主人公の設定が面白い!
魔王が可愛過ぎますね~
アニメ本編にあるセリフが王道RPGゲームである「ドラゴンクエスト1」、そのまま直球の内容で、掴みの部分から面白かったです。
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」
勇者「断る!」
特に、魔王の「この世界の半分をくれてやろう、どうだ?」という問いに、ゲームでは「はい」と答えるとゲームオーバーになってしまう有名場面が、面白おかしく描かれているのは、ドラクエファンなら受け入れられるのではないでしょうか。
また「ドラゴンクエスト」シリーズをプレイしている方、知っている方は一般的にも多いと思われますので、このネタは、大多数の掴みをとる狙いを十分に果たすもののように思います。
そして魔王が可愛い女の子である点も、勇者との恋愛関係になっていく展開も、面白い発想だと感心させられます。
特に、RPGゲームでいうエンディング後の世界に着眼しているように思います。
勇者が旅を続け、魔王の元に辿り着き、そして、魔王を打ち倒して世の中が平和になるというのが、王道の展開です。
しかし、このアニメ作品は、魔王と勇者の戦いを恋愛要素に置き換え、魔属と人間が共存する世界にしていくところにポイントがあります。
画風や、登場人物の可愛らしさとは裏腹に、物語の展開には深みがあります。
人間の醜い部分を晒し出したところもあり、「欲」や「差別」「人身売買」という部分を大胆に描いていることが特徴的です。物語の中盤から終盤は、特に、人間の醜い部分を強調させており、暗い雰囲気になっていくように感じます。
しかし、そういった暗い要素とバランスを取るように、明るい要素として、魔王の存在が大きいと思うのです。
魔王という人物像は、現実社会ではお目にかかれないものだと思うのです。頭脳優秀で、知識も豊富、そして、外見の美しさを備えた完璧な女性だといえます。そんな彼女の存在が、アニメ作品の中で「希望」という要素になっており、先の物語展開に期待させるものを感じさせます。
アイデアそのものが斬新で、その上でバランスもしっかり取れた秀作だと思います。
池上 彰も驚きの経済教室
社会全体が豊かになる、豊かに向かっているという着地点があります。戦いという要素ではなく、経済活動や農業、そして技術発展という部分を強調しているところが、このアニメ作品の特徴ではないでしょうか。
特に、その分かりやすさは「池上 彰の経済教室」と並ぶものを感じさせます。
商人や吟遊詩人、そして中央の教会、貴族という職業にスポットを当てている点が面白いです。
また、奴隷ではなく農奴という柔らかい表現を用いているのに、敢えて、「虫ケラ」という強烈な呼称していることにも意図的な狙いを感じます。
極端にキツい表現をすることで、その立場にあまんじて受け入れるのではなく、自ら立ち上がり、主体的な行動をとることを強調して、メッセージ性を打ち出したかったのではないでしょうか。そういった明確な狙いがあって、「虫ケラ」という表現を用いたように思えてなりません。
そして、授業のように描かれていることも印象に残ります。これが授業であるなら、魔王は教師、講師という位置付けと考えることができないでしょうか。
そういう観点でみると、このアニメ作品の性質も少し変わってくるような気がします。そして、その考えに合点がいくように感じるのは、魔王と勇者の恋愛関係の描写が弱いためです。ストーリー性を重視しているのではなく、経済の仕組みと、立ち上がる群衆を描いている時間の方が長いように感じないでしょうか。
きっと、原作者や制作スタッフのメッセージはそこに込められているよう受け取れます。
勇者の圧倒的な強さ
物語の冒頭で、魔王と戦う場面から始まります。RPGゲームでいうと、クライマックスシーンであり、ここを乗り越えたら物語終演という場面から、アニメ作品は始まっていくのです。
すでにアニメ作品が始まったときから、勇者は最高レベルの強さを兼ね備えており、その強さが少しお笑いの要素になっている気がします。
勇者の移動手段は、瞬間移動魔法となっており、船や馬車といった乗り物をつかうことがありません。とても便利に思えますが、脚本のつじつまを合わせるには不都合なこともあるようです。
魔王と勇者は1年以上、顔を合わせることがない期間があります。アニメ作品の中で、他の登場人物もそのことに触れています。
しかし、さすがにこれは無理がないでしょうか。むしろ、日帰りで毎日帰ってくることも可能です。登場人物がそこに触れている場面があるのは、原作者や制作スタッフも無理があることに気付いており、突っ込まれたくない気持ちの表れではないでしょうか。
そして、勇者の存在は、きっとこの世界の中で最強であり強敵となる存在がいません。
魔属の将軍的が、人間との関係に平和的解決を望めそうになく、勇者が戦わざるをえないという場面がありました。結果的には、勇者が戦うことはなく、女騎士が戦い、勝利しました。しかし、この場面で、勇者は魔属将軍に対して「ちょっとヒネってくる」と発言しており、倒すことが容易であることを表しています。
勇者はアニメの中で、戦うということにおいては苦戦することが一切ないです。むしろ、強大な力を誇示する描写が多いです。勇者自身は力加減が苦手なのか、「やりすぎた」と数回発言しております。ここまで圧倒的な戦闘力をもっていると、それ自体が笑いになってしまいます。
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