では襲われてしまっているようです。ここからの展開がドロドロしたものになっていくのは、間違いなさそうで楽しみにさせてくれます。
メインヒロインであるリリスの目的が前述の通りである以上、物語の本筋もハッピーエンドで締め括られるものではないように予想してしまいます。しかし、主人公の心太とリリスの間に子供ができ、リリスに心太と子供が殺され終わってしまっては、物語として成立しないのも確かです。
このように、先々の展開が面白そうであるにも関わらず、読めないことが面白い要素なのだと思います。
心太とリリスの関係
リリスは吸血鬼の一族であり、主人公の心太は、吸血鬼ハンターの血筋のようです。
しかも、心太は偉い立場の血筋のようですが、本人は一切自覚していないというのも面白い展開を予想させるものだと思います。心太は吸血鬼ハンターとしての力には覚醒していますが、リリスに寄り添った立場になっていくのだろうと予想されます。
そして、リリスは心太と子供をつくらなければなりませんが、女性としての本心では、それを拒否しているようにも伺えます。しかし、心太とリリスの共に過ごす時間が長くなることで、リリスの気持ちにどのような変化がでてくるのか、そういった部分もポイントになってくるのでしょう。
立場的には、お互い対立しており、殺し合わなければならないのでしょう。そういった部分は、「ロミオとジュリエット」を彷彿とさせるものがあり、先の展開に期待させるものがあるのでしょう。
奴隷のような描写
アニメ本編では吸血鬼ハンターは吸血鬼に、奴隷のような立場を強いていることが伺えます。また、そのことが原因でリリスの両親は殺されており、リリスが心太に殺意を抱く強い動機になっているようです。
吸血鬼ハンターたちのリリスに対する態度は、酷いものだと思います。人間とは思っていないことは明らかで、観ていて不快に感じさせる描写です。しかし、酷い扱いをされればされるほど、リリスの目的と動機がハッキリとしてきます。そして、心太に対する好意の間でリリスの気持ちを揺り動かすものになっていくのでしょう。
「Holy Knight」というアニメ作品において、制作スタッフのメッセージ性が込められていることはないように思います。原作者のメッセージ性が伺えるのは、この後の展開であることも間違いないでしょう。
ただ、メッセージ性とは違いますが、原作者の性格を少し伺えるものがあります。きっと、この原作者の性格はドSなのだろう、と推察いたします。ここまで、本編の内容を焦らすことや、どうにもならない関係作りは特殊の発想のように思えます。そして、観る側に対しての虐めであると捉えることができないでしょうか。そういった世界観を描いていることも伺えますし、きっと原作の本編部分においても二転三転させて、観る側を虐めてくるような内容なのではないでしょうか。
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